大学日本語専攻生四級能力試験問題 (2012)
(試験時間:160分)
一、 聴解(1×20=20点)
二、 次の文の下線をつけた単語の正しい読み方や漢字を、後のA,B,C,Dから一つ選びなさい。(1×10=10点)
21.この料理は手間がかかる。
A、てま B、てかん C、しゅかん D、てひま
22、この椅子は細かい細工がほどこされている。
A、ほそこうB、ほそく C、さいこう D、さいく
23、社長はきびしい口調で社員に注意した。
A、こうちょうB、こちょうC、くちょうD、くうちょう
24、山田さんの家は町の大通りに臨んでいる。
A、り B、め C、しの D、のぞ
25、日本列島に梅雨前線が停滞している。
A、うめう B、ばいう C、まいう D、めいう
26、風の音や虫の音におもむきを感じ、詩に表した。
A、趣 B、味 C、興 D、情
27、この問題をとくのに、2時間もかかった。
A、梳 B 溶 C、解 D、説
28、外出の際はかぎをフロントにあずけてください。
A、助 B、預 C、授 D、擱
29、私の子供時代をかえりみると、いまより自然に触れる機会が多かった。
A、帰 B、省 C、返 D、顧
30、彼はほがらかな人で、いつもクラスをあかるくしてくれる。
A、朗 B、爽 C、清 D、明
三、 次の文の_に入れるのに最も適当な言葉を後のA,B,C,Dから一つ選びなさい。
(1×15=15点)
31、主要国の政策協調努力もあり、為替__はこのところ安定的に推移しています。
A、市場 B、売場 C、相場 D、立場
32、褒められたり__を言われたりしたことを人間はなかなか忘れないものだ。
A、利口 B、無口 C、悪口 D、閉口
33、うちの__は、ミステリー小説を創作する集まりとして、雑誌の読者欄などに紹介文を出して会員を募集しています。
A 、サークル B、サービス C、スピーチD、チーム
34、どんな本かというと、算数の計算力を付けるために使用する学習用__を一冊にまとめたものです。
A、パターン B、プラン C、プリント D、ベテラン
35、昼前に若い一人の男が来て、兎を__買ってくれという。
A、一頭 B、一羽 C、一隻 D、一尾
36、彼は自動販売機の前に立って、「あっ、__、また財布を忘れた。」と呟んていた。
A、よかった B、やった C、しめた D、しまった
37 今の仕事を続けたいと思っています。__今の仕事が大好きだからです。
Aつまり Bそれなのに Cなぜならば Dともかく
38 私はしまいまで読んで、やっと彼が__回避したのだということに気が付きました。
Aわざと Bせっかく Cさいわい Dあいにく
39 彼は試験に出かけた。__合格し、ロンドンの大きな役所で働き出した。
Aうれしく Bおそらく Cたのしく Dめでたく
40 ドイツ語は少しも話せず、英語もきわめて__私がどんな話をしたか、全く覚えてい ない。
Aあまかった Bうまかった Cにがかった Dまずかった
41 自分の生まれた土地の尊さが、彼は今の心には、__力で神秘なものとされた。
A不思議な B不幸な C不自由な D不利な
42 この時、アメリカの企業で高まったのが日本に__という気運である。
A学習しよう B習おう C勉強しよう D学ぼう
43住民には出かける前にゴミを回収場所に出すように__ているが、これもかなり非現実的である。
A言いかけ B呼びかけ C追いかけ D引っかけ
44高学年なら自分で作らせるのが理想です、低学年の場合は、お父さん、お母さんが作って__ください。
Aあげて Bいただいて Cくれて Dもらって
45私は、動物たちの自然の生き方の一部を見て、彼らのあまりにも美しい姿に、__。
A息が詰まった B息を呑んだ C目が回った D目を覚ました
四 次の文の_に入れるのに最も適当なものを後のA,B,C,Dから一つ選びなさい (1×15=15点)
46、食べ放題というのは、食べたい_食べていいということです。
Aばかり Bだけ Cまで Dしか
47、卒業式に参加できない場合、3月10日_級長に連絡してください
Aから Bより Cまで Dまでに
48、雨が降っているから、タクシー_乗っていこうか。
Aにさえ Bでさえ Cにでも Dまでも
49、机の上に置いた読み_本を母が片付けてしまった。
Aかけの Bだし Cつけの Dなれの
50、完成された件数はまだほんの一割程度_。
Aにこさない Bにすぎない Cをこさない Dをすぎない
51、この件については関係者一同改めて検討した_お返事します。
A上で B上に C上は D上を
52,、この地域の産学研協力は_展開をしている。
Aいまからにない Bいままでにない Cそれからにない Dそれまでにない
53、日本人の自我は一般に弱くて傷つきやすいと_います。
Aされて Bさせて Cして Dやって
54、あの人はいつも強気で相手_態度をとっている。
Aになめされる Bになめられる Cをなめさせる Dをなめる
55、親の立場_学校が週休二日になることは必ずしもありがたいことではない。
Aから Bからには Cからすれば Dからといって
56.買う__借りる__、辞書を必ず持参すること。
A.も、も B、やら、たら
C、し、し D、にしろ、にしろ
57、喉がひどく乾いてついつい水道の水をそのまま飲まないでは__。
A.いられなかった B.いられた C.たまらなかった D.たまられた
58、「ちょっと相談したいことがあるの、聞いて__?」
A. もらう B、あげる C、くれる D、やる
59、「今日は、いい天気ですね。__。」
「ええ、ちょっとそこまで。」
A. お出かけしますか B.ご出かけしますか C.お出かけですか D.ご出かけですか
60、「もしもし,交流課の田中です。山田さん、いらっしゃいますか。」
『あいにく席を外しておりますが、後ほど、折り返し電話をさせて__。』
A. くださいます B.くれます C.あげます D.いただきます
五,次の文章の( )に入る最も適当な言葉を、後のA、B、C、Dから一つ選びなさい。
(1×10=10点)
多くの人間は、自己の全体を以てでなく,ある限られた一部分を以て,相互に関係する。
(61)人間は集団に自己の全体を挙げて所属しているのでなく、ある限られた一部分を以て所属しているのであり、この一部分はその集団の機能に対応するものであった。然るに[注1]、この集団の成員である限り、同様のことはすべての人間に適用されるのであって、集団は多くの人間のそれぞれ一部分を吸収して成立するものであった。(62)、この集団の中で、ある人間が他の人間と遭遇しかつ関係する場合、両者の間の交渉は,各人の生活のうち、この集団に向けられ、かつ委ね[注2]られた部分にのみ限定せられている。ある人間は、他の人間に向かって、この部分を乗り越えた自己の全体性を示す機会を持たぬ。その全体性に潜む困難と苦悩とについて、他の人間の同情(63)助言を求める機会を持たぬ。(64)、彼は他の人間の全体性について知ることができない。その集団に向けられた部分以外は、彼にとって秘密として隠されている。このような関係は、一般に、冷たい、と称せられるものである。(65)、この冷たさは、集団の成員の間の接触が直接的でなく、即ち、相互に感覚器官の活動範囲の内部でなく、間接的に、即ち、文書を通じて、ジャーナリズムを通じて行われる場合、一層、その強度を増す(66)。この時は、客観的な言語形式に盛りこめるもののみが関係および交渉の内容となる。(67)、それはある意味において合理的なもののみに限られる。この形式に盛り込めぬもの、それは存在しないのではないが、しかし、この関係および交渉の外部に捨てられている。かくのごとく[注3]、一方では、関係の部分的性質の故に、他方では、接触の間接的性質の故に、人間の全体性は人間関係の外に放置せられる。(68)、全体性はエモーショナルな[注4]、非合理な内容を含んでいる。人間は、自分の非合理的な全体性を表現する機会と、他人の非合理的な全体性を受容する機会をともに奪われている。近代の原理から見れば、自分の非合理的な全体性を抑圧しつつ、(69)、他人の非合理的な全体性を無視しつつ、あの限られた冷たい一面においてのみ他人と関係しうる、よくこれに堪えうる強靭な人間が前提とされているに違いない。けれども、原理はとにかく現実(70)、それは万人の堪えうるところではない。
[注]1然るに/そうであるのに。それなのに。
2委ねる/一切を他人にまかせる。
3かくのごとく/このように。
4ェモーショナルな/情緒的な、感情的な。
61.A.元来 B.従来 C.在来 D.古来
62.A.それだから B.それゆえに
C.それよりも D.それなのに
63.A.もしかして B.それとも C.それから D.あるいは
64.A.これと当時に B.これと一緒に
C.それと同時に D.それと一緒に
65.A.ところで B.だけど C.それでも D.しかし
66.A.ことになる B.わけになる
C.ものになる D.はずになる
67.A.結局 B.所詮 C.换言すれば D.要するに
68. A.前から B.もとより C.元から D.そもそも
69. A 同じく B 同時に C 冷たく D 無事に
70. A におけて B において C にとって D について
六、読解問題
問題一、次の各文章を読んで、あとの質問に答えなさい。答えはそれぞれA、B、C、D、の中から最も適当なものをひとつ選びなさい。(1×5=5点)
文章
目は、背中にはついていない。だから僕らは、前は見えても後ろは見えない。というのは嘘で、見ようと思えば、後ろだって見える。ふりむく必要はない。後ろを見る力のことを、想像力というのだ。後ろだけではない。普通の想像力があれば、他人の目からだって、自分を見ることができる。他人から見ると、自分はどう見えるか。それが、想像力の出発点だろう。
幕が開いてから客席に入ってくる人がいる。あんな迷惑なものはない。ああいう人は、人から自分がどう見えているかが、まったく見えていないんだろう。完全な想像力欠乏症である。長い背中をやたら延ばして、ひときわ高く席に座っているのも、後ろに目がない人の典型だある。
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