07 抑肝散

よく　 かん さん 参考文献：１）「漢方製剤　活用の手引き」（臨床情報センター）、２）「呼吸器疾患漢方治療のてびき」（協和企画）、 　　　　　「ファーストチョイスの漢方薬」（南山堂）、「漢方診療のレッスン」（金原出版）、ほか ・虚弱な体質で神経がたかぶって、怒りやすい、イライラする、眠れないなどの症状を訴える 　場合に使用する。 ・興奮性、焦燥感などの神経症症状（認知症患者の周辺症状〈BPSD〉など）や日常生活動作（ADL） 　の改善が期待できる。 ・神経系（グルタミン酸、セロトニン）への作用が認められ、BPSD様モデルでの攻撃性を抑　 　制する。 基礎・臨床・ EBM ・抑肝散加陳皮半夏　使用目標は似ているが、比較的体力が低下しており、症状が慢性化して、 　　　　　　　　　　腹部大動脈の拍動が強い場合によい。 ・柴胡加竜骨牡蛎湯　使用目標は似ているが、比較的体力があり、季肋下部の抵抗、圧痛（胸 　　　　　　　　　　脇苦満）がみられる。 ・甘麦大棗湯　　　 使用目標は似ているが、症状が急迫的で神経がたかぶり、全身･局所の 　　　　　　　　　　筋肉の硬直、痙攣を伴う場合によい。 ・加味逍遙散　　　　虚弱体質な女性で四肢の冷え、動悸、不安、不眠など種々の精神神経症 　　　　　　　　　　状を訴える場合によい。 ・半夏厚朴湯　　　　使用目標は似ているが、咽喉異物感や咳嗽を訴える場合によい。 類似処方の 使い分け 甘草を含むので、偽アルドステロン症、ミオパシーの発現に注意する。 カンゾウ含有製剤、グリチルリチン酸及びその塩類を含有する製剤との併用注意。 投与時の注意 虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症。神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症 （上記はツムラ医療用漢方製剤による） 効能又は効果 抑肝散は漢方でいう「肝」のたかぶりを抑え、興奮やイライラ、筋肉の緊張などを鎮める方剤 です。もともと小児の夜なき、疳の虫に使われてきました。ぴりぴりした母親にも服用させる と症状が改善しやすいことから、「母子同服」に用いられることもあります。出典は中国明代の 小児科の医書『保嬰撮要』で、ここに小児と母親の双方に服用させると記されています。最近 では、向精神薬治療が困難な高齢者のアルツハイマー型認知症の周辺症状（BPSD）や日常生活 動作（ADL）改善に効果が期待されています。 監修：佐藤 弘・木村 容子（東京女子医科大学附属東洋医学研究所） ヒステリー、てんかん、脳血管障害後遺症、チック症、更年期障害、眼瞼痙攣応用疾患・ 症状　 体力がやや衰えた人で、興奮しやすく、イライラ、怒りやすい、不眠などの精神神経症状を訴 える場合の諸症状に用いられる。左腹直筋が緊張している場合が多い。眼瞼や顔面の痙攣、手 足の震えなどを伴う場合もある。また、落ち着きがない、ひきつけ、夜なきなどのある子供に もよい。 使用目標 （証） 【気血水】 気 水 血 気逆、気うつ ※１） 7 文献：Iwasaki, K. et al. J.Clin. Psychiatry. 2005,66,p.248.　　 　　　Egashira, N. et al. Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry. 2008,32,p.1516. 　　　Takeda, A. et al. Neurochem. Int. 2008,53,p.230. 　　　Takeda, A. et al. Nutr. Neurosci. 2008,11,p.41. 抑肝散抑肝散 蒼朮、茯苓、川　、当帰、釣藤鈎、柴胡、甘草 抑肝散とは 実 やや実 中間 やや虚 虚 【虚　実】 手足の震え 眼瞼、顔面の 痙攣 ● イライラ ● 怒りやすい ● 不眠 ● 小児夜なき 腹証 ※１） 腹力中等度 ?????