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承認番号
20mg:21200AMZ00562000
40mg:21200AMZ00563000
80mg:21200AMZ00564000
160mg:21600AMZ00519000
20mg・40mg・80mg 160mg
薬価収載 2000年11月 2004年12月
販売開始 2000年11月 2004年12月
再審査結果 2010年10月
国際誕生 1996年 5 月
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【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「 6 .妊婦、
産婦、授乳婦等への投与」 の項参照)
【組成・性状】
ディオバン錠
20mg
成分・含量 1錠中バルサルタン 20mg
添 加 物
ヒドロキシプロピルセルロース、セルロー
ス、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴー
ル、酸化チタン、三二酸化鉄
性 状 淡黄色の片面割線入りのフィルムコート錠
外 形
識別コード NV 132
大きさ(約) 直径:7.1mm 厚さ:2.6mm 質量:0.10g
ディオバン錠
40mg
成分・含量 1錠中バルサルタン 40mg
添 加 物
ヒドロキシプロピルセルロース、セルロー
ス、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴー
ル、酸化チタン
性 状 白色の片面割線入りのフィルムコート錠
外 形
識別コード NV 133
大きさ(約) 直径:7.1mm 厚さ:2.8mm 質量:0.10g
ディオバン錠
80mg
成分・含量 1錠中バルサルタン 80mg
添 加 物
ヒドロキシプロピルセルロース、セルロー
ス、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴー
ル、酸化チタン
性 状 白色の片面割線入りのフィルムコート錠
外 形
識別コード NV 134
大きさ(約) 直径:8.6mm 厚さ:3.7mm 質量:0.21g
ディオバン錠
160mg
成分・含量 1錠中バルサルタン 160mg
添 加 物
ヒドロキシプロピルセルロース、セルロー
ス、無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸
マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴー
ル、酸化チタン
性 状 白色の長楕円形をした割線入りのフィルムコート錠
外 形
識別コード NV 135
大きさ(約) 長径:14.6mm 短径:5.8mm 厚さ:5.7mm質量:0.41g
【効能又は効果】
高血圧症
【用法及び用量】
通常、成人にはバルサルタンとして40~80mgを 1日 1回経口投
与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、 1日160mgまで増
量できる。
【使用上の注意】
1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
⑴ 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある
患者(「 2.重要な基本的注意」⑴の項参照)
⑵ 高カリウム血症の患者(「 2.重要な基本的注意」⑵の項
参照)
⑶ 重篤な腎機能障害のある患者〔腎機能障害を悪化させるお
それがあるため、血清クレアチニン値が3.0mg/dL1)以上の
場合には、投与量を減らすなど慎重に投与すること。〕
⑷ 肝障害のある患者、特に胆汁性肝硬変及び胆汁うっ滞のあ
る患者〔本剤は主に胆汁中に排泄されるため、これらの患
者では血中濃度が上昇するおそれがあるので用量を減らす
など慎重に投与すること。外国において、軽度~中等度の
肝障害患者でバルサルタンの血漿中濃度が、健康成人と比
較して約 2倍に上昇することが報告されている。〕
⑸ 脳血管障害のある患者〔過度の降圧が脳血流不全を引き起
こし、病態を悪化させるおそれがある。〕
⑹ 高齢者(「 5.高齢者への投与」の項参照)
2.重要な基本的注意
⑴ 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある
患者においては、腎血流量の減少や糸球体濾過圧の低下に
より急速に腎機能を悪化させるおそれがあるので、治療上
やむを得ないと判断される場合を除き、投与は避けること。
**2011年 1 月改訂(第14版)
*2010年 7 月改訂〔 〕
貯法:
室温保存
使用期限:
包装に
示の使用期限内に使用す
ること
使用期限内であっても、開封後は
なるべく速やかに使用すること
選択的AT1受容体ブロッカー
処方せん医薬品
(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
バルサルタン錠
日本標準商品分類番号 872149
Ⓡ登録商標
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⑵ 高カリウム血症の患者においては、高カリウム血症を増悪
させるおそれがあるので、治療上やむを得ないと判断され
る場合を除き、投与は避けること。
また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血
清カリウム値が高くなりやすい患者では、高カリウム血症
が発現するおそれがあるので、血清カリウム値に注意する
こと。
⑶ 本剤の投与によって、初回投与後、一過性の急激な血圧低
下(失神及び意識消失等を伴う)を起こすおそれがあるの
で、そのような場合には投与を中止し、適切な処置を行う
こと。また、特に次の患者では低用量から投与を開始し、
増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行
うこと。
1)血液透析中の患者
2)利尿降圧剤投与中の患者〔特に重度のナトリウムないし
体液量の減少した患者(まれに症候性の低血圧が生じる
ことがある)〕
3)厳重な減塩療法中の患者
⑷ 本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤投与中に肝炎
等の重篤な肝障害があらわれたとの報告がある。肝機能検
査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場
合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
⑸ 手術前24時間は投与しないことが望ましい。
⑹ 降圧作用に基づくめまい、ふらつきがあらわれることがあ
るので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作
する際には注意させること。
3.相互作用
併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カリウム保持性利尿剤
スピロノラクトン
トリアムテレン等
カリウム補給製剤
塩化カリウム
血清カリウム値が上
昇することがあるの
で血清カリウム濃度
に注意する。
本剤のアルドステロ
ン分泌抑制によりカ
リウム貯留作用が増
強する可能性がある。
危険因子:腎機能障
害
4.副作用
承認時までの臨床試験556例中、自他覚症状が68例(12.2
%)、臨床検査値異常が58例(10.4%)、計120例(21.6%)
に副作用が認められた。主な自他覚症状は、めまい14件
(2.5%)、腹痛 9件(1.6%)、咳嗽 7件(1.3%)等であっ
た。また、主な臨床検査値異常は、ALT(GPT)上昇18
件(3.2%)、CK(CPK)上昇17件(3.1%)、AST(GOT)
上昇14件(2.5%)等であった。
市販後の使用成績調査7,258例中、自他覚症状が322例(4.4
%)、臨床検査値異常が260例(3.6%)、計550例(7.6%)
に副作用が認められた。主な自他覚症状は、めまい57件
(0.8%)、貧血35件(0.5%)、頭痛26件(0.4%)等であっ
た。また、主な臨床検査値異常は、血中尿酸値上昇39件
(0.5%)、γ-GTP上昇37件(0.5%)、BUN上昇34件(0.5%)
等であった。 (承認時まで及び再審査終了時までの集計)
⑴ 重大な副作用
次のような副作用があらわれることがあるので、観察を十
分に行い、症状があらわれた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。
1)血管浮腫(頻度不明):顔面、口唇、咽頭、舌の腫脹等が
症状としてあらわれることがあるので観察を十分に行うこ
と。
2)肝炎(頻度不明)
3)腎不全(0.1%未満)
4)高カリウム血症(0.1%未満):重篤な高カリウム血症があ
らわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認め
られた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
5)ショック(頻度不明)、失神(頻度不明)、意識消失(0.1%
未満):ショック、血圧低下に伴う失神、意識消失があら
われることがあるので、観察を十分に行い、冷感、嘔吐、
意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行
うこと。特に血液透析中、厳重な減塩療法中、利尿降圧剤
投与中の患者では低用量から投与を開始し、増量する場合
は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。
6)無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(頻度不明)、血小板
減少(0.1%未満):無顆粒球症、白血球減少、血小板減少
があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が
認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
7)間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X
線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、
このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の
投与等の適切な処置を行うこと。
8)低血糖(頻度不明):低血糖があらわれることがある(糖
尿病治療中の患者であらわれやすい)ので、観察を十分に
行い、脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙
攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切
な処置を行うこと。
9)横紋筋融解症(0.1%未満):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)
上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋
融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、
このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行
うこと。
⑵ その他の副作用
頻度不明 0.1%~5%未満 0.1%未満
過 敏 症注1) 光線過敏症 発疹、そう痒 蕁麻疹、紅斑
精神神経系 ― めまい注2)、頭痛 眠気、不眠
血 液 ― 白血球減少、好酸球増多、貧血 ―
循 環 器 ― 低血圧注2)、動悸 頻脈、心房細動
消 化 器 ― 嘔気、腹痛 嘔吐、下痢、便秘、口渇、食欲不振
肝 臓 ―
AST(GOT)、ALT
(GPT)、LDH、
ALP、ビリルビン
値の上昇
―
呼 吸 器 ― 咳嗽 咽頭炎
腎 臓 ―
血中尿酸値上昇、
BUN上昇、血清ク
レアチニン上昇
―
電 解 質 ― 血清カリウム値上昇 ―
そ の 他
筋肉痛、関
節痛
けん怠感、浮腫、
CK(CPK)上昇
胸痛、疲労感、し
びれ、味覚異常、
ほてり、血糖値上
昇、血清コレステ
ロール上昇、血清
総蛋白減少、腰背
部痛、脱力感
注1) このような場合には投与を中止すること。
注2) このような場合には減量、休薬するなど適切な処置を行うこと。
発現頻度は承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果
を合わせて算出した。
5.高齢者への投与
⑴ 高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている
(脳梗塞等が起こるおそれがある)ので、低用量から投与を
開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
⑵ 高齢者の薬物動態試験で、本剤の血漿中濃度が非高齢者に
比べて高くなることが認められている。(【薬物動態】の項
参照)
⑶ 臨床試験では65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者にお
いて本剤の効果、安全性に差は認められていない。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
⑴ 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこ
と。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与
を中止すること。〔本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体
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拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中
期~末期に投与された患者に胎児死亡、羊水過少症、胎児・
新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不
全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋
顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれたとの報告が
ある。1,2)また、海外で実施されたアンジオテンシン変換酵
素阻害剤におけるレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠
初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者
群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されて
いない患者群に比べ高かったとの報告がある。3)〕
⑵ 授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合に
は授乳を中止させること。〔動物実験(ラットの授乳期経
口投与)の 3 mg/kg/日で、乳汁中へ移行するとの報告があ
る。また、動物実験(ラットの周産期及び授乳期経口投与)
の600mg/kg/日で出生児の低体重及び生存率の低下が認め
られており、200mg/kg/日以上で外表分化の遅延が認めら
れている。〕
7.小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全
性は確立していない(使用経験がない)。
8.過量投与
徴候、症状:本剤の過量投与により、著しい血圧低下が生
じ、意識レベルの低下、循環虚脱に至るおそれがある。
処置:通常、次のような処置を行う。
1)催吐及び活性炭投与
2)著しい低血圧の場合には、患者を仰臥位にし、速やかに
生理食塩液等の静脈注射など適切な処置を行う。
注意:バルサルタンの血漿タンパクとの結合率は93%以上
であり、血液透析によって除去できない。
9.適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して
服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、
硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦
隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
【薬 物 動 態】
1.血中濃度4)
健康成人男子にバルサルタン20、40、80及び160mg(80mg× 2 )
を単回経口投与した場合、速やかに吸収され、血漿中の未変化
体は投与後 2~ 3時間で最高濃度に到達した。また、Cmax及
びAUCは160mg投与まで投与量の増加に比例して増大し、消失
半減期は 4~ 6時間であった。
投与量 Tmax(h※)
Cmax
(μg/mL)
AUC
(μg・h/mL)
T1/2
(h)
20mg 2 0.86±0.53 5.2± 3.1 3.7±0.8
40mg 3 1.37±0.53 8.9± 4.0 4.0±1.3
80mg 3 2.83±0.92 18.0± 5.8 3.9±0.6
160mg 3 5.26±2.30 33.9±18.9 5.7±1.8
n= 6 、平均±標準偏差 ※:中央値
2.代謝
健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与 8
時間後の血漿中には、主として未変化体が存在し、その他に代
謝物として4-ヒドロキシ体が認められ5)、in vitroの試験におい
て主としてCYP2C9の関与が示唆されている。6)
(外国人のデータ)
3.排泄
⑴ 健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与し
た後の排泄率は以下のとおりであった。5) (外国人のデータ)
糞中 尿中
総排泄率 86%(168時間値) 13%(168時間値)
未変化体 71%(12~72時間値) 10%(48時間値)
4-ヒドロキシ体 8%(12~72時間値) 1%(48時間値)
⑵ 健康成人男子にバルサルタン20、40、80及び160mg(80mg× 2 )
を空腹時単回経口投与した際、投与後48時間までに投与量の 9
~14%が未変化体として尿中に排泄された。4)
4.連続投与時の蓄積性7)
健康成人男子にバルサルタン160mg(80mg× 2 )を 1日 1回 7
日間連続経口投与したとき、血漿中の未変化体濃度の投与回数
に伴う上昇は認められなかった。また、初回及び投与 7日目の
薬物動態パラメータはほぼ同等であり、蓄積性は認められなか
った。
5.高齢者での試験8)
65歳以上の健康成人男子にバルサルタン80mgを単回経口投与し
たときの血漿中の未変化体濃度推移は、65歳未満の健康成人男
子に投与した場合に比べてCmaxが1.2倍、AUCが1.7倍高く、
AUC及び消失半減期において有意な差(P<0.05)が認められ
た。 (外国人のデータ)
【臨 床 成 績】
二重盲検比較試験を含め、国内で実施した臨床試験成績の概要は次
のとおりである。
臨床試験成績
⑴ 国内で実施された臨床試験における臨床効果の概要は次のとお
りである。
疾患名
下降(降圧率)
「判定不能」を含む 「判定不能」を除く
本態性高血圧症 74.1%(366/494) 79.7%(366/459)
腎障害を伴う高血圧症9) 82.8% (24/29) 82.8% (24/29)
重症高血圧症10) 77.4% (24/31) 85.7% (24/28)
合計 74.7%(414/554) 80.2%(414/516)
なお、本態性高血圧症(軽症~中等症)患者を対象とした二重
盲検比較試験で、本剤の有用性が認められている。
⑵ 長期投与試験11)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、 1日 1回20~160mg
を52週間経口投与した際、本剤単独療法、利尿剤併用療法及び
Ca拮抗薬併用療法のいずれにおいても耐薬性を認めることなく、
安定した降圧作用が維持された。
下降(降圧率)
「判定不能」を含む 「判定不能」を除く
単独療法 64.3%(45/70) 78.9%(45/57)
利尿降圧薬併用 77.3%(17/22) 77.3%(17/22)
Ca拮抗薬併用 66.7% (8/12) 66.7% (8/12)
合計 67.3%(70/104) 76.9%(70/91)
⑶ 循環動態に及ぼす影響12)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、 1日 1回40~160mg
を12~36週間経口投与した際、心ポンプ機能に有意な変動を認
めず、末梢血管抵抗を減少させ安定した降圧作用を示した。
⑷ 血清脂質・糖代謝に及ぼす影響13)
本態性高血圧症(軽症~中等症)患者に、 1日 1回40~160mg
を12週間経口投与した際、血清脂質・糖代謝に有意な変動を認
めず、良好な降圧効果を示した。
【薬 効 薬 理】
バルサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体のサブタイプであるAT1
受容体に結合し、昇圧系として作用するアンジオテンシンⅡに対し
て拮抗することによって降圧作用をあらわす。
1.降圧作用
⑴ バルサルタンは経口投与により、腎性高血圧ラット、自然発症
高血圧ラット(SHR)、ナトリウム枯渇マーモセットの血圧を
用量依存的に下降させるが、DOCA/salt型高血圧ラットの血圧
には影響を及ぼさない。
⑵ バルサルタンは連続( 4週)経口投与後に休薬しても、腎性高
血圧ラット、自然発症高血圧ラット(SHR)において、リバウ
ンド現象を示さない。
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⑶ バルサルタンは長期連続(44週)経口投与により、脳卒中易発
症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)の血圧を持続的に下降
させるが、心拍数の著変を示さない。また、長期連続(48週)
経口投与により、大動脈血管の肥厚を抑制する。
2.血行動態並びに心臓に及ぼす作用
⑴ バルサルタンは経口投与により、自然発症高血圧ラット(SHR)
の臓器血流量を減少させることなく、腎血流量を有意に増加す
る。
⑵ バルサルタンは連続( 4週)経口投与により虚血性心不全モデ
ルラットの心肥大を、長期連続(48週)経口投与により脳卒中
易発症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)の心肥大を抑制す
る。
3.腎機能に及ぼす作用
バルサルタンは連続経口投与により、腎部分除去ラット( 6週)
及び脳卒中易発症性自然発症高血圧ラット(SHR-SP)(32週、
40週、44週)の腎障害の悪化を抑制する。
4.作用機序
バルサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体のサブタイプである
AT1受容体に選択的に結合し、昇圧系として作用するアンジオ
テンシンⅡに対して受容体レベルでは競合的に拮抗することが
明らかにされている。
⑴ バルサルタンはラット大動脈平滑筋において、AT1受容体に対
するアンジオテンシンⅡの結合を競合的に阻害する。14)また、
AT1受容体以外の受容体に対してほとんど親和性を示さない。
⑵ バルサルタンはウサギ摘出大動脈リング標本において、ノルア
ドレナリン、セロトニン及び塩化カリウムによる収縮に対して
は抑制作用を示さず、アンジオテンシンⅡによる収縮を特異的
に抑制する。15)
⑶ バルサルタンは経口投与により、脊髄破壊ラットにおける交感
神経刺激及びノルアドレナリンによる昇圧反応の抑制作用を示
さず、アンジオテンシンⅡによる昇圧反応を特異的に抑制する。15)
⑷ バルサルタンはウシ副腎球状層細胞におけるアンジオテンシン
Ⅱによるアルドステロンの産生を有意に抑制する。15)
⑸ バルサルタンはヒト気管支上皮細胞のACE活性とブラジキニ
ン分解に影響を及ぼさない。
【有効成分に関する理化学的知見】
構造式:
一般名:バルサルタン(Valsartan)
化学名:(-)-N-{4-[2-(1H-Tetrazol-5-yl)phenyl]benzyl}-N-
valeryl-L-valine
分子式:C24H29N5O3
分子量:435.52
性 状:白色の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド、メタノー
ル、エタノール(95)に極めて溶けやすく、アセトニトリル
に溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほと
んど溶けない。
融 点:約103℃
分配係数:3.62(1-オクタノール/水)、0.46(1-オクタノール
/pH7.0緩衝液)〔pH7.0緩衝液の組成(mol/L):リン酸
水素二ナトリウム十二水和物(0.164)、クエン酸一水和
物(0.018)、塩化カリウム(0.573)〕
【包 装】
ディオバン錠20mg 140錠(PTP)
ディオバン錠40mg 140錠(PTP)
700錠(PTP)
500錠(バラ)
ディオバン錠80mg 140錠(PTP)
500錠(PTP)
700錠(PTP)
500錠(バラ)
ディオバン錠160mg 100錠(PTP)
140錠(PTP)
300錠(PTP)
700錠(PTP)
【主 要 文 献】
1 )The Joint National Committee on Prevention,
Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood
Pressure:Arch.Intern.Med.157(21),2413,1997 〔DIOS00476〕
2 )Briggs,G.G.et al.:Ann.Pharmacother.35(7-8),859,2001
〔DIOS01486〕
3 )Cooper,W.O.et al.:N.Engl.J.Med.354(23),2443,2006
〔C IBS00362〕
4 )丁 宗鉄ほか:臨床医薬 14(10),1703,1998 〔D IO J00002〕
5 )Waldmeier,F.et al.:Xenobiotica 27(1),59,1997 〔DIOM00094〕
6 )Nakashima,A.et al.:Xenobiotica 35(6),589,2005 〔DIOM01536〕
7 )丁 宗鉄ほか:臨床医薬 14(10),1727,1998 〔D IO J00003〕
8 )Sioufi,A.et al.:Biopharm.Drug Dispos.19(4),237,1998
〔DIOM00214〕
9 )吉永 馨ほか:臨床医薬 14(10),1923,1998 〔D IO J00012〕
10)吉永 馨ほか:臨床医薬 14(10),1901,1998 〔D IO J00013〕
11)吉永 馨ほか:臨床医薬 16(2),207,2000 〔D IO J00018〕
12)市川秀一ほか:臨床医薬 14(10),1859,1998 〔D IO J00011〕
13)梶山梧朗ほか:臨床医薬 14(10),1879,1998 〔D IO J00010〕
14)De,Gasparo,M.et al.:Regul.Pept.59(3),303,1995
〔DIOM00044〕
15)Criscione,L.et al.:Br.J.Pharmacol.110(2),761,1993
〔DIOM00020〕
【文献請求先】
ノバルティス ファーマ株式会社 学術情報・コミュニケーション部
〒106-8618 東京都港区西麻布 4 -17-30
(17)
7414696-D00000