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20085179236256.ppt(急性有机磷中毒的治疗)

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20085179236256.ppt(急性有机磷中毒的治疗)カナン征服記 下(士師記) 本書は、カナン征服後の数百年間のことを記しています。 その時代に、人々は、士師と か救国者とか呼ばれる指導者に従っていました。指導者たちの主な任務は、軍事的なこと で、敵を国から追い出すことでした。 イスラエルの歴史上、この時期は悲劇のくり返し で、神様に反逆すると間もなく外国軍が侵入するという形で、神様のさばきがあったので す。 イスラエルの人々は、そのつど神様に助けを叫び求め、士師が彼らを救うために遣 わされました。 本書には、こうしたくり返しが何回も見られます。 残念なことに人々 ...
20085179236256.ppt(急性有机磷中毒的治疗)
カナン征服記 下(士師記) 本書は、カナン征服後の数百年間のことを記しています。 その時代に、人々は、士師と か救国者とか呼ばれる指導者に従っていました。指導者たちの主な任務は、軍事的なこと で、敵を国から追い出すことでした。 イスラエルの歴史上、この時期は悲劇のくり返し で、神様に反逆すると間もなく外国軍が侵入するという形で、神様のさばきがあったので す。 イスラエルの人々は、そのつど神様に助けを叫び求め、士師が彼らを救うために遣 わされました。 本書には、こうしたくり返しが何回も見られます。 残念なことに人々 は、神様に反逆することが明らかに災いへの道だということを、なかなか悟りませんでし た。 一 1 ヨシュアの死後、イスラエル国民は神様から指示を仰ごうとしました。 「カナン人と戦うには、まずどの部族が出陣すればよいのでしょうか。」 2 「ユダ部族だ。 彼らに、輝かしい勝利を約束しよう。」 3 ところが、ユダ部族の指導者たちは、シメオン部族に加勢を求めたのです。 「われ われの割り当て地に住むやつらを追っ払うのに、力を貸してほしい。 その代わり、君ら が戦う時には必ず応援するよ。」 そんなわけで、シメオンとユダの軍隊は、合流して出陣 したのです。 4‐6神様のお助けによるのでしょう、彼らはカナン人とペリジ人を打ち 破ることができました。 このベゼクでの戦闘で、なんと一万人もの敵が殺されたのです。 アドニ・ベゼク王は逃げ出したものの、すぐ捕らえられ、手足の親指を切り取られてしま いました。 7 「わしもこうやって、七十人もの王の親指を切り取り、わしの食卓から落ちるパンく ずを食べさせたものだが、いま神様は、そのつけを回してこられたというわけだ」と、王 は嘆きました。 王はエルサレムへ連れて行かれ、そこで息を引き取りました。 8 ユダ部族はエルサレムを占領し、住民を殺し、町に火をかけました。 9そののちユ ダの軍隊は、低地に住むカナン人を攻めたばかりか、山地やネゲブのカナン人とも戦いま した。 10また、以前キルヤテ・アルバと呼ばれたヘブロンにいるカナン人めがけて攻 撃を開始し、シェシャイ、アヒマン、タルマイなどの町を滅ぼしました。 11そのあと、 デビルを攻撃しました。 デビルは、以前キルヤテ・セフェルと呼ばれていました。 12 「だれか、率先してデビルを攻撃する者はおらんのか。 占領した者には、娘アク サを妻として与えるぞ」と、カレブは全軍に呼びかけました。 13 カレブの弟ケナズの息子、オテニエルが、先陣を志願してデビルを占領し、アクサ を花嫁に迎えました。 14二人が新家庭を築くために巣立つ時、アクサは夫にそそのか され、贈り物としてもっと土地をくれるよう、父にねだることにしました。 彼女が、ろ ばから降りると、カレブは尋ねました。 「どうした。 何か欲しいものでもあるのか。」 15 「ネゲブの地は十分にいただいたのですけれど、できれば、泉もいただきたいの。」 そこでカレブは、上の泉と下の泉を与えました。 16 ユダ部族が、アラデの南方、ネゲブの荒野の新天地に移った時、モーセの義父の子 孫であるケニ族の人々も同行しました。 彼らは、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを 離れ、以後ずっといっしょに生活しました。 17そののちユダ軍はシメオン軍の加勢を 得て、ツェファテの町に住むカナン人と戦い、絶滅させました。 今でも、その町はホル マ〔「絶滅」の意〕と呼ばれています。 18ユダ軍はさらに、ガザ、アシュケロン、エク ロンの町々と周辺の村々を手中に収めました。19神様が助けてくださったので、山地一 帯の住民を全滅させることができたのです。 ただし、谷の住民は鉄の戦車を持っていた ので、征服できませんでした。 20 ヘブロンの町は、神様のお約束どおりカレブの手に落ちました。カレブは、そこに 住むアナクの三人の息子を追い出しました。 21 ベニヤミン部族は、エルサレムに住むエブス人を根絶やしにできませんでした。 そ れでエブス人は、今でもイスラエル人といっしょに住んでいます。 2223ヨセフ部族も、ベテルの町を襲撃しました。 ベテルは以前ルズと呼ばれた町で す。 神様はヨセフ部族とともにおられました。 まず、スパイが派遣されました。 2 4彼らは町から出て来た男を捕まえ、町の城壁の出入口を教えてくれたら、家族のいのち も助けてやると持ちかけたのです。 25案の定、男は町に入る方法をしゃべりました。 おかげで、ヨセフ部族は町に攻め込み、全住民を滅ぼすことができたのです。 もちろん、 その男と家族だけは助かりました。 26のちに、その男はヘテ人の地に町を建て、ルズ と名づけました。 今でも知られているとおりです。 27 マナセ部族は、ベテ・シェアン、タナク、ドル、イブレアム、メギドとその周辺の 町々の住民を追い出すことに失敗しました。 それでカナン人は、その地にとどまり続け たのです。 28のちにイスラエルは強大になりましたが、カナン人を奴隷として働かせ ることはあっても、追い出しはしませんでした。 29ゲゼルに住むカナン人についても、 同じです。 今もなお、エフライム部族に混じって生活しています。 30 ゼブルン部族も、キテロンとナハラルの住民を滅ぼすには至らず、奴隷として働か せました。 3132アシェル部族は、アコ、シドン、マハレブ、アクジブ、ヘルバ、ア フェク、レホブの住民を追い出しませんでした。 それでイスラエル人は、今なお、原住 民であるカナン人といっしょに住んでいるのです。 33ナフタリ部族は、ベテ・シェメ シュとベテ・アナテの住民を追い出しませんでした。 彼らは奴隷として、イスラエル人 に混じって暮らし続けました。 34 ダン部族の場合は、エモリ人に圧倒されて山地へ追いやられ、谷に降りることがで きませんでした。 35しかし、のちにエモリ人は、ヘレス山、アヤロン、シャアルビム へと散在するにつれ、ヨセフ部族に征服されてしまい、奴隷として働かされることになり ました。 36エモリ人との境界線は、アクラビムの丘陵地帯から始まり、セラと呼ばれ る地点を通り、そこから上の方に延びています。 二 1 ある日、神様の使いがギルガルから上って来て、ボキムに到着し、イスラエル国民に こう告げました。 「わたしはおまえたちを、先祖との約束に従って、エジプトからこの 地へ連れて来た。 また、おまえたちと結んだ契約を決して破らないと宣言した。 2た だし、それには条件があったはずだ。 この地の先住民と友好条約を結んではならないと いう条件だ。 この地の異教の祭壇を取りこわせと命じたではないか。にもかかわらず、 なぜ従わなかったのか。 3おまえたちが契約を破った以上、もはや無効だ。 もう、お まえたちの地に住む諸国民を滅ぼすとは約束しかねる。 それどころか、あの人々はおま えたちの悩みの種となり、彼らの神々は常に誘惑の罠となるだろう。」 4 御使いが語り終えると、人々はせきを切ったように泣きだしました。 5それでこの 地は、ボキム〔「人々が泣いた場所」の意〕と呼ばれるようになったのです。 人々は神様 にいけにえをささげました。 6 ヨシュアがイスラエルの全軍を解散させると、各部族はそれぞれ新しい領地めざして 移動し、各自の所有地を手に入れました。 7‐9神の人ヨシュアは百十歳で世を去り、 エフライム山中、ガアシュ山の北にあるティムナテ・ヘレスの自分の領地に葬られました。 ヨシュアが生きている間、人々は神様に忠実でした。 その死後も、神様がイスラエルに なさった、驚くべき奇蹟を目撃した長老たちの存命中は、その態度に変わりはなかったの です。 10 ところが、ヨシュアと同世代の人々がみな世を去ると、あとの世代は神様を礼拝せ ず、神様がイスラエルのためになさった力強い奇蹟さえ、意に介さなくなったのです。 1 1彼らは、神様が断固として禁じたことを次から次へと犯していきました。 もちろん、 異教の神々を拝むことも平気でした。 12‐14イスラエル人をエジプトから連れ出し てくださったお方、先祖が心から礼拝してきた神様を捨ててしまったのです。 そのあげ く、近隣諸国の偶像にぬかずいて拝む有様でした。 神様の怒りは、全イスラエルに対し て燃え上がりました。 神様に背を向け、バアルやアシュタロテのような偶像を拝むイス ラエルを、神様は敵のなすがままに任せたのです。 15 今や、イスラエル国民が敵と戦おうと進軍しても、神様が行く手をはばみます。 こ うなることは、前もって神様が警告し、はっきり誓っていたのです。 それでもなお、か つてない苦境に立たされた人人を、 16敵の手から救い出すために、神様は士師(王国 設立までの、軍事的・政治的指導者)を起こされたのです。 17しかし、その士師にさ え耳を貸そうとせず、人々はほかの神々を拝んで、神様への誠実を踏みにじったのです。 なんと早く、先祖が歩んだ信仰の道から離れてしまったことでしょう。 それは、神様の 戒めに従うことを拒んだからです。 18どの士師も、生涯を通して、イスラエル国民を 敵の手から救い出しました。 苦しみに押しつぶされそうな人々のうめきを聞き、神様が あわれんでくださったからです。 こうして神様は、士師の在世中はイスラエルを助けて くださいました。 19しかし、士師が死ぬと、人々はたちまち正しい道を捨て、先祖よ りもいっそう堕落したのです。 強情を張り、異教の神々に祈りをささげるわ、地にひれ 伏して礼拝するわで、周辺諸国の悪習慣に再び染まり、抜け出ることができませんでした。 20 神様は再びイスラエルをお怒りになりました。 「この国民は、わたしが先祖と結 んだ契約を踏みにじった。 21だから、ヨシュアが死んだ時まだ征服していなかった国 民を、これ以上追い出すのはやめよう。 22むしろ彼らを用いて、イスラエル人がほん とうに先祖にならって、わたしに従うかどうか試すことにしよう。」 23 このように神様は、これらの国民を滅ぼすことを許さず、この地から追い出さずに 残しておかれたのです。 三 1‐3カナンで戦ったことのない、イスラエルの新しい世代を試すために、神様がこの地 に残した国民をあげましょう。 神様はイスラエルの若者に、敵を征服することによって 信仰と従順を学ぶ機会を、与えようとなさったのです。 ペリシテ人の五つの町 カナン人 シドン人 バアル・ヘルモン山からレボ・ハマテまでのレバノン山系に住む ヒビ人 4これらの国民は、新しい世代への試金石となりました。 モーセが与えた神様の戒めに、 新しい世代が従うかどうかが、はっきりするからです。 5 それでイスラエル人は、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、エモリ人、エブス人 に混じって生活しました。 6ところが、異民族を滅ぼすどころか、イスラエルの若者は 彼らの娘を妻にめとり、イスラエルの娘は彼らの息子に嫁いだのです。 やがてイスラエ ルは、異教の神々を拝むようになりました。 7このように、神様に対してさんざん悪事 を重ねました。 それは、神様を裏切って、バアルやアシェラなどの偶像を拝んだからで す。 8 ついに、神様の怒りは、めらめらと燃え上がりました。 イスラエルはメソポタミヤ の王クシャン・リシュアタイムに征服され、八年間その支配に服することになったのです。 9しかし、神様に叫び求めると、神様は救いの手を差し伸べ、カレブの甥オテニエルを遣 わしてくださいました。 10神の御霊が彼を支配していたので、彼はイスラエルの改革 と粛清を断行しました。 その結果、オテニエルの率いるイスラエル軍がクシャン・リシ ュアタイム王の軍勢と対戦した時、神様はイスラエルに加勢し、完全な勝利を収めさせて くださったのです。 11 こうして、オテニエルが治めた四十年の間は、平和が続きました。ところが彼が世 を去ると、 12イスラエル国民は再び罪を犯すようになったのです。 すると神様は、 モアブの王エグロンに加勢し、イスラエルの一部を占領させました。 13エグロン王と 同盟を結んだのは、アモン人とアマレク人でした。 同盟軍はイスラエルを破り、「なつめ やしの町」と呼ばれたエリコを手に入れました。 14こうして向こう十八年の間、イス ラエル国民はエグロン王の圧政に苦しむことになったのです。 15 そのとき神様に叫び求めると、神様は、ベニヤミン人ゲラの息子で左ききのエフデ を、救助者としてお立てになりました。 エフデは、モアブの都に年貢を届ける務めに任 じられていました。 16彼は出発を前にして、長さ五十センチの両刃の短剣を作り、右 ももに皮ひもでくくりつけて服の下に隠したのです。 17‐19エグロン王は大へん太 っていました。 貢物を渡すと、エフデは帰路につきました。 ところが、町を出てギル ガルの石切り場まで来た時、同行の者を先に帰し、一人で王のもとへ戻ったのです。 エフデは申しました。 「陛下、内々に申し上げたいことがございます。」 王はさっそく、お付きの者たちに座をはずさせました。 これで二人きりです。 20涼 しい屋上の間に座っている王に歩み寄りながら、エフデは、「実は、神様のお告げがござい まして」と言いました。 王は、お告げを受けようと立ち上がりました。 21すかさずエフデは左手を伸ばし、隠 し持った短剣を抜き放ちざま、王のどてっ腹めがけて、ぐさりと突き刺したのです。 2 223短剣が柄までくい込んで腹わたが流れ出し、脂肪が刃をふさいでしまいました。 す ばやくエフデは戸に錠をかけ、抜け道の階段づたいに逃げました。 24 戻って来た家来は、戸に錠がかかっているので、用を足しておられるのだろうと思 い、しばらく待っていました。 25ところが、いつまで待っても王は現われません。 心 配になって開けてみると、なんと、王は床に倒れて死んでいるではありませんか。 26 その間にエフデは、石切り場を駆け抜けてセイラへ逃げました。27そして、エフ ライムの山地にたどり着くと、ラッパを吹き鳴らして兵を集め、全軍を指揮下に置いたの です。 28 「おれに続け。 神様はモアブに勝たせてくださるぞ。」 エフデは全軍に呼びかけ ました。 エフデは進軍し、モアブに通じるヨルダン川の渡し場を押さえて、人っ子ひとり渡らせな いようにしました。 29それからモアブを襲い、屈強の勇士、約一万人を皆殺しにし、 一人も逃しませんでした。 30モアブはその日のうちに征服され、イスラエルには、八 十年間も平和が続いたのです。 31 エフデの次に士師になったのは、アナテの息子シャムガルでした。彼は牛の突き棒 で、ペリシテ人を一度に六百人も殺し、イスラエルを災いから救いました。 四 1 エフデが世を去ると、イスラエル国民はまた、性懲りもなく悪を重ねました。 23 それで神様は、ハツォルにいたカナン人の王ヤビンに、イスラエルを征服させたのです。 王の軍の最高司令官はシセラで、ハロシェテ・ハゴイムに住んでいました。 彼は鉄の戦 車九百台をかかえ、二十年間イスラエル人を悩まし続けたのです。 ついにイスラエル人 は、神様の助けを求めました。 4 当時イスラエルの指導者で、国民を神様に立ち返らせる責任を負っていたのは、ラピ ドテの妻、女預言者デボラでした。 5彼女は、エフライム山中のラマとベテルの間にあ る「デボラのなつめやしの木」と呼ばれる場所に、法廷を設けていました。 人々はそこ へ来て、争い事を解決したのです。 6 ある日デボラは、ナフタリの地のケデシュに住むアビノアムの息子バラクを呼び寄せ、 こう言い渡しました。 「イスラエルの神様がおまえに、ナフタリとゼブルンの両部族か ら一万人を動員しろとおっしゃるんだよ。 その一万の兵を率いて、タボル山へお行き。 7もちろん戦う相手は、ヤビン王の軍勢、シセラ将軍の指揮のもと戦車を擁する大軍だよ。 だけど神様は、『敵をキション川に引き寄せるから、そこで打ち破れ』とおっしゃるんだ よ。」 8 「わかりました。 ご命令のとおりにしましょう。 しかし、あなたにもごいっしょ 願いたいですな。」 9 「いいでしょう。 いっしょに行きましょう。 ただし、今のうちに言っておきます が、シセラを倒す栄誉は、おまえではなく、一人の女が受けることになりますよ。」 こう 言って、デボラはバラクとともにケデシュへ向かいました。 10 バラクが、ゼブルンとナフタリの人々から義勇兵を募ると、一万人がケデシュに結 集しました。 デボラもいっしょです。 11さて、モーセの義兄弟ホバブの子孫のケニ 人でヘベルという人が、氏族の者から離れて、ケデシュ近郊のツァアナニムの樫の木の近 くに住んでいました。 12シセラ将軍は、バラクの率いるイスラエル軍がタボル山に陣 を敷いた、との知らせを受けて、 13鉄の戦車を九百台も備えた全軍を動員し、ハロシ ェテ・ハゴイムからキション川へと進みました。 14 その時、デボラはバラクに言いました。 「さあ、今こそ攻撃のチャンスよ。 神 様が先頭に立っておられます。 もうシセラのいのちは、いただいたも同然よ。」 そこでバラクは、一万人を率いてタボル山を下り、戦いに臨みました。 15神様が兵も 戦車隊もパニック状態に陥れたので、敵は総くずれとなり、シセラは戦車から飛び降り、 走って逃げ出すしまつでした。 16バラクの軍隊は、敵兵と戦車をハロシェテ・ハゴイ ムまで追いつめ、ついに全滅させました。 一人も生き残った者はいません。 17とこ ろがシセラだけは、ケニ人ヘベルの妻ヤエルのテントに逃げ込みました。 ハツォルの王 ヤビンとヘベルの氏族との間には、相互援助協定が結ばれていたからです。 18 ヤエルはシセラを迎えに出て、「まあ、シセラ様、どうぞ、お入りくださいませ。 こ こならもう安心、ご心配には及びませんわ」と言いました。 そしてテントに入ったシセ ラに、毛布をかけて休ませました。 19 シセラは、「頼む、水をくれないか。 のどがからからだ」と訴えました。 ヤエル は牛乳を与え、また毛布をかけてやりました。 20 シセラは、「お願いだ、テントの入口で見張っていてくれ。 もし、だれかがわしを 捜しに来ても、『ここにはいない』と追っ払ってくれ」と頼みました。 21 ところがヤエルは、先のとがったテントの杭と槌を手に取るや、眠っているシセラ に忍び寄り、こめかみ目がけて打ち込んだのです。杭は地面をも刺し通し、シセラの息の 根を止めました。 彼は、疲労困憊のあまり眠りこけていたからです。 22 バラクがシセラを捜して追って来た時、ヤエルは迎えに出て、「どうぞこちらへ。 あなた様がお捜しの方をお目にかけますわ」と言いました。 案内されるままに中へ入ると、杭がこめかみに突き刺さったまま死んでいる、シセラの姿 が目に入りました。 23こうして、その日のうちに、神様はカナンの王ヤビンの軍勢を 打ち破らせてくださいました。 24そのとき以来、イスラエルはますます強大になって ヤビン王を圧するようになり、ついに、ヤビンとその国民を完全に滅ぼしてしまいました。 五 1 デボラとバラクは、この大勝利をたたえて歌いました。 2 「神様をほめたたえよ。 イスラエルの指導者が雄々しく先頭を行くと、 国民は喜んで従った。 そうだ、神様をほめたたえよ。 3 王よ、君主よ、耳を傾けよ。 イスラエルの神様にささげる 私の歌声に。 4 神様がセイルからわれわれを導き出し、 エドムの平原を進まれた時、 地は震え、 天は雨を降らせた。 5 イスラエルの神様の御前では、 シナイ山さえ揺れ動いた。 6 シャムガルの日、ヤエルの日、 街道は荒れ果て、 旅人は細いわき道を通った。 7 デボラがイスラエルの母となるまでは、 イスラエルの人口は減り続けた。 8 イスラエルが新しい神々を選んだ時、 すべてが衰えた。 いったい、どこのだれが 盾や槍を持たせてくれるというのか。 イスラエルの兵四万のうちに 武器は消えた。 9 喜んで自らをささげようとする イスラエルの指導者たちの姿に、 どれほど私は喜んだことか。 神様をほめたたえよ。 10 全イスラエルよ、貧しい者も富む者も 賛美の列に加われ。 さあ、白いろばに乗り、豪華な敷物に座る者も、 歩くほかない貧しい者も。 11 村の楽隊は 井戸の回りに集まり、 神様の勝利を歌う。 くり返しくり返し、 神様がどれほど、農民の軍隊イスラエルを お助けくださったかを。 神様の国民は、城門を通って行進した。 12 目を覚ませ、デボラ。 高らかに歌え。 起きよ、バラク。 アビノアムの息子よ、とりこを引き連れて進め。 1314生き残った者は堂々と タボル山から降りて来た。 神様の国民は、大敵を向こうに回して 降りて来た。 エフライムから、ベニヤミンから マキルから、ゼブルンからやって来た。 15 イッサカルの指導者は デボラやバラクともども 谷へと下った。 谷を突進することが、神様のご命令だから。 ルベン部族は出て行かなかった。 16 なぜ、おまえは牧場の柵内の家に座し、 羊飼いの笛をもてあそんでいたのか。 そうだ。 ルベン部族は落ち着きを失っている。 17 なぜ、ギルアデはヨルダン川の向こうでとどまったのか。 なぜ、ダンは舟から下りて来なかったのか。 なぜ、アシェルは海辺に座り込み、 波止場でのんきにかまえていたのか。 18 しかし、ゼブルンとナフタリの両部族は いのちを賭して戦場におもむいた。 19 カナンの諸王は メギドの泉のほとりタナクで抗戦したが、 勝利は得られなかった。 20 天の星さえも シセラと戦った。 21 キションの逆巻く流れが 彼らを押し流したのだ。 わが心よ、勇ましく進め。 22 聞け、敵軍のひづめが 地を踏み鳴らす音を。 見よ、軍馬が跳ね回る姿を。 23 だが、神様の使いは メロズの町にのろいをかけた。 『その住民を激しくのろえ。 神様の国民を助けにも来ず、 敵と戦いもしなかった者らめ』と。 24 祝福あれ、 ケニ人ヘベルの妻、ヤエルに。 テントに住む女のうち 彼女ほど祝福された者はない。 25 水を求めるシセラに ヤエルは見事なカップで牛乳を勧めた。 26 テントの杭と職人の槌とを手に取るや、 シセラのこめかみを刺し通し、 その頭を砕いた。 杭が頭を刺し通すまで打ち続けた。 27 ついにシセラは ヤエルの足もとに倒れて死んだ。 28 シセラの母は、窓から外を眺めながら、 息子の帰りを待っていた。 『なぜ、あの子の戦車はなかなか戻らないのか。 なぜ、あの車の音が聞こえないのか。』 29 女官たちは答え、母もくり返した。 30 『戦利品が多くて 分配に手間取るのでしょう。 勇士はおのおの、一人か二人の娘をあてがわれ、 シセラ様は豪華な織物を手にし、 贈り物をどっさり携え、 お帰りになるでしょう。』 31 神様、敵をみな シセラのように滅ぼしてください。 神様を愛する者を 太陽のように輝かせてください。」 そののち、イスラエルには四十年間、平和が続きました。 六 1 やがてイスラエル国民は、またもや、ほかの神々を拝み始めました。 それで神様は、 敵を起こして懲らしめようとなさったのです。この時は、ミデヤン人に七年間くるしめら れることになりました。 2ミデヤン人はとても残忍だったので、イスラエル人は山に難 を避け、洞窟やほら穴に身を隠しました。 34イスラエル人が種をまくと、ミデヤン人 やアマレク人をはじめ、近隣の国から略奪者が来て、農作物を荒らし、ガザに至るまで各 地を荒らし回り、食糧をぜんぶ奪ってしまうのです。 羊、牛、ろばもいなくなりました。 5敵の大軍は、おびただしい数のらくだの群れを連れて来て、その地を荒らし尽くすまで 動こうとしないのです。 67イスラエルは、ミデヤン人のために丸裸にされてしまいま した。 ついに、たまりかねた人々は、またも神様に、助けてくださいと叫んだのです。 8 神様は、一人の預言者を遣わし、その口をとおしてお答えになりました。 「イスラ エルの神様は、あなたがたをエジプトでの奴隷生活から救い出してくださった。 9また、 エジプト人およびいっさいの残忍な者たちの手から助け出し、敵を一掃して、この地を与 えてくださったのだ。 10その神様が、『わたしは、おまえたちの神である主だ。 よい か、ぐるりを取り囲むエモリ人の神々を拝んではならぬぞ』とお命じになったではないか。 それなのに、あなたがたは聞き従わなかった。」 11 ある日、神様の使いが現われ、アビエゼル人ヨアシュの農地内にある、オフラの樫 の木の下に座っていました。 ヨアシュの息子ギデオンは、酒ぶね〔ぶどうを絞ってぶど う酒をつくる穴〕の底で、小麦を打っていました。 ミデヤン人から身を隠していたので す。 12 御使いはギデオンの前に立ち、「勇士よ、神様はおまえと共におられる」と告げまし た。 13 ギデオンは答えました。 「初めてお目にかかりますね……。 どうか教えてくれ ませんか。 神様が共におられるのなら、なぜ、こんなことが次から次へと起こるんです か。 ご先祖から聞かされましたよ。 神様がエジプトから連れ出してくださる時、もの すごい奇蹟をいっぱい行なわれたとね。 なのに、今はどうです。 そんな奇蹟のかけら もないじゃありませんか。 もう神様は私たちを見捨てて、ミデヤン人にしたい放題をさ せ、踏みつけるに任されるんだ。」 14 すると神様は、ギデオンに向き直って命じました。 「わたしがおまえを強くしよ う。 行け、イスラエルをミデヤン人から救い出すのだ。 わたしがおまえを遣わすのだ。」 15 「神様、めっそうもありません。 イスラエルを救うなんて、とてもできっこあり ません。 私の家は、マナセ部族の中でもいちばん貧乏だし、それに私は、家でいちばん 年下なんです。」 16 「よいか。 神であるわたしがついているんだ。 だからおまえは、たちどころに ミデヤンの大軍を打ち破れる。」 17 「もしそれがほんとうなら、その証拠に奇蹟を見せてください。 いま語りかけて くださっているあなたが本当の神様であると、証明してほしいんです。 18ちょっと待 っていてくださいませんか。 贈り物を差し上げたいので……。」 「よかろう。 おまえが戻るまで待っていよう。」 19 ギデオンは大急ぎで家に駆け込み、子やぎを一匹焼き上げ、三十六リットルの粉で イースト菌抜きのパンをこしらえました。 次いで肉をかごに詰め、スープをなべに入れ て、樫の木の下にいる御使いのところへ運んで来て、差し出しました。 20 御使いはギデオンに命じました。 「肉とパンをあそこの岩の上に置いて、スープ をかけてみなさい。」 言われたとおりにすると、 21御使いは手にしていた杖で、肉とパンにさわりました。 するとどうでしょう。 たちまち岩から火が燃え上がり、肉とパンを焼き尽くしてしまっ たではありませんか! その瞬間、御使いの姿は見えなくなりました。 22 ギデオンは、ほんとうに神様の使いであったと知って、思わず叫びました。 「あ あ、神様! 面と向かって御使いを見てしまいました。」 23 「大丈夫だ、心配しなくていい。 死にはしない。」 神様はきっぱりお答えになり ました。 24 ギデオンはそこに祭壇を築き、「主との平和の祭壇」と名づけました。 この祭壇は 今も、アビエゼル人の地、オフラにあります。 25その夜、神様はギデオンに命じて、 父親のいちばん上等の雄牛を、父親のものであるバアルの祭壇のところへ引いて行かせ、 祭壇を引き倒させた上、そばの女神アシェラの木像をも切り倒させました。 26 「さあ、わたしのために、祭壇を築き直せ。 その高い所に注意深く石を積むのだ。 次に、さっきの雄牛を完全に焼き尽くすいけにえとして祭壇にささげ、こわした木像をく べて火をたけ。」 27 そこでギデオンは、十人の使用人を駆り出して、命じられたとおりにしました。 た だ、家族や町の人々の目をはばかって、夜中に断行したのです。 もし見つかれば、どん な目に会うかわかっていたからです。 28翌朝はやく、町がにぎわい始めるころ、だれ かが、バアルの祭壇が取り払われ、そばのアシェラの偶像もこわされて、代わりに新しい 祭壇が築かれ、雄牛のいけにえがささげられているのを見つけました。 29 「いったい、どこのどいつがやったんだ。」 人々は調べ回り、ついに、ヨアシュの 息子ギデオンのしわざだと突き止めました。 30 人々はヨアシュをどなりつけました。 「息子を出せ! あんなやつは殺してしま え! よくもバアル様の祭壇をめちゃめちゃにして、おまけにアシェラ様の像までこわし てくれたな。」 31 しかしヨアシュも、たけり狂う人々を前にして、負けてはいません。 「バアル様 もなんだな。 おまえさんたちに助けてもらわなきゃならんのかい。 なんとだらしのな い神様だ。 おまえさんたちはこんな情けないバアル様のために、いのちを投げ出そうっ てわけかね。もしほんとうの神様ならな、ご自分の祭壇をこわしたやつなんぞ、さっさと やっつけておしまいになればいいじゃないか。」 32 この時からギデオンは、「エルバアル」とあだ名されるようになりました。 「バア ルは自分の面倒ぐらい見るがよい」という意味です。 33 それからしばらくして、ミデヤン人、アマレク人、その他の近隣諸国は、連合して イスラエルに対抗しようと兵をあげました。 その軍勢はヨルダン川を渡り、イズレエル の谷に陣を敷いたのです。 34すると、神の霊がギデオンをとらえたので、ギデオンが 召集ラッパを吹き鳴らすと、アビエゼルの男どもが結集しました。 35マナセ、アシェ ル、ゼブルン、ナフタリにも使者を送り、戦士を募ると、どこもかしこもみな応じてくれ ました。 36 ギデオンは神様に願い出ました。 「お約束どおり、イスラエルを救うために私を 立ててくださるおつもりなら、 37証拠を見せていただきたいのです。 今夜、打ち場 に羊の毛を置いておきます。 もし明日の朝、羊の毛だけが露でしめり、土がかわいてい るなら、神様がついていてくださるんだと確信できるんですが。」 38 すると、そのとおりのことが起こったのです。 明くる朝はやく起きて羊の毛をし ぼると、鉢いっぱいの水がしたたり落ちたのです。 39 ギデオンはまた神様に申し上げました。 「どうか、お怒りにならないでください。 もう一度だけ試させていただきたいのです。 今度は反対に、羊の毛だけをかわかして、 地面全体をしめらせてください。」 40 神様はギデオンの願いどおりにしてくださいました。 その夜、羊の毛はかわいた ままで、地面は露でおおわれたのです。 七 1 エルバアル、すなわちギデオンの率いる軍勢は、朝はやく出立し、ハロデの泉まで進 みました。 ミデヤンの連合軍はその北の方、モレの山沿いの谷に陣を敷いていました。 2 その時、神様はギデオンにこうお告げになったのです。 「兵が多すぎるぞ! この ままでミデヤンと戦わせるわけにはいかんな。 イスラエル国民が自力で勝ったつもりに なって、わたしに傲慢な態度をとるかもしれんからな。 3臆病風に吹かれている者など、 さっさと家に帰してしまえ。」 すると、二万二千人が去り、戦闘意欲のある者一万人だけが残りました。 4 しかしなお神様は、「まだ多すぎるぞ! 全員を泉に連れて下れ。 だれがおまえと共 に行くべきで、だれが行くべきでないか、はっきり示してやろう」と言われたのです。 56ギデオンは一同を水辺に集合させました。 すると神様の声がして、「水の飲み方で全 員を二組に分けよ。 最初の組には、手で水をすくい、口にあてて犬のようになめる者ど もを組み入れ、第二の組には、かがみ込んで、口を水につけて飲む者どもを振り分けよ。」 手で水をすくって飲んだのは、三百人だけでした。 ほかの者はみな、口を水につけて飲 んだのです。 7 神様はきっぱり言われました。 「わたしは、最初の組の三百人でミデヤン人を征服 しよう。 残りはみな家へ帰らせるがよい。」 89そこでギデオンは、兵の持っているつぼとラッパを供出させてから、三百人だけを残 し、あとは全員帰宅させました。 さて、ミデヤン人の陣営は眼下に見下ろす谷にありました。 その夜のこと、神様はギデ オンに命じました。 「起きろ! 全軍を率いてミデヤンの陣地に突っ込め! 必ず勝つ ぞ。 10それでも心配なら、配下のプラを連れて敵陣へ行き、 11いったい敵陣では どんな話が交わされているか、自分の耳で確かめるがよかろう。 きっと勇気百倍して攻 撃に出られるはずだ。」 ギデオンはプラを連れ、やみにまぎれて敵の前哨基地にもぐり込みました。 1213ミ デヤン人、アマレク人、そのほか東方諸国の兵士が、いなごのように谷に群がっていまし た。 まさに浜辺の砂のようでした。 その上、おびただしい数のらくだがいます。 テ ントの一つにまではって行くと、悪夢から覚めた男が、ちょうどその恐ろしさを仲間に話 しているところでした。 「全くいやな夢を見たよ。 どでかい大麦のパンのかたまりがな、この陣地めがけて転が り落ちて来るのさ。 そいでな、テントをぺしゃんこにしちまうんだ。」 14 「そりゃ、こうに違いないぜ。 イスラエル軍にヨアシュの息子のギデオンっての がいてな、そいつがわれわれ連合軍を全滅させようとしてるんだ。」 15 これを聞いたギデオンは、その場に突っ立ったまま、神様を礼拝する以外にありま せんでした。 すぐさまイスラエルの陣営に取って返し、こう叫びました。 「集まれ! 神様はわれわれの手にミデヤンの大軍を渡してくださるぞ!」 16 彼は三百人を三隊に分け、めいめいにラッパとつぼを持たせました。 つぼには、 たいまつが隠してありました。 17次は作戦の説明です。 「いいか。 敵の最前線に着いたら、私がするとおりにしろ。 18私と私の部隊の者が ラッパを吹いたら、ほかの部隊の者も敵陣をぐるりと取り囲んで、いっせいにラッパを吹 き鳴らせ。 そして、『神様のため、ギデオンのために戦うぞ』と叫ぶのだ。」 1920ギデオンの率いる百人が、ミデヤン軍の前線に忍び込んだ時は真夜中で、ちょう ど歩哨の交替がすんだところでした。 この時とばかり、彼らはラッパを吹き鳴らし、つぼを打ち砕きました。 暗やみの中で、 たいまつがぱっと燃え上がります。 もちろん、ほかの二百人も同じようにしました。 右 手に持ったラッパを吹き鳴らし、左手にたいまつを掲げながら、大声で叫んだのです。「神 様のため、ギデオンのために戦うぞ。」 21 敵の大軍は大混乱に陥り、右往左往し、悲鳴をあげて逃げ出しました。 イスラエ ル軍は、ただ立って見守るだけでよかったのです。 22大混乱の中で、神様は片っぱし から同士打ちをさせたので、まさに修羅場と化してしまいました。 生きのびた連中は、 やみにまぎれてツェレラ近くのベテ・ハシタや、タバテに近いアベル・メホラの境界まで 逃げて行きました。 23 ギデオンは、ナフタリ、アシェル、マナセの軍隊を呼び寄せ、逃走中のミデヤン軍 を追撃して滅ぼせと命じました。 24また、エフライムの山地全域に使者を送り、ベテ・ バラにあるヨルダン川の渡し場を押さえる手配をさせました。 ミデヤン軍の退路を閉ざ そうというのです。 25ミデヤン軍の二人の将軍、オレブとゼエブが捕まりました。 オ レブは、今ではオレブと呼ばれるようになった岩の上で殺され、ゼエブも、今はゼエブと 呼ばれる酒ぶねの中で殺されました。 こうしてイスラエル軍は、ヨルダン川の西側にい たギデオンのもとへ、二人の首を届けました。 八 1 ところが、エフライム部族の指導者たちは、激しくギデオンに詰め寄りました。 「ミデヤン人との初陣を飾る際、なぜわれわれに声をかけてくれなかったんだね。」 23「あなたがたには、神様がちゃんと、ミデヤンの将軍オレブとゼエブを、捕らえさせ てくださったじゃないですか。 それに比べたら私のしたことなんか! この戦いの最後 を飾ったのは、あなたがたですよ。 そのほうが、戦いをしかけるよりも大仕事だったじ ゃありませんか。」 ギデオンの答えに、彼らはようやく納得しました。 4 さて、ギデオンと三百人の兵士はヨルダン川を渡りました。 かなり疲れていました が、追撃の手はゆるめません。 5ギデオンは、スコテの人々に食べ物をくれるよう頼み ました。 「われわれは、ミデヤン人の王ゼバフとツァルムナを追いかけているが、くた くたな上に腹ぺこなんだ。」 6 ところが、スコテの指導者たちからは冷淡な返事が戻ってきただけです。 「まだゼ バフとツァルムナを捕らえたわけじゃないんだろう。 食べ物を恵んだのに負けられでも したら大へんだ。 あいつらはここへ来て、わしらを殺すに違いないからな。」 7 そこでギデオンは、こう警告しました。 「神様が二人を捕らえさせてくださったあ かつきには、戻って来て、野のいばらやとげで、おまえたちの肉を引き裂いてくれるわ。」 8 それからペヌエルに上り、食糧を求めたところ、また同じ返事です。 9そこで、ペ ヌエルの人々にも警告しました。 「この戦いに決着がついたら、戻って来て、このやぐ らをたたきこわしてやるからな。」 10 そのころゼバフ王とツァルムナ王は、残りの兵一万五千を率いてカルコルにたて こもっていました。 とにかくこれが、連合軍で生き残ったすべてでした。 十二万人が すでに殺されていたのです。 11ギデオンは、ノバフとヨグボハの東にある隊商路を迂 回して、ミデヤンの陣営を急襲しました。 12二人の王が逃げ出すと、ギデオンは追い かけて捕らえたので、敵軍は総くずれとなりました。 13戦いがすんで、ギデオンはヘ レスの坂道を帰路につきました。 14この時、スコテから一人の若者を捕らえて来て、 町の政治的・宗教的指導者七十七名の名前をあげさせたのです。 15 次に、ギデオンはスコテに取って返し、こう言いました。 「よくも、ゼバフ王や ツァルムナ王を捕らえられっこないとあざけってくれたな。 おまけに、疲れて空腹をか かえたわれわれに、パン一つくれなかった。 よく見ろ。 こいつらがゼバフとツァルム ナだ。」 16 ギデオンは町の重要人物を捕らえ、野生のいばらやとげでひっかいて殺しました。 17またペヌエルにも赴き、町のやぐらをたたきこわし、男子全員を殺したのです。 18 それからギデオンは、ゼバフ王とツァルムナ王に問いただしました。 「おまえた ちがタボル山で殺した者たちは、だれに似ていたか。」 「あなたと同じような服を着ていました。 まるで王子のようで……。」 19 「ああ、私の兄弟に違いない。 誓ってもいい。 彼らを殺さずにいてくれたら、 おまえたちを助けてやるのに。」 20 ギデオンは長男エテルに、二人を殺せと命じました。 しかし、エテルはまだ少年 だったので、恐ろしくて剣を抜くことができません。 21 ゼバフとツァルムナはギデオンに頼みました。 「あなたが手を下してください。 わしらも、あなたのような大人に殺されたほうがいい。」 そこで、ギデオンがとどめを刺 し、二人のらくだの首から飾りをはずしました。 22 その時、イスラエルの人々は叫びました。 「ばんざーい。 あなた様もご子息も、 子々孫々に至るまで、われわれを治めてください。なにしろ、ミデヤン人からお救いくだ さったのですから。」 2324しかし、ギデオンの答えはこうでした。 「私は王になる気はない。 息子も同 じだ。 神様こそあなたがたの王だ。 そこで、ひとつ聞き入れてほしいことがあるんだ が、敵から分捕ったイヤリングを、全部もらえないだろうか。」 ミデヤン軍はイシュマエ ル人だったので、みんな金のイヤリングをつけていたのです。 25 「どうぞ、どうぞ」と彼らは答え、布を広げると、一人一人、分捕り物のイヤリン グを投げ込みました。 26全部で時価七百五十万円にも相当しました。 同時に投げ込 まれた三日月形の飾り、垂れ飾り、王衣、らくだの首飾りなどは別にしてもです。 27 ギデオンはその金で、エポデ〔そでなしの上着。 普通は祭司が着るが、ここでは金の装 飾がついて重く、壁にかけた〕を作り、自分の町オフラに置きました。 ところが、イス ラエル人がだれもかれもそれを拝むようになり、これは、ギデオンとその一族が犯した悪 行となったのです。 28 以上が、ミデヤン人がイスラエル人に屈服するに至った経過です。ミデヤン人は二 度と立ち直れず、ギデオンが生きている四十年間は、イスラエルに平和が続きました。 2 9ギデオンは家に帰りました。 30彼には息子が七十人もいました。 妻が大ぜいいた からです。 31また、シェケムに内妻が一人おり、アビメレクという男の子がいました。 32年老いたギデオンはついに世を去り、アビエゼル人の地オフラにある、父ヨアシュの 墓に葬られました。 33 ギデオン亡きあと、イスラエル人はたちまちバアルやバアル・ベリテの偶像崇拝に 陥りました。 34もう、周囲のすべての敵から救い出してくださった神様を、心に留め ようとはしなかったのです。 35ギデオンの数々の功績をも忘れ、その一族を手厚く待 遇することも怠りました。 九 1 ある日、ギデオンの息子アビメレクは、シェケムに住む母方のおじを訪ねて頼みまし た。 2 「シェケムのお偉方のところへ行って、話していただけませんか。ギデオンの七十人 の息子に支配されるのがよいか、それとも、ほかでもない、皆さんの身内の私に支配され るのがよいか、尋ねてほしいのです。」 3 おじたちは町の指導者を訪ね、アビメレクの考えを伝えて相談しました。 すると、 母親がこの町の者だということで、彼らはアビメレクを受け入れたのです。 4事が決ま ると、彼らはバアル・ベリテの偶像へのさい銭を、仕度金としてアビメレクに渡しました。 その金で彼はさっそく、言いなりになるごろつき連中を雇いました。 5そして、一行を 率いてオフラにある父の家へ行き、そこの石の上で、腹違いの兄弟七十人を殺してしまっ たのです。 ただし、最年少のヨタムだけは難を避けて隠れていました。 6シェケムと ベテ・ミロの住民は、シェケムの要塞のそばにある樫の木の下に集まって相談し、アビメ レクをイスラエルの王にまつり上げました。 7 これを知ってヨタムは、ゲリジム山の頂上に立ち、シェケムの人人に大声で叫びまし た。 「皆さん。 神様に祝福されたかったら、私の言い分を聞いてくれ。 8昔、木々 が王様を選ぶことにした。 最初に、オリーブの木に王様になってくれと頼んだが、 9 断わられてしまった。 『わしゃ、神様と人とを祝福するためのオリーブ油をつくり出すのが楽しいんじゃよ。 た だ木々の上にそよいでいるだけなんて、まっぴらだ。』 10 それで、いちじくの木に、『あなたこそわれわれの王様です』と言った。 11 だが、いちじくの木も断わった。 『甘い実をならすのをやめてまで、ほかの木の 上に頭をもたげようとは思わないよ。』 12 それで、ぶどうの木に、『どうか私どもを治めてください』と頼み込んだ。 13 もちろん、ぶどうの木も断わった。 『私は神様と人とを楽しませるぶどう酒をつ くり出すのをやめてまで、ほかの木より偉くなろうなんて思いません。』 14 そこでとうとう、いばらに、『あんたが王様になってくれないか』と懇願した。 15 いばらは答えた。 『ほんとうにそう思うのなら、おいらの陰のもとに身を低くし てもらおうじゃないか。 それがいやなら、おいらから火が燃え上がって、レバノンの大 杉まで焼き尽くしてしまうからな。』 16 さあ、はっきりしてもらおう。 アビメレクを王にしたことは正しいことだったか どうか。 それが、ギデオンとその子孫全員を正しく扱ったことになるかどうか。 17 私の父はおまえたちのために戦い、いのちがけでミデヤン人から救い出したのだ。 18 それなのに、なんだ。 父に反逆し、息子七十人を石の上で殺すようなまねをした。 そ の上、女奴隷の子アビメレクを、身内だというだけで、王にした。19これが、ギデオン とその子孫とに対する正しい態度であるなら、おまえたちもアビメレクも、末長く幸福に 暮らせるだろう。 20だが、もし正しいものでないなら、アビメレクはシェケムやベテ・ ミロの住民と、お互いを滅ぼし合うことになるだろう。」 21 そののちヨタムは、アビメレクを恐れてベエルに逃げ、そこに住みつきました。 2 223三年が過ぎたころ、神様がアビメレク王とシェケムの住民との間にもめ事を起こし たので、シェケムの住民は、アビメレクに反旗をひるがえすに至りました。 24引き続 いて起こった事件の結果、アビメレクと、ギデオンの七十人の息子殺害に加担した者たち とに、その殺人罪に対する当然の罰が下ることになったのです。25シェケムの人々は、 峠の小道のわきに、アビメレクを待ち伏せる者を潜ませました。 ところが、その者たち は、手あたりしだいに通行人から略奪するしまつでした。 この陰謀をアビメレクに告げ る者がありました。 26当時、エベデの息子ガアルが兄弟といっしょにシェケムへ移住 し、町の要職についていました。 27その年の収穫祭が、シェケムの神の宮で催されて いた時のことです。 ぶどう酒の酔いが回ると、人々は口々にアビメレクの悪口を言い始 めたのです。 28 ガアルはわめきました。 「アビメレクが何だってんだ。 どうしてあいつが王に ならなきゃならんのだ。 あんな野郎にへいこら言ってられるかよ。 やつも仲間のゼブ ルも、おれたちの家来にしてやるからな。 くたばれ、アビメレクめ! 29おれ様を王 様にしてみな。あっという間に、あんなやつ、やっつけてみせらあ。 やい、アビメレク! せいぜい強いのを集めて、出て来い! いつでも相手になってやるぞ。」 30 町長のゼブルはガアルの暴言を聞くと、怒りに震えました。 31さっそくアルマ にいるアビメレクに使者を立て、こう言わせたのです。「エベデの息子ガアルが、身内の者 といっしょにシェケムへ来て住みついております。 やつらは今、町中をあなたに背かせ ようとやっきですぞ。 32夜のうちに兵を率いて野原へ行き、隠れていてください。3 3朝はやく、日がのぼるころ、町に突入するがよろしい。 ガアルとその一味が手向かっ て来たら、それこそ、思いどおりにやっつけてやれますよ。」 34 アビメレクとその一隊は夜中に進軍し、四隊に分かれて、シェケムの町を取り囲み ました。 35翌朝、ガアルが地区役員と話し合うために町の門のところに座った時、ア ビメレクと家来たちは、いっせいに進撃を開始しました。 36 それを見たガアルは、ゼブルに叫びました。「見ろ、あの山を。大ぜい駆け降りて来 るぞ!」 「とんでもない! 山の影が人のように見えるだけですよ。」 37 「なに、おれの目がふし穴だって言うのか。 よーく見ろ! 確かに人がこっちへ 来るんだ。 ほれ! ほかの一組はメオヌニムの樫の木の方から来るぞ!」 38 するとゼブルは、向き直り、勝ち誇って言いました。 「あれほど大口をたたいた のは、どこのどなたでしたかな。 『アビメレクがどうした! なんであんなやつを王に した!』とわめいたのは、どなた様でしたかね。 あんたが見くびってののしった連中が、 町を取り囲んだじゃありませんか。 さあ、さっさと戦ったらどうです。」 39 ガアルはシェケムの人々を率いて、アビメレクと一戦を交えました。 40しかし、 たちまち打ち負かされ、負傷者が続出して、町の門のところまでいっぱいに倒れているし まつでした。 41アビメレクは引き続きアルマに住み、ゼブルはガアルとその一族を追 い出し、二度と入り込めないようにしました。 42 翌日、シェケムの人々は再起をはかって戦いに打って出ました。ところが、そのこ とをアビメレクに通報する者があったので、 43彼は兵を三隊に分け、野原で待ち伏せ ました。 そして、人々が勇んで出て来たところを、飛び出して襲いかかったのです。 4 4アビメレクとその一隊は、人々が引き返せないように、町の門を急襲して占拠し、ほか の二隊は野で人々を切り倒しました。 45戦闘は一日中続き、ついにアビメレクは町を 占領し、住民を殺し、町を破壊してしまいました。 46これを見て、近くのミグダルの 町の住民は、バアル・ベリテの宮に続くとりでに逃げ込みました。 4748このことを聞いたアビメレクは、兵を率いてツァルモン山に登り、斧で木の枝を 切り、束ねて背負うと、「おれのやるようにやれ」と一同に命じました。 49こう言われ て、家来はめいめい、急いで枝を切って束ね、かついでとりでの町に引き返しました。 そ してアビメレクのするとおり、たきぎをとりでの回りに積み上げ、火をつけたのです。 そ れで、とりでの中にいた約千人の男女が焼け死んでしまいました。 50 次にアビメレクは、テベツの町を攻撃し、占領しました。 51しかし、町にはと りでがあったので、住民はみなそこに逃げ込みました。人々はバリケードを築いて立てこ もり、屋根に見張りを立てました。52ところが、アビメレクがとりでを焼き打ちにしよ うと近づいた時、53屋根の上にいた一人の女が石臼を投げたのです。 それがアビメレ クの頭上に落ち、頭蓋骨を打ち砕いてしまいました。 54 「殺してくれ!」 アビメレクはよろい持ちの若者に向かってうめきました。 「女 の手にかかったなんて言われてたまるか。」 もう、どうにもなりません。 その若者は剣で刺し通しました。これがアビメレクの最期 でした。 55家来たちは、アビメレクが死んだのを見て散り散りになり、家へ帰ってし まいました。 5657こうして神様は、ギデオンの七十人の息子殺害の罪を、アビメレ クとシェケムの人々に報いたのです。 同時に、ギデオンの息子ヨタムののろいも実現し たことになります。 一○ 1 アビメレクの死後、イスラエルの士師として立てられたのは、ドドの孫、プワの息子 トラです。 この人はイッサカル部族の出身で、エフライムの山地にあるシャミルの町に 住んでいました。 2彼は二十三年間、士師としてイスラエルを治めました。 3彼が世 を去ってシャミルに葬られると、ギルアデ出身のヤイルが後継者となり、二十二年間イス ラエルを治めました。 4ヤイルの三十人の息子は、三十頭のろばを乗り回し、ギルアデ にある三十の町を所有していました。それは今でも、「ヤイルの町」と呼ばれています。 5 ヤイルは死後、カモンに葬られました。 6 するとまたもや、イスラエル国民は神様から離れ、バアルやアシュタロテといった異 教の神々を拝み、シリヤ、シドン、モアブ、アモン、ペリシテの神々に仕えるようになり ました。 そればかりか、神様を礼拝することなど、きれいさっぱりやめてしまったので す。 78このことが、神様の怒りを引き起こさないはずはありません。 神様は直ちに、 ペリシテ人とアモン人を動かして、イスラエル人を悩ませたのです。 この両軍は、ヨル ダン川の東にあるエモリ人の地ギルアデに攻め入り、 9さらにユダ、ベニヤミン、エフ ライムにまで攻撃の手を伸ばしました。 アモン人がヨルダン川を渡り、イスラエルに踏 み込んだのです。 攻撃は十八年間も続きました。 10ついにイスラエル人はたまりか ね、神様に救いを求めました。 「私たちはとんでもない罪を犯しました。 自分たちの神様を捨てて、偶像を拝んでおり ました」と、罪を告白したのです。 1112神様のお答えはこうでした。 「わたしは、エジプト人、エモリ人、アモン人、 ペリシテ人、シドン人、アマレク人、マオン人からおまえたちを救ってやったではないか。 これまでいつだって、叫び求めてくれば救い出してやったはずだ。 13それなのに、お まえたちはわたしを捨て、性懲りもなくほかの神々を拝んでいる。 勝手にするがいい。 もう助けてやらん。 14行って、新しく選んだ神々にでも助けてもらえ。」 15 それでも人々は、神様に助けを求め続けました。 「私たちが悪うございました。 どうぞ存分に罰してください。 ただ、もう一度だけ敵の手から救い出していただきたい のです。」 16 彼らは外国の神々を取り除き、ひたすら神様を礼拝しました。 それで神様も、か わいそうにお思いになったのです。 17そのころアモン人の軍がギルアデに集結し、ミ ツパに陣を敷いたイスラエル軍を攻撃しようとしていました。 18 途方にくれたギルアデの指導者たちは、「いったいだれが、わしらの軍を率いてアモ ン人と戦ってくれるのか。 その役を買って出る者こそ、わしらの王だ」と話し合ってい ました。 一一 12さて、エフタはギルアデ出身の勇士でしたが、母親は遊女の身でした。 父ギルアデ には、正妻の産んだ数人の息子がいました。 息子たちは成長すると、腹違いの兄弟エフ タを、ギルアデから追い出してしまったのです。 「遊女の子に、おやじの財産などこれっぽちもやるわけにはいかん」というわけです。 3 エフタは父の家を飛び出し、トブの地に移り住みました。 まもなく、そこで不平分 子の一団を従えるようになり、盗みを働いて日を送っていました。 4そんな時、アモン 人がイスラエルに宣戦布告をしてきたのです。 5ギルアデの要人たちはエフタを呼びに やり、 6指揮官としてアモン人と戦ってくれと頼み込みました。 7 しかし、エフタは冷ややかに答えるばかりです。 「私を憎むあまりに父の家から追 い出しておきながら、どうして、ここへおいでになったんです。 今さら困ったからって、 よくも来られたもんですな。」 8 「どうしてもあんたに帰ってもらいたいんだ。 もし総指揮官としてアモン軍と戦っ てくれたら、ギルアデの王になってもらうよ。」 9 「ほんとうかね。 とても信じられないな。」 10 「神かけて誓うよ。」 11 こう言われて、エフタも気を変え、彼らの願いどおり総指揮官となり、王になりま した。 この契約は、人々がミツパに集まった時、神様の前で結ばれたのです。 12エ フタはアモン人の王に使者を送り、イスラエル攻撃の理由を尋ねました。 13すると、 「そこはもともとアモン人の土地だったのだ」という返事です。 王の言い分では、エジ プトから移って来たイスラエルが、アルノン川からヤボク川、ヨルダン川に至るアモン人 の全領地を奪い取ってしまった、というのです。 「すみやかに、わしらの土地を返してくれ」と、王は要求してきました。 1415エフタは答えました。 「イスラエルはその土地を奪ったのではない。 16真 相はこうだ。 イスラエル人がエジプトを出て紅海を渡り、旅を続けてカデシュに来た時、 17エドムの王に使者を送り、その領地を通過する許可を求めた。 しかし、聞き入れて もらえなかったのだ。 モアブの王にも同様の許可を求めたが、やはり断わられ、やむな くカデシュにとどまった。 18 それでも、とうとうイスラエルは荒野に出て、エドムとモアブの地を迂回し、その 東の境に沿って旅を続け、モアブの境界線であるアルノン川の向こうに着いた。 ただし、 モアブの領地には決して入らなかった。 19それからイスラエルは、ヘシュボンに住む エモリ人の王シホンに使者を送り、目的地に行くため領地内を通らせてほしいと頼んだ。 20しかし王はイスラエルを信用せず、ヤハツに兵を集結させ、攻撃をしかけて来た。 2 122しかしイスラエルの神様は、われわれに力を貸し、王とその国民を打ち破ってくだ さった。 それでイスラエルは、アルノン川からヤボク川までと、荒野からヨルダン川ま での、エモリ人の全地を手中に収めたわけだ。 23 このように、この土地をエモリ人から取り上げてイスラエルに与えてくださったの は、われわれの神様なのだ。 それなのにどうして、返さなければならないのか。 24 そちらはそちらで、自分らの神ケモシュが与えてくれるものを、しっかり守ればいいだろ う。 われわれは、神様が下さったものを大事にしたいのだ。 25いったいぜんたい、 何様のつもりでいるんだね。 モアブの王バラクより偉いつもりか。バラクはイスラエル に打ち負かされたあと、土地を取り返そうとしたかね。 もちろん、しやしない。 26 今さら三百年も昔のことをとやかく問題にして、どうなる。 イスラエルは三百年もここ に住み、ヘシュボンからアロエルに至る一帯へ、またアルノン川沿岸の全域へと広がって いったのだ。 その気があるなら、どうして、もっと早く取り戻そうとしなかったのか。 27こちらは何も悪いことをした覚えはないぞ。 それなのに、そちらが勝手に戦いをい どんで、悪事を働こうとしている。 しかしもうじき、どちらが正しいか、神様がはっき りさせてくださるさ。」 28 アモン人の王は、エフタのことばに全く耳を貸しませんでした。 29 その時、神の霊がエフタに下りました。 エフタは兵を率いてギルアデとマナセの 地を通り、ギルアデのミツパからアモン軍を攻撃しました。 3031一方、エフタはこ う神様に誓ったのです。 「もし神様のお助けによってアモン人を征服でき、無事に帰還 させていただけるなら、私の家から最初に迎えに出た者を、完全に焼き尽くすいけにえと しておささげいたします。」 32 エフタは兵を率いてアモン人と戦い、勝利を収めました。 33そして、アロエル からミニテにかけての二十の町と、アベル・ケラミムに至るまで、くまなくアモン人を虐 殺して回りました。 ついにアモン人は、イスラエルに屈服したのです。 34 エフタが戻ると、彼のひとり娘が、大喜びでタンバリンを鳴らし、踊りながら、駆 けよって来たではありませんか。 35娘を見て、エフタは胸を引き裂かれる思いで着物 を引きちぎり、叫びました。 「ああ、なんでこんなむごいことに! いったん神様に誓いを立てたからには、もう取り 消すわけにはいかないんだが……。」 36 「お父様、どうか神様にお誓いになったとおりになさってください。 神様は敵の アモン人をやっつけて、こんなすばらしい勝利をもたらしてくださったのですもの。 3 7ただ、二か月の間、私を女友だちと山に行かせ、さまよい歩かせてください。 結婚も しないで終わることを泣き悲しみたいの。」 38 「ああ、ああ。 行くがいい。」 そこで彼女は、自らの運命を友だちと共に嘆きながら、二か月間さまよったのです。 3 9二か月が過ぎて戻った娘を、エフタは誓願どおり神様にささげました。 娘はついに結 婚しなかったことになります。 〔ただし、いけにえとして実際に殺されたのか、処女の ままで神様に生涯をささげたのかは、不明です。〕 こののちイスラエルでは、次のような 慣習ができました。 40毎年四日間、若い娘たちは出て行って、エフタの娘のために嘆 き悲しむのです。 一二 1 さて、エフライム部族はツァフォンに兵を集め、エフタにこう言い送りました。 「ア モン人と戦う時、なぜわれわれに援軍を求めなかったんだ。 おまえの家なんぞ、おまえ もろとも焼き払ってやるからな。」 2 「あなたがたには召集をかけましたよ。 しかし、駆けつけてはくれなかったじゃな いですか。 助けてほしかった時に助けてくれなかったのですよ。 3ですから、あなた がたを当てにせず、いのちがけで戦ったんです。 幸い、神様が助けてくださり、敵を破 ることができました。 それなのに何だって、戦いをしかけてくるんですか。」 4 エフタは、エフライム部族が「ギルアデの連中は、どこの馬の骨かわからん。 人間 のくずだ」と侮辱するのに激怒し、兵を集めてエフライム軍を攻撃しました。 5そして、 エフライム軍の背後にあるヨルダン川の渡し場を占領したのです。 逃げて来る者が川を 渡ろうとすると、ギルアデ人の見張りが尋問しました。 「おまえはエフライムの者じゃないのか」と聞き、「違う」という答えが返ってくると、 6 「『シボレテ』と言ってみろ」と命じるのです。 もし「シボレテ」と正しく発音できず、 「スィボレテ」と発音すれば、引っ立てて行って殺します。 こうして、ここで四万二千 人のエフライム人が死んだのです。 7 エフタは六年間、イスラエルの士師の座にありました。 彼は世を去ると、ギルアデ の町に葬られました。 8 エフタの次に士師となったのは、ベツレヘムに住んでいたイブツァンです。 910 彼には息子と娘が三十人ずついました。 彼は娘を自分の氏族以外の者に嫁がせ、息子た ちにはよそから三十人の嫁を迎えました。 彼は世を去るまでの七年間イスラエルをさば き、ベツレヘムに葬られました。 1112次に士師となったのは、ゼブルン部族のエロンです。 彼は十年間イスラエルを さばき、ゼブルンのアヤロンに葬られました。 13 そのあとを継いだのは、ピルアトン人ヒレルの息子アブドンです。14彼には四十 人の息子と三十人の孫がおり、彼らは七十頭のろばを乗り回していました。 アブドンが 士師であった期間は、八年です。 15死後、アマレク人の山地にあるエフライムのピル アトンに葬られました。 一三 1 イスラエル人はまたもや、ほかの神々を拝む罪を犯しました。 それで神様は、イス ラエルをペリシテ人が征服するにまかせたので、四十年間もその支配下に置かれることに なりました。 23ある日のこと、神様の使いが、ツォルアに住む、ダン部族のマノアの 妻に現われました。 彼女は子宝に恵まれない女でしたが、御使いはこう告げたのです。 「おまえには長いこと子供ができなかったが、まもなくみごもり、男の子を産む。 4い いかね、ぶどう酒や強い酒を飲んではいけないよ。 それに、おきてで禁じられている食 べ物も口にしないように。 5生まれて来る子の頭には、かみそりを当ててはならない。 その子は、神様に仕えるナジル人として、生まれた時から特別にきよめられているんだ。 やがてその子は、イスラエルをペリシテ人から救い出すことになるだろう。」 6 マノアの妻は夫のもとへ駆けつけ、一部始終を話しました。「神様からのお使いが来ら れたの。 きっと天使様に違いないわ。 あまり神々しくて、まともに見ることもできな かったわ。 どちらからいらしたのか、お尋ねもできなかったし、その方も名をお告げに ならないのよ。 7でも、こうおっしゃったわ。 『おまえは男の子を産む』って。 そ して、ぶどう酒や強い酒を飲んではいけないし、おきてで禁じられている食べ物も口にし てはいけない。 その子は、生涯、神様にささげられたナジル人だから、とおっしゃいま したの。」 8 それを聞いて、マノアは祈りました。 「ああ、神様、どうかそのお方をもう一度、 私たちのもとへお送りください。 生まれて来る子にどうしてやればよいのか、もっとお 指図を賜わりたいのです。」9祈りは聞かれ、神様の使いはもう一度、マノアの妻のもとに 遣わされたのです。 この時も、彼女は一人だけで畑におり、夫は居合わせませんでした。 10彼女は急いで夫を捜しに行き、「あの方がまた、おいでになったわ」と告げました。 11 マノアは妻といっしょに大急ぎで駆けつけました。 「あなた様は、いつか妻にお 語りくださったお方でしょうか。」 「そうです。」 12 「男の子が生まれたら、どのように育てたらよいか、お指図をいただきとうござい ます。」 1314「おまえの妻に命じておいたことを、きちんと守ればよろしい。彼女は、ぶどう も干しぶどうも食べてはならない。 ぶどう酒も強い酒も口にせず、おきてで禁じられて いる物も食べないことだ。」 15 「少しお待ちいただけますか。 何かお召し上がり物を用意いたします。」 16 「いるのはよいが、何も食べるわけにはいかない。 だが、たってとあらば、神様 にささげるいけにえを持って来るがよい。」 マノアは、その方が神様の使いであることに、 まだ気づいていなかったのです。 17 マノアはその方の名前を尋ねました。 「と申しますのも、おことばどおり男の子 が生まれた時、あなた様の預言が的中したと、みんなに知らせとうございますからね。」 18 「なぜ名前など尋ねるのだ。 それは秘密だ。」 19 マノアは子やぎと穀物の供え物を手にし、神様へのいけにえとしてささげました。 すると御使いは、とても不思議なことをして見せたのです。 20祭壇から天に立ちのぼ る炎をマノア夫妻が見ていると、なんと、その炎の中を御使いがのぼって行くではありま せんか。 二人は思わず地にひれ伏しました。 21これが、二人がそのお方を見た最後 でした。 この時はじめて、マノアはその方が神様の使いであることを悟ったのです。 22 マノアは叫びました。 「わしらは助からん。 神様を見てしまったんだからな。」 23 しかし、妻は答えました。 「もし神様が私たちの命を取るおつもりなら、どうし て完全に焼き尽くすいけにえをお受けくださったんでしょう。 それに、このように私た ちの前に現われてくださったり、不思議なことを予告なさったり、先ほどみたいな奇蹟を 見せてくださったりするはずもありませんわ。」 24 さて、男の子が生まれると、サムソンという名がつけられました。その子は神様に 祝福されて、すくすくと育ちました。 25成人したサムソンが、ツォルアとエシュタオ ルの町との中間点にあるダン部族の練兵場を訪れるたびに、神の霊は、彼を奮起させるべ く働きかけ始めたのです。 一四 1 ティムナへ行ったある日のこと、サムソンはペリシテ人の娘が好きになりました。 2 家へ帰ると、さっそく両親に、その娘と結婚させてくれと頼みました。 3もちろん、両 親は大反対です。 「どうして、ユダヤ人の娘と結婚しないんだ。 ほんとうの神様を知らないペリシテ人を 妻にする必要があるのかね。 イスラエル中捜しても、おまえが結婚したい相手はいない、 と言うのかね。」 「ぼくが結婚したいのは、あの人だけなんです。 どうか嫁にもらってください。」 4 両親は、まさか背後で神様がこうなるようにあやつっておられるとは、気がつきませ ん。 神様は、当時イスラエルを支配していたペリシテ人を、計略にかけようとしておら れたのです。 5 サムソンと両親がティムナへ行くと、町はずれのぶどう畑で、一頭の若いライオンが サムソンに襲いかかりました。 6その瞬間、神の霊が激しい力をサムソンに注ぎました。 サムソンは武器を持っていませんでしたが、素手でライオンのあごをつかむと、真っ二つ に引き裂いてしまいました。 まるで子やぎを引き裂くように、難なくやってのけたので す。 しかし、このことは両親には黙っていました。7ティムナに着くとさっそく、サム ソンはその娘と語り合い、ますます気に入って、結婚の約束を交わしました。 8 結婚式のためにまた出かけて来たサムソンは、途中ライオンの死骸のことが気になり、 その場所へ立ち寄ってみました。 すると、死骸に蜜ばちが群がり、蜜がしたたっている ではありませんか。 9彼は蜜をかき集め、歩きながら食べました。 また、両親にも食 べさせたのです。 しかし、どこで手に入れたかは教えませんでした。 1011父親が結婚の手はず万端を整えてくれると、サムソンはしきたりどおり村の若者 三十人を招き、祝宴を催しました。 12サムソンがなぞ解きをしないかと持ちかけると、 皆は乗り気になりました。 「もし君たちが、七日間の祝宴中に私のなぞを解いたら、白生地の着物三十着と柄もの三 十着を差し出そう。 13だが、もし解けなかったら、同じものをもらうぞ。」 「よかろう。 言ってみろよ。」 14 「食らうやつから食い物が出、強いやつから甘い物が出た。」 三日たちましたが、 まだ解けません。 15 四日目に、一同はサムソンの新妻のもとへ来て、こう持ちかけました。 「だんな から答えを聞き出してくれよ。 いやだと言うなら、おまえもおまえのおやじの家も焼き 払ってやるからな。 おれたちゃなにも、丸裸にされるために呼ばれたわけじゃねえ。」 16 そうまで言われては、夫に泣きすがるほかありません。 「いったい、あなたは私 を愛してくださってるの。 村の人たちになぞをかけておいて、私には種明かしをしてく ださらないんですもの……。」 「実は、両親にも教えてないんだよ。 おまえにだって話せんよ。」 17 そう言われても、彼女は残りの祝宴のあいだ中サムソンのそばで涙にくれ、とりす がりました。 ついに七日目、彼はとうとう種明かしをしてしまったのです。 彼女がそ れを例の若者たちに教えたことは、言うまでもありません。 18七日目の日没前、彼ら はサムソンに答えました。 「はち蜜よりも甘い物は何か。 ライオンよりも強いものは何か。」 サムソンは憤然として言い返しました。 「私の若い雌牛で耕さなかったら、このなぞは 解けなかっただろう。」 19 その時、神の霊がサムソンに下りました。 彼はアシュケロンの町へ行き、三十人 を殺して着物を奪い、なぞを解いた若者たちにくれてやりました。 おさまらないのはサ ムソンです。 腹立ちまぎれに、妻を放っておいて、両親の家へ帰ってしまいました。 2 0すると妻のほうでも、サムソンとの結婚式に立ち合ってくれた仲間と結婚してしまった のです。 一五 1 やがて、小麦の刈り入れの季節になりました。 サムソンは子やぎ一頭を妻への贈り 物として持参し、結婚生活を続けようとしました。ところが、父親は娘の部屋に入れてく れません。 2 「てっきり、娘はあんたにきらわれたと思いましてな、あんたの介添えにやってしま いましたんじゃ。 どうです、妹のほうがあれより美人ですぞ。 代わりに妹をもらって やってくれませんかな。」 3 サムソンはかんかんに腹を立てました。 「いいか、これから先なにが起ころうと、 おれの知ったことじゃないぞ。」 4 彼は出て行き、きつねを三百匹とらえ、二匹ずつしっぽを結び合わせ、結び目にたい まつをくくりつけました。 5そしてたいまつに火をつけると、いっせいにペリシテ人の 畑に放ったのです。 たちまち麦が燃え上がり、山積みにしたりしてある麦束に燃え移り、 オリーブ畑まで丸焼けにしてしまったのです。 6 「いったい、だれのしわざだ。」 ペリシテ人は頭にきました。 「サムソンだ。 あいつの義理のおやじが娘をほかの男にやっちまったからな。」 それに 違いないということで、その娘と父親とを捕らえ、焼き殺してしまったのです。 7 これを知ったサムソンは、きっぱり言い放ちました。 「よーし、見ておれ。 かた きは取ってやるぞ!」 8激しい怒りに燃えて彼らを攻め、多数のペリシテ人を打ち殺し たあと、彼はエタムの岩にあるほら穴で暮らしました。 9そうこうするうち、ペリシテ 人がユダに大軍を差し向け、レヒに攻め入ったのです。 10 「なぜここに攻めて来たんだ」と、ユダの人々は尋ねました。 「サムソンをとっ捕まえるためだ。 あいつにお返ししてやるのさ。」 11 そこでユダから三千人が、サムソンを捕らえにエタムの岩のほら穴へ向かいました。 「何ということをしてくれたんだ。 ペリシテ人は、わしらの支配者じゃないか。」 「あいつらが私にしたとおり、お返ししただけさ。」 1213「わしらはおまえを捕まえ、ペリシテ人に引き渡そうとやって来たんだ。」 「わかった。 ただし、殺さないと約束してくれよ。」 「もちろんだ。」 こうしてサムソンは、二本の新しい綱で縛り上げられ、引っ立てられました。 14一行 がサムソンを捕らえてレヒに着くと、ペリシテ人は歓声をあげました。 神様の力がサム ソンに注がれたのは、その時です。 綱は、まるで糸のようにぷっつり切れ、手首から落 ちたではありませんか。 15すかさずサムソンは、そこに転がっていたろばのあご骨を 拾い上げ、あっという間に、千人のペリシテ人をなぎ倒してしまいました。 1617彼 はろばのあご骨をぽいと投げ捨てると、こう感慨をもらしたのです。 「ろばのあご骨で 山また山。 ろばのあご骨で 千人の屍。」 以来そこは、ラマテ・レヒ〔あご骨の丘〕と呼ばれています。 18 折りからひどくのどが渇いたので、サムソンは神様に祈りました。「神様はこの私に めざましい働きをさせ、きょうイスラエルをお救いくださいました。 ところが、私はの どが渇いて死にそうです。 こんなことで異教徒の手に落ちていいものでしょうか。」 1 9すると神様は、そばのくぼ地から、水をほとばしり出させてくださったのです。水を飲 んですっかり元気を取り戻したサムソンは、そこをエン・ハコレ〔祈りの人の泉〕と名づ けました。 その泉は今もあります。 20 サムソンは、こののち二十年間イスラエルの士師でしたが、なおこの地はペリシテ 人の支配下にありました。 一六 1 ある日、サムソンはペリシテ人の町ガザへ行き、一人の娼婦と夜を過ごしました。 2 たちまち、「サムソンを見かけた」という噂が広まり、警備体制が敷かれました。 町の人 も大ぜい、彼の帰りぎわを押さえようと、町の門で夜通し待ち伏せました。 「明け方になったら、見つけ出して殺してしまおう」と思っていたのです。 3 真夜中まで女と過ごしたサムソンは、そのあと町の門まで行き、門を二本の門柱もろ とも引き抜くと、高々とかつぎ上げ、ヘブロンの向こう側にある山のいただきまで運んで 行ったのです。 4 そののちサムソンは、ソレクの谷に住むデリラという女を愛するようになりました。 5ペリシテ人の五人の領主がじきじき彼女を訪ね、「サムソンの力の秘密を探ってくれな いか。 どうしたら、あいつを鎖で縛り上げてやれるか、ぜひとも知りたいのだ」と頼み ました。 それも、ただではありません。 「この仕事を引き受けてくれたら、めいめいが三十万円 ずつ出そう」と約束したのです。 6 デリラはサムソンに、力の秘密を打ち明けてほしいと頼みました。「ねえサムソン、ど うしてそんなに強いの。 教えてちょうだい。 あんたを捕まえるなんて、できっこない わね。」 7 「そうだな。 真新しい七本の弓弦で縛られでもすれば、おれも人並の力しか出せま いな。」 8 例の領主たちは、さっそく七本の弓弦を持って来ました。 デリラは眠っているサム ソンを縛り上げ、 9隣室には幾人かを潜ませておいて、大声で叫んだのです。 「サムソン! ペリシテ人が来たわ!」 するとどうでしょう。 サムソンは、弓弦を木綿糸のように断ち切ってしまったのです。 こうして彼の力の秘密は、だれにも知られずじまいでした。 10 するとまた、デリラはサムソンにからみました。 「あたしをからかったのね。 う そつき。 ねえ、どうしたらあんたを縛り上げることができるのか、教えてちょうだい。」 11 「わかったよ。 まだ使ったことのない新しい綱で縛ってみろ。普通の人と同じぐ らいの力しか出せないよ。」 12 それでデリラは、サムソンが眠ったころを見はからって新しい綱を取り出し、縛り 上げました。 前と同じように隣室に幾人かを潜ませ、またも大声で叫んだのです。 「サムソン! ペリシテ人が捕まえに来たわ!」 ところがサムソンは、まるでくもの巣でも払うように、綱を腕からはずしてしまったでは ありませんか。 13 「また、あたしをばかにして、とんでもないでたらめをおっしゃったのね。 ねえ、 お願い。 ほんとうのことを教えて。 どうしたらあんたを縛り上げることができるのよ。」 「ああ、わかったよ。 おれの髪をおまえの機に織り込んでみるんだな……。」 14 デリラはサムソンが眠ったのを確かめ、言われたとおり、彼の髪の毛を機に織り込 み、悲鳴をあげてみせました。 「ペリシテ人よ!サムソン!」 サムソンは目を覚ます と、髪をぐいと引っぱり、機をこわしてしまいました。 15 デリラは泣き出しそうな声で言いました。 「よくも、愛してるなんておっしゃれ るわね。 ちっとも私を信用してくださらないくせに。 もう三度もだまされたわ。 そ れでもまだ、力の秘密を教えてはくださらないのね。」 1617寝ても覚めてもせがみ続けるので、うるさくてたまりません。 サムソンはつい に秘密を打ち明けました。 「実はな、おれの頭にはかみそりが当てられたことがないんだよ。おれは、生まれる前か ら神様にささげられたナジル人だからな。 もし髪がそり落とされたら、おれの力もおし まいさ。 ほかの人と同じになるよ。」 18 ついにほんとうのことを白状させたのです。 デリラはさっそく、ペリシテ人の五 人の領主を呼びにやりました。 「もう一度お越しください。 今度こそまちがいありませんわ。」 彼らは約束の金を用意してやって来ました。 19彼女はひざ枕でサムソンを眠らせると、 床屋を呼び、髪をそり落とさせました。 念のためサムソンをこづいてみると、確かに彼 の力はなくなっているようです。 20 もう大丈夫と、悲鳴をあげました。「ペリシテ人が捕まえに来たわ! サムソン!」 サムソンは目を覚まし、「なあに、いつもの調子で片づけよう。 一ゆすりすりゃ、思いの ままさ」と考えました。神様が自分から去られたことに、気づいていなかったのです。 2 1ペリシテ人は彼を捕まえると、目をえぐり出し、ガザへ連れて行きました。 そこで青 銅の足かせをはめて牢に入れ、臼を引かせたのです。22しかしその間にも、サムソンの 髪は少しずつ伸びていました。 2324ペリシテ人の領主たちは、サムソン逮捕を祝う盛大な祭りを催しました。 人々 は彼らの神ダゴンにいけにえをささげ、熱狂的に賛美しました。 獄中のサムソンを満足げに眺めながら、「われわれの神様は、宿敵サムソンを引き渡してく ださった。 わしらの同胞を大ぜい殺した元凶が、今はあのざまだ」と叫びました。 2 526いいかげん酔いが回ったころです。 「サムソンを連れ出せ! 見せ物にして楽し もうじゃないか」という声があがったのです。 サムソンは牢から連れ出され、神殿の中央の大屋根を支える二本の柱の間に立たされまし た。 サムソンは手を引いている若者に頼みました。 「両手を二本の柱にすがらせてく れ。 寄りかかって休みたいんだ。」 27 この時、神殿は立錐の余地もないほど、人で埋め尽くされていました。 五人の領 主も臨席しており、バルコニーにも三千人の男女がひしめいて、サムソンの様子をおもし ろ半分に見守っていたのです。 28 サムソンは神様に祈りました。 「ああ、神様、どうかもう一度、私のことを思い 出してください。 いま一度、力をお与えください。えぐられた二つの目のためにも、報 復させてください。」 29 祈り終わると、全力を振り絞って柱を押しました。 30 最後に彼は、「ペリシテ人もろとも死なせてください」と祈りました。 すると神殿は、領主たちをはじめ、居合わせた全員の上にくずれ落ちたのです。 なんと、 サムソンが死ぬ時に殺した者の数は、生きている間に殺した数より多かったのです。 3 1その後、サムソンの兄弟や身内が来て遺体を引き取り、郷里に運んで、ツォルアとエシ ュタオルとの間にある、父マノアの墓に葬りました。 サムソンがイスラエルをさばいた のは二十年間でした。 一七 1 エフライムの山地に、ミカという名の人が住んでいました。 2 ある日、彼は母親に言いました。 「盗まれたと思って、お母さんがしきりに呪って おられた三十万円のことだけど、実はあれ、私が盗んだんです。」 すると母親は、「よく正直に話してくれたね。 神様が祝福してくださるよ」と答えたので す。 3ミカはその金を母親に返しました。 「おまえの名誉のためにも、このお金を神様にささげるよ。 これでおまえのために彫像 を作り、銀を張ってもらおうね。」 45母親は六万円を銀細工人に渡し、彫像を作らせました。 彫像は、屋敷内にあるミカ の聖堂に安置されました。 ミカはたくさんの偶像を集めており、エポデとテラフィムも ちゃんとそろえて、息子の一人を祭司に任命していたほどです。 6当時イスラエルには 王がなく、各人各様、思いのままに、正しいと思うことを行なっていたのです。 78ある日、ユダのベツレヘム出身の若い祭司が、安住の地を求めてエフライム地方へや って来ました。 道中、彼はふとミカの家の前で立ち止まったのです。 9 ミカは、「どちらからお越しですか」と尋ねました。 「ユダのベツレヘムからまいった祭司です。 どこか住むのによい所はないものかと、旅 しております。」 1011「よろしければ、ここにおとどまりください。 私どもの祭司になっていただき たいのです。 毎年、銀貨十枚と新しい衣服ひとそろい、それに生活費いっさいを面倒み て差し上げますよ。」 若者は同意し、ミカの息子同様になりました。 12ミカはおかか え祭司を得たのです。 13 「私は今、神様からほんとうに祝福していただいた。 正真正銘の祭司がいるんだ。」 彼は感激して言いました。 一八 1 こうした話でもわかるように、そのころイスラエルには王がいませんでした。 さて、 ダン部族は自分たちの相続地を得ようとしていました。 まだ、割り当て地を攻め取って いなかったからです。 2そこで、ツォルアとエシュタオルの町から勇士五人を選び、定 住しようとする地を偵察させました。 エフライムの山地に着いた五人は、ミカの家に宿 をとりました。 3そして、レビ人なまりの若者に気づき、かたわらに呼んで尋ねたので す。 「ここで何をしてるんですか。 なんでこんな所にいるんです?」 4若者はミカ との取り決めについて話し、ミカの私的な祭司であることを告げました。 5 「そうですか。 それなら、わしらの旅が成功するかどうか、ひとつ神様にうかがっ てくれませんか。」 6 「いいでしょう。 ……これはこれは、首尾は上々ですな。 神様は皆さんを、おこ ころにかけていらっしゃいますよ。」 7 やがて五人は、ライシュの町に入り込みました。 そして、住民がみな安穏と暮らし ているのに気づきました。 生活ぶりもフェニキヤ人らしく、たいそう裕福なものでした。 この辺では、脅威を感じるほどの強い部族もなかったので、無防備同然で、安心しきって いました。 その上、シドンにいる同族とも遠く離れ、近隣の村々ともほとんど交渉を断 っていたのです。 8偵察に来た五人は、ツォルアとエシュタオルへ帰りました。 待ち受けていた人々は尋ねました。 「どうだった、向こうの様子は?」 910「ぜひ攻め上ろう。 見た限りでは申し分ない所だ。 広々として、よく肥えてい るし、まさにパラダイスだよ。 それに、全く無防備だしね。 さあ、出かけよう。 神 様があの地を与えてくださったのだ。」 11 そこで、ダン部族の兵六百人が、ツォルアとエシュタオルからくり出しました。 1 2第一夜は、ユダのキルヤテ・エアリムの西側で過ごしました。 そこは今も、マハネ・ ダン〔ダンの陣営〕と呼ばれています。 13そこからエフライムの山地へと、進軍を続 けたのです。 ミカの家に差しかかった時、 14先の偵察隊の五人が言いました。「この家には、エポデ やテラフィム、それに彫像をたくさん安置した聖堂があるんだ。 となると、われわれの なすべきことも明白だな。」 1516五人は残りの兵を門外に立たせたまま、邸内に入りました。 まず、あの若い祭 司にあいさつすると、 17五人は聖堂に踏み込み、彫像やエポデやテラフィムを持ち出 そうとしました。 18 「何をするんだ」と、若い祭司は詰め寄りました。 19 「どうか、おとなしく私どもと共においでください。 われわれ全員の祭司におな りなさい。 あなただって、一軒の家でたった一人に仕えるより、部族全体の祭司になる ほうがよいのじゃありませんか。」 20 祭司は喜んで誘いに応じ、エポデやテラフィム、それに彫像を持ち去りました。 2 1一行はそこを引き揚げ、子供、家畜、家財などを隊列の先頭に立て、先を進みました。 22ミカの家からかなり離れたころ、ミカと近所の人々が追いかけて来て、 23大声で 叫びました。 「待て!」 「いったいどうなさるおつもりですか。 ずいぶんものものしいですな。」 24 「『どうなさるおつもりか』とは、しらじらしい! 私の神々から祭司まで、いっさ いがっさい持ち出しておきながら。 うちは空っぽになったじゃないか!」 25 「ねえ、だんな。 もっと気をつけてものを言ってほしいね。 でないと、腹を立 てた連中が、あんたがたを皆殺しにしかねませんよ。」 26 こう言い捨てると、ダンの人々は去って行きました。 相手が大ぜいすぎて手出し がかなわぬと悟ったミカは、すごすご家へ引き返しました。 27 一方ダンの人々は、ミカの作った彫像と祭司を伴い、ライシュの町に着きました。 町は全く無防備だったので、住民を皆殺しにし、町を焼き払ってしまいました。 28だ れ一人、住民を助ける者はいません。 シドンから遠く離れていた上、周囲の町とも同盟 を結んでおらず、だれとも交渉がなかったからです。 町はベテ・レホブに近い谷にあり ました。 ダン部族は町を再建し、住みつきました。 29町の名も「ダン」と改めまし た。 彼らの先祖で、イスラエルの息子の一人ダンの名にちなんだのです。 もともとの 名はライシュでした。 30 ダンの人々は自分たちのために彫像を立て、ゲルショムの息子で、モーセの孫にあ たるヨナタンとその息子たちとを、祭司に任命しました。 この家系は、町が敵に完全に 征服されるまで、代々祭司を務めました。 31こうして、神様の宮がシロにあったあい だ中、ダン部族はミカの彫像を拝んでいたのです。 一九 1 イスラエルにまだ王がいなかったころ、あるレビ人がエフライムの山奥に住んでいま した。 その人は、ユダのベツレヘムから娘を一人そばめとして連れ帰ったのです。 2 ところが彼女はその人に腹を立て、ベツレヘムの実家へ逃げ帰り、四か月も腰をすえてい ました。3そこで夫は従者を一人伴い、妻を乗せるろばをもう一頭余分に連れて、なんと か連れ戻そうと会いに出かけたのです。 彼女は、訪ねて来た夫を招き入れ、父親に引き 合わせました。 父親も歓待してくれます。 4勧められるまま三日間滞在し、うちとけ て、楽しい時を過ごしたのです。 5 四日目の朝はやく、出立しようと腰をあげると、父親は、朝食をすませてからにする よう熱心に勧めます。 6そうこうするうち、たいそう楽しかったのか、父親は、もう一 晩泊まってくれとしきりに頼むのです。 7初めはなかなか承知しませんでしたが、しゅ うとがあまりに頼むので断わりきれません。 ついに泊まることにしました。8翌朝、二 人が早く起きると、またも父親が、「夕方までおってくだされ。 日暮れ前にお発ちなさい」 と、拝み倒さんばかりに言うのです。 二人はこの日も、ごちそう攻めにあいました。 9 午後になって、娘夫婦と従者は出立の用意をしました。 すると、しゅうとが口をは さみました。 「ほれ、もう日も暮れかかったよ。今晩だけ泊まってお行き。 楽しい最 後の晩を過ごそうじゃないか。あすの朝はやく発てばいいだろう。」 10 しかし、今度ばかりは耳を貸さず、彼らは出立したのです。 一行は日暮れまでに、 エブスとも呼ばれたエルサレムの近くまで来ました。 11 従者が主人に申しました。 「日が暮れかかっておりますので、これ以上旅を続け るわけにはまいりません。 今夜はここで泊まってはいかがでしょう。」 1213「いや、だめだ。 イスラエル人のいない異教徒の町だからな。ギブアか、でき ればラマまで行こう。」 14 一行は旅を続けました。 ベニヤミン部族の村ギブアまで来た時、ちょうど日が沈 みました。 15ここで泊まろうと、町へ入って行きましたが、だれも招き入れてくれま せん。 しかたなく町の広場で野宿することにしました。 16ちょうどそこへ、野良仕 事を終えた老人が通りかかりました。 ここはベニヤミンの領地でしたが、この老人はも ともとエフライムの山地出身で、今はギブアに住んでいたのです。17広場に野宿してい る旅人に目を留めた老人は、「どちらからお越しかな。 どこまで行かれるのじゃ」と尋ね ました。 18 「ユダのベツレヘムから戻る途中でございます。 シロからそう遠くないエフライ ムの山奥に住んでおります。 今夜は、どこの家にも泊めていただけませんでね。 19 もっとも、ろばの餌も私どもの食糧やぶどう酒も、たくさん持ってはいますが。」 20 「お気づかいは無用ですぞ。 わしの家にお泊まりなされ。 こんな所に野宿して はいかん。 えらくぶっそうでな。」 21 老人は一行を自宅に案内しました。 ろばにたっぷり秣をやったあと、共に食卓を 囲みました。 22夕食の席がしだいにはなやいできた時、変質者の一団が家を取り囲み、 戸をたたき始めたのです。 連中は大声で、「おまえんとこに泊まった男を出せ。 いっち ょ、もんでやろうじゃないか」とどなります。 23老人は外へ出て、彼らと話し合いま した。 「そんな卑劣なまねはよしなされ。 あの方はわしの客人だ。 24代わりに、わしのと ころの生娘と客人の奥さんを差し出すが、どうだ。 いま二人を連れて来るから、お好き なようになさるがいい。 ただし、客人には指一本ふれてくれるな。」 25 それでも耳を貸そうとしません。 すると、その女の夫は、彼女を外の連中のとこ ろへ放り出してしまいました。 彼らは夜通し代わる代わる彼女をはずかしめ、夜が明け るころようやく解放したのです。26彼女は、明るくなるまで戸口に倒れたままでした。 27旅立とうとして夫が戸を開けると、手を敷居にかけたまま、妻が入口に倒れています。 28 「さあ、立て。 出かけるぞ。」 声をかけましたが、何の返事もありません。 すでに死んでいたのです。 彼は死体をろ ばに乗せ、家まで運びました。 29家に着くと、ナイフで死体を十二に切り分け、一つ ずつイスラエルの各部族に送りました。 30それを見た全国民は、ベニヤミンの人々の 野蛮な行為に騒然とし、口々に言いました。 「エジプトを出て以来、こんな不祥事があっただろうか。 この事件を見過ごすわけには いかん。」 二○ 12そこで全イスラエルは、ミツパへ指導者たちと兵四十万を差し向けました。 神様の 前に心を一つにして集結したのです。 ダンからベエル・シェバに至る全国各地はもとよ り、ヨルダン川の東側のギルアデからも、ぞくぞく集まって来ました。 3イスラエル軍 がミツパに集結したという知らせは、まもなくベニヤミン領内に伝わりました。イスラエ ルの指導者たちは殺された女の夫を呼んで、事の真相を話すよう求めました。 4 「私どもは、夕方ベニヤミン領内のギブアに着き、ある家に泊まったのでございます。 5ところがその夜、ギブアの者どもが家を取り囲み、私を殺そうとしたのです。 一味は 妻に暴行を加え、無残にも殺してしまいました。 6私は妻の死体を十二に切り分け、イ スラエルの全地に送りつけました。 それというのも、やつらの仕打ちがあまりにむごか ったからです。 7さあ、皆さん、どうか腹蔵のないご意見をお聞かせください。」 8‐10異口同音に答えが返ってきました。 「ギブアの村に報復するまでは、一人たり とも家へ帰らないぞ。 全軍の十分の一をくじで選び分け、食糧補給にあたらせよう。 残 りは結集して、こんな破廉恥なまねをしたギブアを滅ぼそう。」 11 イスラエル全国民は、そのために一丸となったのです。 12 さっそくベニヤミン部族に使者を立て、要求を突きつけました。「おまえたちは、あ のいまわしい事件を知っているのか。 13あんな悪事を働いた連中を渡せ。 連中を処 刑して、イスラエルの悪を除き去るのだ。」 ところが、ベニヤミンの人々は耳を貸そうと もしません。1415それどころか、二万六千の兵をギブアに集結させ、地元ギブアから 募った七百人と合流し、イスラエル軍に対抗する構えを見せたのです。 16ベニヤミン 軍には、左ききの石投げの名手が七百人いました。 その腕まえは大したもので、一本の 毛でも、決して的をはずさないほどでした。 17ベニヤミンを除くイスラエル軍は、総 勢四十万人にのぼりました。 18 戦いを前にして、まずイスラエル軍は、ベテルで神様にうかがいを立てました。「ベ ニヤミンと一戦交えるのに、どの部族が先陣を承るべきでしょうか。」 神様は、「ユダが先頭に立て」とお答えになりました。 1920そこで全軍は、翌朝はやく、ベニヤミンを攻撃するためギブアへ向かいました。 21しかし、ギブアを守っていたベニヤミン軍は不意に襲いかかり、その日のうちに二万 二千のイスラエル人を殺したのです。 22‐24イスラエル軍は神様の前で夕方まで泣 き続け、再びうかがいを立てました。 「私どもは、同胞ベニヤミンとまだ戦うべきでし ょうか。」 「戦え」という答えが返ってきました。 イスラエル人は奮い立ち、翌日も、同じ場所で 戦おうと出陣しました。 25ところがこの日も、剣の使い手一万八千人を失うはめにな ったのです。 26 そこで、イスラエル全軍はベテルに上り、神様の前に泣き伏して夕方まで断食し、 完全に焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 2728当時、神の箱は ベテルにあったのです。 アロンの孫で、エルアザルの息子ピネハスが祭司でした。 人々は神様に尋ねました。 「また出陣して、兄弟ベニヤミンと戦うべきでしょうか。 そ れとも、やめるべきでしょうか。」 神様は、「行け。 あす、おまえたちはベニヤミンを打ち破ることができる」とお答えにな りました。 29 そこで、イスラエル軍はギブア周辺に伏兵を潜ませ、 30三日目に攻撃に移り、 いつものような陣形をとりました。 31ベニヤミン軍が迎え撃とうと町から出てくると、 退却すると見せかけ、町からおびき出したのです。 ベニヤミン軍は前回同様、ベテルと ギブアを結ぶ路上でイスラエルを撃破し、たちまち三十人を血祭りにあげました。 32 ベニヤミン軍は、「勝ったぞ」と叫びました。 ところが、実はそれがイスラエル軍 の作戦だったのです。 初めから、わざと逃げてベニヤミン軍をおびき出す手はずでした。 33本隊はバアル・タマルまで来た時、一転して反撃に移り、ゲバの西に隠れていた伏兵 一万も飛び出しました。 34伏兵は、まだ危険に気づいていない、ベニヤミン軍のしん がりを襲いました。 35‐39神様が助けてくださったので、イスラエル軍はベニヤミ ン軍を打ち破ることができたのです。 その日、ベニヤミン軍は二万五千百人を失い、生 き残りの兵はわずかでした。 戦況をまとめると、こうなります。 イスラエル軍本隊は、伏兵に十分な作戦行動の機会を与えるため、わざとベニヤミン軍の 前から退却したのです。 ベニヤミン軍は、イスラエル人を三十人ほど打ち殺した時、前 回同様の大勝利を確信しました。 しかし、そのとき伏兵がギブアに突入し、村にいた全 員を殺し、火を放ちました。 その煙を合図に、イスラエル軍は反撃に転じ、いっせいに 攻撃を開始したのです。 4041ベニヤミン軍は、うしろを振り返ってびっくりしまし た。 町が炎に包まれているのを見て、危険が身に迫るのを感じたからです。 42彼ら は荒野へ逃げようとしました。 しかし、イスラエル軍は追跡し、伏兵の一隊も駆けつけ て、背後からベニヤミン軍を打ち殺しました。 43そして、包囲しながらギブアの東方 へと追いつめ、その大半を殺しました。 44その日、一万八千のベニヤミン軍兵士が死 んだのです。 45生き残った兵は荒野へ逃げ、リモンの岩に向かいましたが、その途中 で五千人が殺され、さらにギデオム付近で二千人が倒されました。 4647こうしてベニヤミン部族は、一日で二万五千の勇士を失ったのです。 リモンの 岩へ逃げのびたのは、たった六百人で、四か月間そこにこもっていました。 48その後 イスラエル軍は引き返し、ベニヤミンに属するものは、男も女も子供も家畜も皆殺しにし、 町々村々を片っぱしから焼き払ってしまいました。 二一 1 イスラエルの指導者たちは、ミツパで、娘をベニヤミン部族へは嫁がせない、という 誓いを立てました。 2そして今、ベテルに集まり、神様の前に座して、夕方までさめざ めと泣き悲しんだのです。 3 彼らは大声で神様に呼ばわりました。 「イスラエルの神様、主よ、なぜこんなこと が起こったのでしょう。 今われわれは、一つの部族を失いました。」 4 翌朝、一同は早く起き出し、祭壇を築き、完全に焼き尽くすいけにえと和解のいけに えをささげました。 5さて、人々は、こんな疑問を持ち始めました。 「ミツパで神様 の前に集まった時、まさかイスラエルの部族で欠席した者はいなかったろうな。」 それと いうのも、あの時、「出席を拒む者は必ず殺される」というきびしい誓いを立てていたから です。 6とにかく全イスラエルにとって、ベニヤミン部族を失ったことは、あまりに深 い悲しみでした。 「ああ、もうなくなるんだ、なくなるんだ。」 口を開けば、そのことばかりです。 「れ っきとしたイスラエルの部族の一つが切り捨てられ、消えていくんだ。 7あの生き残っ た一にぎりの者に、どうやって妻をめとらせたものだろう。 わしらは神様に、娘を嫁が せないと誓ってしまった。」 89その時、ミツパへの集結を拒んだ者を殺すという誓いに、再び思いが及んだのです。 すると、ヤベシュ・ギルアデからは、だれも出ていなかったことがわかりました。 10 ‐12そこで精兵一万二千を送って、そこの住民を滅ぼすことにしたのです。 すべての 男子、既婚の女子、子供らの血が流されました。 ただし、適齢期の若い処女だけは助け ました。 その数は四百人で、全員シロの陣営へ連れて行きました。 13 それから、リモンの岩にこもるベニヤミンの少数の生存者に、和解の使節を送りま した。 14四百人の処女が妻として与えられ、めいめい家へ戻りました。 ただし、全 員に嫁がせるには、四百人では足りません。 15この時代は、イスラエルにとって悲し みに満ちた時期でした。 神様がイスラエルの部族のあいだを引き裂いたからです。 16 指導者たちは思案にくれました。 「あの残りの者に妻をめとらせるには、どうし たらよかろう。 ベニヤミンの女は残らず死んでしまったことだし……。 17しかし、 なんとしても妻をあてがってやらなければ、イスラエルの一つの部族が、永遠に絶えてし まう。 18かといって、わしらの娘をやるわけにはいかん。 厳粛な誓いを立てた以上、 破った者は神様からのろわれるに違いない。」 19 そのとき不意に、だれかが、毎年シロの畑で催される祭りのことを思いついたので す。 シロの町は、レボナとベテルとの間、ベテルからシェケムへ至る道の東側にありま した。 20 そこで指導者たちは、妻を求めているベニヤミンの男たちにこう指示しました。 「さあ、行って、ぶどう畑に隠れていなさい。 21シロの娘たちが踊りに出て来たら、 飛び出して、めいめい娘をかっさらい、連れ帰って妻にしなさい。 22娘の父親や兄弟 が抗議してきたら、こう言ってやろう。 『どうか、わかってくれ。 わしらに免じて、 娘さんを彼らに嫁がせてやってくれ。 ヤベシュ・ギルアデを滅ぼしても、彼ら全員に妻 をもたせてやれなかった。 こうでもしなければ、あなたがたも罪を犯さず、しかも娘さ んを彼らにやることはできないわけだから。』」 23 ベニヤミンの男たちは、言われたとおりにやってのけました。 祭りに出て来た娘 をかっさらい、領地に連れ帰ったのです。 彼らは町を再建して住みつきました。 24 こうしてイスラエルの人々は、それぞれの相続地へと戻りました。 25 当時のイスラエルには王がなく、各人が正しいと思うことを気ままに行なっていた のです。
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