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棋魂日文剧本(未完).doc

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棋魂日文剧本(未完).doc棋魂日文剧本(未完).doc 棋魂日文台词修正版-1 第一局 永遠のライバル ヒカル:走れ~アカリ~爺ちゃんちはすぐそこだ。 アカリ:もう~だから、まっすぐ帰ろうって言ったのに。 ヒカル:爺ちゃん、爺ちゃん,上がらせてもらうよ~ アカリ:ね、本当にいいの, ヒカル:うん…、どれもぱっとしないな。 アカリ:ヒカル、もう出ようよ。気味悪いよ~胜手にそんな事していいの, ヒカル:この间の社会のテストで八点しか取れなくてさ、お小遣い止められてんだ。おっ、これなんかいいんじゃないか,よいしょ(=よいさ)っと。 アカリ...
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棋魂日文剧本(未完).doc 棋魂日文台词修正版-1 第一局 永遠のライバル ヒカル:走れ~アカリ~爺ちゃんちはすぐそこだ。 アカリ:もう~だから、まっすぐ帰ろうって言ったのに。 ヒカル:爺ちゃん、爺ちゃん,上がらせてもらうよ~ アカリ:ね、本当にいいの, ヒカル:うん…、どれもぱっとしないな。 アカリ:ヒカル、もう出ようよ。気味悪いよ~胜手にそんな事していいの, ヒカル:この间の社会のテストで八点しか取れなくてさ、お小遣い止められてんだ。おっ、これなんかいいんじゃないか,よいしょ(=よいさ)っと。 アカリ:これ、知ってる。五目【ごもく】並べする台でしょう, ヒカル:かなり古そうだな。爺ちゃんが昔使ってたヤツかな。こりゃ高値で売れるかもな。 アカリ:ね、本当にいいの, ヒカル:平気、平気~きっと爺ちゃんだって忘れてるよ。それに、こいつだって埃【ほこり】を取ってやりゃや…。それにしても、全然落ちないぞ、この汚れ。 アカリ:うん,汚れってなんかいないよ。きれいじゃない。 ヒカル:これ。 アカリ:どこ, ヒカル:ここ~ アカリ:あ、何もないよ~どこ, ヒカル:ここだってば。 佐為:見えるのですか, ヒカル:だから、先からそう言って。 佐為:…私の声が闻こえるのですか,私の声が闻こえるのですね。 アカリ:やっぱりそんな迹なんて。 ヒカル:…谁だ~ アカリ:嫌だ、ヒカル~変なこと言わないでよ。 佐為:見つけた…やっと見つけた~ ヒカル:爺ちゃんか,人声【ひとごえ】を。 アカリ:私、帰るよ。 佐為:あまねく到处】神を、感谢します。私は、私は、私は今一度現世に戻る。 ヒカル:… アカリ:どうしたの,ヒカル~ヒカル,お爺さん、ヒカルが大変だよ~ ヒカル:谁だ、お前は, 佐為:藤原佐為。 ヒカル:佐為…何者だ, 佐為:平安の都で大君【おおぎみ】に囲碁を教えておりました。毎日、毎日、来る日も来る日も囲碁を打っていた私は、とても幸せでした。しかし、私以外にもう一人、大君の【しなん教导】役がおりました。ある日、彼が大君に進言したのです。「指南役は一人で十分。対局にて雌雄【しゆう】を決し、胜者のみをお召しください」と。 ヒカル:それで,戦ったんだろう。どっちが勝ったんだのさ, 佐為:盤面【ばんめん】互角【ごかく势均力敌】で対局は進み、みんなの视线が注がれる中で、私だけがそれを目にしたのは、本当に偶然でした。彼の碁笥【ごけ棋子盒】の中に白石【しろいし】が混じっていたんです。それはあの者は、一瞬の隙をついて、自分のあげはまにしたのです。 ヒカル:ずるしたんだ, 佐為:私が声を上げようとした時…そなた、いま~ 指南役:おい、贵様~いま、碁笥に混じっていた黒石を自分のあげはまにしたな~ 1 佐為:な、何を言う~それはいま、そなたがしたことではないか, 指南役:これはなんとつまらぬ言い訳を。みんなの目が盘上に注がれているのをよいことに、碁笥【ごけ】に混じっていた私の石を、あげはまにしたではないか, 佐為:そなたこそいい加减な… 大君:見苦しいぞ~静まれ~そのような下卑た行為が、余の前で行われたなどと考えたくもないわ。続けるがよい。 佐為:私は負けました。心の動揺を抑えきれぬままに…賢しい【さかしい】ごまかしをしたという汚名【おめい】まで付いて、都を追い出された私に、生きる術はありません。それから二日【ふつか】后、私は入水したのです。私はもっと、もっと碁を打ちたかった。成仏【じょうぶつ】できぬ私の魂は、ある碁盘に宿り【やどり】、遙かな年をと経って、瀬戸【せと】の海に浮かぶ因島で、ある少年の声を闻きました。彼の名は、虎次郎。…「少年よ、私の流した悔やしい涙が見えるのならば、そなたの心の片隅に、私を住まわせておくれ」。虎次郎の名は、秀策と改められ、二十歳で师の跡目【あとめ】となり、十四世本因坊秀策を名乗ることになったのです。 ヒカル:本因坊秀策, 佐為:しかし、虎次郎は流行病に倒れ、ある夜、三十四歳の若さにして彼は… ヒカル:碁盘についてた血は、そいつのものだったのか,それで、オレに乗り移ったのは、また碁が打ちたいってわけか, 佐為:はい。なぜなら、私はまだ、神の一手を極めていない。 同級生:ヒカル、お前、昨日救急车に乗ったんだって, ヒカル:うん,うん… 同級生:ヒカル, アカリ:ヒカル、本当に大丈夫,何があったの、昨日。 ヒカル:それがさ、自分でもよく覚えてないんだ。起きたら、もう今日になってて。 先生:後の人にまわしてください。はい、始めてください。 ヒカル:は… 佐為:ほう、歴史の问ですか, ヒカル:あっ、お前~ 先生:なんですか, ヒカル:あ、いいえ、その…すみません。 先生:座ってテストを続けなさい。 ヒカル:はい。…昨日のあれは、梦じゃなかったんだ。 佐為:はい。 ヒカル:で、お前の名前、何ってたっけ。 佐為:佐為です。 ヒカル:佐為か。お前、そんなに碁が好き, 佐為:はい。 ヒカル:まだ碁が打ちたい, 佐為:はい~ ヒカル:でもわるいな。オレ、碁なんて全然やる気ないから。 佐為:う…う… ヒカル:…っ~ アカリ:ヒカル~ 先生:进藤君, ヒカル:何やして、てめぇ~ 佐為:な、何もしてません~何も~ アカリ:ヒカル、大丈夫, 先生:进藤君,进藤君、大丈夫,保健室に行く, ヒカル:あ、もう平気っす。 2 佐為:碁を打てないという私の悲しみが、あなたの意识を包んだだけです。 ヒカル:ったく、千年におよぶお前の情热には舌を巻くぜ。でもな、オレにはオレの人生設計があるんだ。なあ、 オレ以外のヤツじゃだめなの、乗り移るのを, 佐為:多分… ヒカル:は… 佐為:はあ… ヒカル:分かったよ。たまに打つだけならいいか。 佐為:え, ヒカル:けど、オレの心はオレの物だからな、勝手に話し掛けてくるな~ 佐為:はい~ ヒカル:…と、誰だったけな。 先生:あと十分ですよ。もうできた人は間違いがないか、もう一度チェックしましょうね。 ヒカル:ぐ…駄目だ。佐為、お前知ってるか、天宝の改革って, 佐為:天宝の,老中【ろうじゅう】の水野さまが始められた, ヒカル:それそれ~ 佐為:ああ、懐かしい。一度城中で碁を打ったことがあるんですよ。 ヒカル:じゃ、ペリーも知ってる, 佐為:うん…ペリー, ヒカル:ペリーだよ。黒船を率いてやってきた。 佐為:あ、ペルリ提督ですね。 ヒカル:それで、そのペルリ提督は、どこに来たんだ, 佐為:浦贺です。あの時は大騒ぎでした。 ヒカル:浦贺っと。佐為~ 佐為:はい, ヒカル:お前ってけっこう使えるヤツだな。 先生:进藤君、なに独り言【ひとりごと】を言ってるの,テストはもうできたの, ヒカル:もうちょっとです。 先生:頑張ってね。 佐為:人の体を通り抜けておきながら、謝りもしない。なんたる无礼な。 ヒカル:へへ。 佐為:ヒカル、この时代の女性はみんな… ヒカル:分かった、分かった~分かったから、そう頭の中で騒ぐな。终わったら、碁の打てる所へ連れて行ってや るから。 佐為:うわあ、すごい人ですね。 ヒカル:天下の大東京だからな。 佐為:そいで、そいで、どこで碁を打つんですか。 ヒカル:碁会所。 佐為:うん。 ヒカル:爺ちゃんが時々行ってるらしいんだけど、碁の好きな親爺たちが集まって、碁を打つ场所があるんだと。 佐為:いつの時代でも、囲碁を爱する人はいるのですね。 市河:あら、こんにちは。どうぞ。 ヒカル:うん。わ、爺ばっかし。 市河:あの、キミ、ここ初めて, ヒカル:ここもなんも丸きり初めて。谁でも打てるの, 市河:打てるわよ。じゃ、はい、名前書いて。棋力はどれぐらい, ヒカル:棋力,よく分からない。 3 市河:え, ヒカル:人と対局したことないんだ。そこそこ強いと思うけど。あ、子供いるじゃん。あいつと打てる, 市河:ん、でも、あの子は… アキラ:対局相手を探してるの, ヒカル:うん。 アキラ:いいよ、ボク打つよ。 市河:あ、でもこの子… アキラ:奥へ行こうか, ヒカル:うん。 市河:ちょっと待って。子供なら五百円よ。 ヒカル:え、お金要るの, アキラ:初めてここに来てくれたんだから、今日はサービスしてあげてよ。 市河:ふふ、アキラ君がそう言うなら。 アキラ:ボクは塔矢アキラ、キミは, ヒカル:进藤ヒカル、六年生だ。 アキラ:ボクも六年だよ。 ヒカル:やっぱり年寄りが相手じゃ盛り上がねぇもんな。 アキラ:棋力はどのぐらい, ヒカル:それが、よくわかんないんだ。けっこう強いと思うんだけど。 アキラ:へへ、よく分からないのに強いの,じゃ、とりあえず、キミの置き石は、四つか五つぐらいにしようか。 ヒカル:置き石って、ハンデ让步のこと,要らないよ、そんなの。お前とオレは同じ年じゃん。 客たち:塔矢アキラ相手に置き石なしだって,とんでもない坊主だ。はは。 アキラ:いいよ。じゃ、先手でどうぞ。 ヒカル:オレ、ちょっと打つのが遅いかもしれないけど、勘弁な~ 佐為:っ…… ヒカル:佐為…、そんなに嬉しいのか,…百四十年ぶりだもんな。 佐為:ヒカル、行きますよ。 ヒカル:よし。 佐為:十七の四——右上隅、小目。 ヒカル:十七の…一、二、三、四。 アキラ:うっ、思い切り初心者の手付きだな。 佐為:十六の十七——右下隅、小目。 ヒカル:十六の十七…ここか, 佐為:三の十六。 ヒカル:…三の十六。 佐為:十六の五。 ヒカル:…十六の五。 アキラ:小角, 佐為:十四の四。 ヒカル:…十四の四。 アキラ:石の打ち方は初心者だけど、石の筋はしっかりしている。自分で強いと言うだけある。 ヒカル:どうした,早く打てよ。 アキラ:あっ、ごめん。しかし、定石の形が古い。それに、時々変な所で手が止まるのはなぜだ。 ヒカル:ええと、十四の十一、ここか, アキラ:ボクの打ち込みにも動じない。いや、動じないどころか、軽やかに躱していく。あっ。 佐為:その白石はあなたの物です。取りなさい。 4 ヒカル:はっ、これ, 佐為:はい。十九の十五。 アキラ:…… ヒカル:いいの、取られちゃって, 佐為:十八の十四。 ヒカル:これ、取れるんだよね。 佐為:はい。 アキラ:…… ヒカル:どうしたの, 佐為:その白の九子が死んだのです。その石は、のちにヒカルのあげはまになります。 ヒカル:こんなに一杯,じゃ、楽胜じゃん。 佐為:いいえ、この者は、それほど柔ではありません。あの九子は私が取ったのではなく、彼が舍てたのです。 ヒカル:は, 佐為:よくご覧なさい。 ヒカル:これは… アキラ:まだやれる。左上の九子は大きかったけど、ボクは中央の空间を支配している。 ヒカル:大丈夫なの, 佐為:ふん、多分。四の十三。……八の、五。 ヒカル:ええと、八の…そこか, アキラ:あっ…。これは、これは最善の一手ではない、最強の一手でもない。ボクが、どう打ってくるかを试して いる一手だ。ボクの力量を测っている。遥かな高みから…… 客:じゃ、またね。 市河:ありがとうございました。あら、终わったの, ヒカル:うん。やっぱり対局はまだ早いわ、オレ。打つのはすごく时间が掛かって、もうへとへと精疲力竭。 市河:あらあら。は、そうそう。今度は子供の囲碁大会あるんだけど。 ヒカル:うん… 市河:はい。見に行ってみたら, ヒカル:考えとく。今日はありがとう、姉さん。 市河:またね。…アキラ君とやるのは、五十年早かったかな。 客たち:えっ、負けた,そんなバカな。アキラ君はプロに近い実力なんだぜ。……置き碁だったんだろう。何目置 かしたって,…先手の黒番で。二目差。…二目差なら、コミを入れれば、アキラ君の勝だ。 アキラ:二目差とか、そんなレベルじゃない。 市河:ちょ、ちょっと待ってよ。アキラ君が負けたって本当なの,まさか。だってあの子は、今まで一度も対局し たことがないって言ったのよ。 アキラ:一度も、対局したことが、ない,何なんだ、彼はいったい, ヒカル:へえ…慣れないことしたから疲れちゃった。ちっとは満足したか, 佐為:はい。 ヒカル:よし。じゃ、帰ったら社会の宿題だ。 佐為:何なりと~ ヒカル:うん~走るぞ。 第二局 見ぬかれた急所 アカリ:こんにちは。 ヒカルの母:あら、アカリちゃん。 アカリ:ヒカル君、いますか, ヒカルの母:それがね、あの子、囲碁教室に通い始めたの。 5 アカリ:囲碁, ヒカルの母:ほんとう、あの子、どうしたのかしら, アカリ:ヒカルが、囲碁, 白川:ええ、では、この図に行ってみましょうか。これは、黒のサガリが好手です。白がこうオサエてきても、こちらからアタリに行き、白に二子を取らせて、その後、こちらから目を奪えば、白は死にますね。 ヒカル:何言ってんのか、さっぱりわかんねぇや。 佐為:そりゃ、ヒカルは初心者ですから。 白川:では、先にこう目を奪いにいくと、どうなるでしょう, 男:十九の十六~ 白川:そうですね。ここへ行くと、白は… 佐為:教えているあの方は、どのぐらいの腕なんでしょうか。 ヒカル:プロだってさ。 佐為:プロ, ヒカル:碁で、お金をもらって、生活してるってこと。 白川:では、講義はここまでにして、対局に入りましょう。 みんな:お願いします。 白川:ええと、キミが进藤君だね。 ヒカル:あ、はい。 白川:碁は初めて, ヒカル:前に一度あるけど、でも、その時は、見てただけみたいなもんだから。 白川:じゃ、石取りゲームをしようか。 ヒカル:は、これ知ってる。ここに白がくると、取られちゃうでしょう。 白川:そう。こういう「あと一手置いたら、取っちゃうぞ」って時を、アタリって言うんだ。じゃ、今度のはどうかな,アタリ。さ、进藤君、逃げてご覧。 ヒカル:ええと。 白川:はい、アタリ。…アタリ。また、アタリだ。…はい、ご馳走さま。 ヒカル:あ, 佐為:へへ… ヒカル:うん,~ 白川:今のがシチョウって言って、いくら逃げても逃げられない形なんだ。対局中はよく出てくる形だから、それを気にしながら、今日のところは見学しててくれるかな。 佐為:ヒカル、もう帰っちゃうのですか。 ヒカル:ちょっと休憩。 佐為:おお、何ですか、これは, ヒカル:自動販売机。お金を入れると、饮み物が出てくるんだ。 佐為:う…ん。ほう。うん~おお~ 主婦:また遅刻だわ。あら、ヒカル君,ヒカル君も碁を始めたの, ヒカル:あ、ちょっとね。連れに碁の好きなヤツがいてさ、偶に相手してやるんだけど、碁のことを何も知らないとなかなかね。基本ぐらいは覚えとこうかと思って来たんだけど、やっぱりわかんねぇや。 主婦:で、ここで时间つぶしてるんだ。あら、これ天元戦のテレビ中継だわ。 佐為:ヒカル、これは何ですか,箱の中で人が囲碁を。 テレビの声:うん…、手が止まりましたね。…ここで考える事と言いますと。…さて、何でしょう。塔矢名人の場合、たとえば防ぎにしても、これまでよしとされていた以上のものを、常に求めていらっしゃるような気がするんですよ。私たちには見えない何か… 主婦:そうそう。この人、神の一手に一番近い人って言われているのよ。 6 ヒカル:神の一手, 主婦:おばさん、ちょっと憧れてんのよね。 佐為:この者、ただの打ち手ではない。私と同じく神の一手を極めようとする者。 。ええ、なかなかお強いそテレビの声:そう言えば、塔矢名人には息子さんがいて、プロを目指されているとか…うですよ。 ヒカル:おばさん、教室行かなくていいの, 主婦:あら、そうだわ。白川先生も素敌なのよね。 ヒカル:あ, 市河:あ、いらっしゃい。 広瀬:アキラ先生いる,一局打ってもらおうと思うんだけど。 市河:あ、うん…いるにはいるんだけど、先週のあの一局以来、誰とも打たないの。あそこでずっとあの一局を並 べているの。 広瀬:あの一局って、同い年の男の子に二目差で負けちゃったっていう… アキラ:帰るね。 市河:う、うん。気をつけて帰ってね。 広瀬:お、アキラ君。まだいたのかい,あんまり帰りが遅いと、お母さん心配するだろう。うん,どうしたんだ、 アキラ君, 市河:ええ、ちょっと… アキラ:あの一手も、あの一手も、まるで指导碁だ。あれが本当の彼の実力だとしたら。いや、そんなはずがない。 そんな子供いるわけない。分からない。何者なんだ、彼は, 先生:はい、じゃ、今日はここまで。宿題忘れないようにね。気をつけて帰るのよ。 ヒカル:さよなら、先生~ 先生:あ、进藤君, ヒカル:え, 先生:最近ぼーとしてること多いけど、社会の成績はとってもいいわね。家庭教师さんでも頼んだのかしら, ヒカル:あ…まあ、そんな感じかな。でもさ、そいつがけっこう厄介なんだよね。 先生:この調子で、頑張ってね。 ヒカル:うん。じゃ、先生。 先生:気をつけて帰るのよ。 ヒカル:はい。 アカリ:ヒカル~ ヒカル:うん, アカリ:ヒカル、最近どうしちゃったの,得意の体育が調子悪いしさ、社会のテストの直しはちゃんとやってくる し。 ヒカル:テストの直しやってきちゃ、おかしいのか, アカリ:そういうわかじゃないけど。ね、明日の日曜、どこか遊びに行かない, ヒカル:明日,明日はちょっと、連れの付き合いで。 アカリ:囲碁教室とか, ヒカル:え,お前、知ってたの, アカリ:あ、うん。 ヒカル:お前も来るか, アカリ:私はちょっと。 アカリ:よろしくお願いします。 ヒカル:すいません。どうしても見学したいっていうもんで。 7 白川:うん、いいよ。碁に興味を持つ人が増えることは大歓迎さ。最近は、星打ちが多くなりましたが、やはり小 目人気も現在ですね。こう桂馬に守ってしまえば、ほぼ一隅には取れたようなものです。 アカリ:ヒカル、何言ってるか、分かってるの, ヒカル:全然。 白川:でも、対局してると、いつもいつもこういういい形にはさせてもらえませんよね。じゃ、白がここに掛けて きました。黒はどう受けますか, ヒカル:あ、これ知ってる。 白川:うん,进藤君だったね。じゃ、どこに打つのかな, (佐為:十六の五。) ヒカル:十六の五。その星の下。 白川:十六の五、ここかい,ほう。 みんな:ええ, アカリ:ふふ… 白川:キミは碁はほとんど初めてなんだよね。 ヒカル:あっ、間違ってました,すいません。 白川:いや、とてもいい手だよ。 ヒカル:え, 白川:最近はあまり見ないけど、昔はよく打たれていたんだ。 ヒカル:はあ。 白川:あ、座っていいよ。 ヒカル:はい。あの、どうして今は打たれなくなったんですか, 白川:昔、コミのルールがなかったんだよ。 ヒカル:コミ, 白川:先手で打つ黒のほうが有利になるから、その代わり、白は最初から五目半もらえるんだ。つまり、盤面で白 が五十目なら、黒は五十六目ないと胜ちにはならないってことだよ。 、五目半。 佐為:へえ… ヒカル:へえって、お前、知らなかったの, 佐為:秀策の時代には、そんな規則ありませんでしたから。 ヒカル:黒の時有利だとは思わなかったのか, 佐為:黒を持ったら、負けたことはありませんよ、私は。 ヒカル:あのな… 佐為:なるほど。コミ五目半ですか。 白川:そのルールができてからは、このコスミでは少し甘いのではという意見が出るようになって、最近では确か にあまり打たれなくなったのですが、素晴らしい一手であることには変わりないのです。 白川:进藤君の手の中の碁石の数が、奇数だと思ったら一個、偶数だと思ったら二個、盤面に石を置いて。じゃ、 进藤君、数えてみて。 ヒカル:二、四、六、八、九。奇数だ。 アカリ:当たった。 白川:キミが黒だ。お互いレベルが同じ者同士がやる時は、こうやって先手を决めるんだ。プロの打った碁だよ。 今日はそれを並べて、感じを攫んでください。じゃ、また後でね。 ヒカル:うん… アカリ:ね、ヒカル、分かるの, ヒカル:この番号の順番に並べていけばいいみたいだけど。ほら、アカリ、最初はここだ。 アカリ:どこ, ヒカル:あ、ここ、ここ。 阿古田:へい、ここで六子はいただき。おたく、石を取られるのが好きだね。 8 みんな:阿古田さんまた弱い者を苛めめしてるわよ。嫌ね。 阿古田:そんな間抜けなとこに打っちゃっては。負けたがる者も珍しいね。 ヒカル:鬘, 佐為:我慢できません。ヒカル、あの人と替わってください。彼の打つ手に、正しい一手は一つもありません。 ヒカル:佐為, 佐為:強い者が弱いものをいたぶる碁なんて、私は許しません。怯えきってるあの人に代わり、私が打ちます。無 慈悲な一手に見合う苦汁を飲ませてやるのです。そして终局ののちに言っておやりなさい。あっ, ヒカル:おっと、すいません。 阿古田:何をする、小僧,せっかくの対局が台無しじゃないか。 ヒカル:いや、ちょっと手が滑っちゃって。じゃ、いま取りますから。 阿古田:なに,だめ~や、やめなって。ああ~ みんな:ははは。 白川:进藤君~今日はもう帰りなさい。 アカリ:もう、せっかく付き合ってあげたのに~ ヒカル:お前が勝手についてきたんじゃん。 アカリ:知らない~ 佐為:わ、先生怒らせちゃったら、碁が打てないじゃないですか~, ヒカル:うわあ~~あっ、これ、連れてってやるよ。いいだろう、それで, 佐為:はは、ヒカル~ ヒカル:何、この雰囲気,オレより小さいヤツまでいる。あの人たちは親や家族か,佐為、すごいね。 佐為:ええ、すごい、すごい~子供がいっぱい~千年前の私の囲碁への情热も、今ここにいる子供たちの热気も同 じです。彼らは私に教えてくれます、千年後の未来も同じだと。 ヒカル:そうだ。もしかしたら、あいつが来てるかも。 (市河:アキラ君、広瀬さんが指导碁をお願いしにみえてるだけど。 アキラ:すみませんが… 市河:待ってるの、あの子を,) ヒカル:この人数じゃいても、わからないな。 佐為:そこの左上隅の戦い。 ヒカル:うん,これ, 佐為:打ち损じると、黒が死にますね。一の二は急所です。 ヒカル:惜しい。その上なんだな。 子供たち:え, 係員:キミ~何を考えているんだ。対局中に口を挟むなんて。 ヒカル:ごめん。 绪方:まあまあ、そんなに騒がないで。 係員:あ、绪方先生。とにかく、この子は奥へ連れて行きます。 绪方:お願いします。 係員:さ、来なさい。 ヒカル:ああ。 绪方:もう済んだから、キミたち対局を続けて。で、状况を教えてくれる。 子供たち:ボクが一の三に打ったら、あの子が「惜しい、その上」って。 绪方:これは… (市河:あ、そうだ~私、あの子に全国子供囲碁大会のちらしをあげたんだわ。 アキラ:え、今日棋院でやってる, 市河:ええ。さして興味はなさそうだっだけど、もしかしたら。…アキラ君, アキラ:ボクがいない間に彼が来たら、引留めておいて。 9 市河:変わったわね、アキラ君。 広瀬:今まで、ライバルらしいライバルがいなかったからな。) 係員:まったく、「つい口を挟んじゃった」じゃ、済まないんだよ。 ヒカル:はい。 その一局は無勝負ということで、再戦させました。仕方なかろう。もういいから、係員たち:で、どうしたんだ, 帰りなさい。 ヒカル:お騒がせしました。はあ。 係員:やれやれ。で、その局面というのは。 ヒカル:やっぱ、あれはまずかったな。 佐為:あの子たちに悪いことしました。 ヒカル:あ~ 塔矢名人:気をつけなさい。 佐為:は、あの男~以前見た神の一手に最も近い男。 塔矢名人:何かトラブルがあったそうだな。 係員:あ、塔矢先生。とにかく、これを見てください。 绪方:我々プロでもちょっと考えるこの局面を、助言したそうです。それもちらっと見ただけで、速答だったそうです。 塔矢名人:なるほど、この黒の生き死にの急所を一目でな。そんな事をできる子供が、息子のアキラ以外にもいたのか, 绪方:それを名前も聞かずに帰すとは。 係員:すいません。 塔矢名人:まあ、いい。彼がそれほどの打ち手なら、遅かれ早かれ、いずれは我々プロの前に現れることになる。 ヒカル:だいたいな、佐為が余計なこと言ったからだろう。お、やるか,そっちがその気ならもう碁なんてやってやらないから。 アキラ:进藤~ ヒカル:あ,塔矢…, アキラ:見つけたぞ。やっと見つけたぞ、进藤ヒカル~ 棋魂日文台词修正版-3 2010-01-16 01:26 第三局 牙をむくアキラ ヒカル:塔矢、塔矢じゃないか,どうしたんだよ, アキラ:あ、いや。 ヒカル:囲碁大会には出なかったのか, アキラ:キミは, ヒカル:オレ,オレはちらっと覗いただけなんだけど。でもさ、あんなの初めてだったよ。オレより小さいヤツなんかもいてさ。みんな真剣なんだよ。ちょっと感动だよ。 アキラ:感动,キミは真剣になったことがないの, ヒカル:え、真剣, アキラ:手を見せてくれないか, ヒカル:手, アキラ:特に爪が磨り減っているわけでもない。碁石にいつも触れている手とはとうてい思えない。 ヒカル:何なんだよ, アキラ:あ、ごめん。キミは、プロになるの, ヒカル:プロ,はは、オレがプロ,そんなの考えたことないよ。塔矢、プロになるつもりなのか, アキラ:なるよ。 10 ヒカル:あ…はは、そうか。塔矢はプロを目指してるのか,囲碁のプロって儲かるのか, アキラ:タイトル戦の賞金なら、名人戦で三千六百万で、棋圣戦が四千二百万。 ヒカル:おい、おい、タイトル戦っていくつあるんだよ,全部勝ったりすると。 アキラ:全部で八冠、賞金総額は一亿八千万ぐらいさ。 ヒカル:一亿,おほほほ。佐為、お前の腕なら、名人戦ぐらいちょろいだろう。 佐為:お金のために碁を打つなんて~ ヒカル:まあ、ちょっとだけさ。 アキラ:ちょっとだけ, ヒカル:いや、ちょっとプロになって、ちょこちょこっとタイトルの一つや二つ取るのも悪くないかなって。 アキラ:「ちょっとプロになって」、「ちょこちょこっとタイトルの一つや二つ取る」,ふざけるな~その言葉、プロの人全てを侮辱する言葉だぞ~ ヒカル:オレ… アキラ:キミが碁打ちのはずがない。碁を打ってきた者が、そんな暴言を吐くものか~「ちょっとプロになる」,棋士の高みを知ってるのか,忍耐、努力、辛酸、苦渋。果ては絶望まで乗り越えてなお、その高みに届かなかった者さえいるんだぞ。父の傍らで、そんな棋士たちを見てきた。それを君は…~ボクもそれを覚悟で努力してきた。小さい頃から毎日毎日、何時間も碁を打ってきた。どんなに苦しくても打ってきたんだ。なぜボクがこんなヤツに負けたんだろう,……今から一局打たないか,ボクはプロになる。いずれになる。キミが苦もなくプロになり、あっさりタイトルを取ると言うのなら、こんなところでボクに負けては話になるまい。今からボクと打とう~ ヒカル:佐為、どうする, 佐為:いいでしょう。 アキラ:そう、ボクとて神の一手を極めようという志に生きるのならば、こんなところで負けるわけにはいかない。进藤ヒカルは、確かに初心者ではない。侮れない。ただ妙に古い定石を打つ。秀策のコスミもそうだ。あの手は、コミのない時代だから好手とされたんだ。そこだ。そこに、彼を突き崩す隙がある。 ヒカル:こいつ、怒っちゃってな。冗谈だぜ。通じるだろう、普通。 佐為:冗談,本当に冗談, ヒカル:あ、もう。どいつもこいつも冗談の通じないヤツばっかりだ~だいたいな、この前の対局だってたった二目差の勝ちじゃん。それにさ、小学生相手にその程度のお前が、あっさりプロになって、ぱぱっとタイトル取れるなんて、ぜんぜん思ってないよ。 佐為:ヒカル、この前の対局、私本気じゃありませんよ。 ヒカル:あ, 佐為:あれは、指导碁です。 ヒカル:指导碁, 佐為:指导碁というのは、相手を正しい筋へ導いてやるのが目的です。指导者は勝に拘った無茶な打ち方はしません。 ヒカル:ふう。じゃ、とりあえず、こいつよりは強いんだ。でも、オレと同じただの小学生だからな、佐為のほうが強くて、当たり前か。 佐為:今、何と言いました、ヒカル, ヒカル:うん, 佐為:彼はただの小学生ではありませんよ。未熟ながらも、輝くような一手を放ってくるのです。彼の一手一手に、私自身が覚醒していくのを感じます。この子が成長したら、狮子に化けるか、龍に化けるか,そして今、その彼が牙をむいている。 アキラ:奥が空いてる所を借りるよ。 市河:アキラ君,キミは, ヒカル:こんにちは。 客たち:あの子,そうだ、あの時の。そうだよ、あの子だよ。 ヒカル:あ、ちょっと。 11 アキラ:どうぞ。 ヒカル:あ…うん。かあ、こいつ平気でギャラリー背負ってるよ。 アキラ:互先でいいよね。 ヒカル:互先って、白にコミがつくヤツ, アキラ:ボクが握ろう。 ヒカル:当たった、偶数だ。オレが黒だな。 アキラ:コミは五目半~ ヒカル:う、うん。 アキラ:…お願いします。 ヒカル:うん、よろしく。佐為。 佐為:十七の四——右上隅、小目。 ヒカル:十七の四、っと。 佐為:さて、どうしたものか。この清々しい目をした、将来有望な子供,しかし今、私に牙をむいている。紙一重の差その牙をひらりと躱し、よしよしと頭を撫でてやるのがよいか,それとも… 客:一手目に三分も使ってる。 佐為:星ですか,十六の十七。 ヒカル:十六の十七。 佐為:また星ですか,秀策の時代には考えられなかった手です。この百四十年の間に、いろいろ研究されたのでしょう。しかし、五目半の負担…。この子相手ならいざ知らず、力が対等の者が相手となれば、ずいぶん厳しい負担となる。もっと一手の働きを追求していかなくては…。十五の三。最善の一手の追求、何という喜びであろう。 ヒカル:なんだよ、こいつ。まじで怒ってるのか, 佐為:次の一手、ここでコスむのは確かに温いかもしれない。するとハサミのほうが足が速いか。……私のコスむ手を待っているのか,ならば、それもよかろう。十五の十六——コスミ~さ、来るがよい~ アキラ:…ぐ、あ、ありません。 ヒカル:あ,佐為, 佐為:中押しです。彼は自分の負けを宣言したのです。 ヒカル:え,だって、この前の対局のまだ半分ぐらいしか打ってないんだぜ。…塔矢、お前すげぇよ~お前の真剣さって怖いぐらいだぜ。一手ごとにお前の気迫がオレにぶつかってきてさ。全国大会のあいつらもすごかったけど。本当、みんな、真剣で…。聞いちゃいない…。聞いちゃいないんだ、オレの言葉なんか。オレ、帰るよ。じゃな。 アキラ:お父さん、お父さん~ (アキラ:お父さん、ボク、囲碁の才能あるかな, 塔矢名人:囲碁の才能か,はは、それがお前にあるかどうかは私にはわからぬが、そんなものなんかなくても、おまえはもっとすごい才能を二つ持っている。一つは誰よりも努力を惜しまない才能、もう一つは限りなく囲碁を爱する才能だ。 アキラ:お父さん、ボクは今まで、お父さんの言葉を誇りに、まっすぐに歩いてきました。でも今、何か見えない壁がボクの前にあるんです。見えない大きな壁が……。) ヒカル:何で勝ち方したんだよ,上手に二目差で勝つんじゃなかったのか,な、おい、佐為~ 佐為:あの子供、ひとたちで首と胴を切り離すしかなかった。頭を撫でる余裕など彼も与えてくれなかった。 人々:おい、なんだこいつ、いきなり。びっくりしたわ。 (アキラ:君は真剣になったことがないの,) ヒカル:真剣, アカリ:で、おかしいんだ。昔々、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいて、その隣に…でね、さっきから聞いてる, ヒカル:…うん。 12 アカリ:ヒカル~帰り道こっちだよ。 ヒカル:ちょっと。 アカリ:また囲碁教室に行くの, ヒカル:今日は囲碁教室の日じゃねぇよ。 アカリ:もう、最近のヒカル、変~ ヒカル:塔矢、お前の真剣さって何だ,囲碁って何だ,お前も佐為のように神の一手を極めようとしているのか, 佐為:ヒカル、今日も碁を打ってくれるのですか, ヒカル:いやだよ。 佐為:だってここまで来て, ヒカル:いまそんな気分じゃないの。 绪方:キミ~ちょっと~ ヒカル:え,いやっやや~ 绪方:先生、今ちょっとそこで、あの男の子を掴まえました。あの男の子です。子供囲碁大会で一の二を即答した、あの。 客:またキミか,今日アキラ君いないよ。 塔矢名人:そうか。アキラに勝ったというのもキミだったのか, ヒカル:あれ、どこかで,あ、あの時の。神の一手に一番近い、塔矢の親父, 塔矢名人:キミの実力が知りたい。 ヒカル:ええ, 塔矢名人:座りたまえ~ ヒカル:あ、いや、オレは。 佐為:ヒカル~彼と打たせてください~本因坊秀策として存在した私に挑んできた数多の好敵手たち、この者の気迫、正しく彼らと同じ。 塔矢名人:石を三つ置きなさい。アキラとはいつもそれで打っている。それがアキラの実力だ。 ヒカル:この人は、塔矢と同じ目をしている。きっと佐為も。オレだけ何だか仲間外れ。オレが、オレが打ちたい。オレが… 塔矢名人:行くぞ。 ヒカル:っ~ 佐為:五の三——カカリ。 ヒカル:五の三、っと。…格好いい。 佐為:三の三——ツケ。 ヒカル:塔矢の打ち方も上手なもんだと思うんだけと、この人も。 塔矢名人:アキラには二歳の時から碁を教えた。私とは毎朝打っている。腕はすでにプロ並みだ。 ヒカル:すげぇ。指先が光ってるようだ。 佐為:四の四——星。 塔矢名人:アマの大会には出さん。あの子が子供の大会に出たら、まだ伸びる子の芽を摘むことになる。あの子が别格なのだ。だからこそ、そのアキラに勝った子供がいるなど私には信じられん。 佐為:三の二——サガリ。 ヒカル:指が石を掴み、持ち帰て挟む。その指が、盤上へ石を放つ。輝く指先。オレもあんなふうに打てたら。 佐為:十の十六——星。 ヒカル:オレも、あんなふうに、あんなふうに打てたら。 棋魂日文台词修正版-4 2010-01-18 01:23 第四局 将棋部の加賀 ヒカル:…っ~佐為,まさか、今、オレの体を…わああ~ 13 绪方:キミ~…いったいどうしたんでしょうか,私がむりやり連れて来たのはいけなかったでしょうか,…彼、ど うです, 塔矢名人:うん、石の流れに歪みがなく、非の打ち所がない。プロのお手本のようだ。 绪方:では… 塔矢名人:序盤の数手を見た限りではそう言えるというだけだ。棋力は何とも言えないな。 绪方:そうですか。 塔矢名人:それより… 绪方:それより, 塔矢名人:いや。最後の一手だけは異彩を放っていた。悪手といえば悪手に見える、しかし… ヒカル:この野郎~お前、オレの体を乗っ取ったろう。オレの心の中だけじゃなくて、体にまで入り込みやがって。 あんな打ち方、オレにできわけねぇだろう, 佐為:ち、違います。体に入り込むなんて、私にはできませんよ。 ヒカル:じゃ、オレが打ったっていうのかよ, 佐為:そうですよ。 ヒカル:嘘つけ~ 佐為:じゃ、そこの石で打ってみてください。指をこう。 ヒカル:よし、こうか, 佐為:はい。 ヒカル:よしゃー~できないじゃないか~ 佐為:でも、あれはヒカルが打ったんですよ。打った場所も私の指示と違います。 ヒカル:うまいこと言って、隙を見てオレの体を乗っ取るつもりだな。 佐為:しりません。もう、勝手にそう思ってなさい。でもヒカル、あれは正しくあなたの一手でしたよ。あなたも 碁を少し覚えて、自分からここに打ちたいとか思うようになってきたんですよ、きっとね。 ヒカル:よっと。それにしても、塔矢名人の打ち方、格好よかったよな。塔矢はあの人からずっと碁を教わってき たんだな。石も掴めないオレとは、すげぇ差。 佐為:ヒカル、もう一回、ほら、碁石。 ヒカル:もういいって。どうせできねぇんだから。 アカリ:ヒカル, ヒカル:うん,アカリ, アカリ:今、ヒカルんちを寄ってきたんだよ。こんな時間まで、どこに行ってたの, ヒカル:碁を打ってた。 アカリ:碁,また,ヒカルって、最近碁にはまってるの, ヒカル:はまってなんかねぇよ、あんなもん。 アカリ:そう…。これ。 ヒカル:あ, アカリ:お姉ちゃんの中学で創立祭があるんだって、行こう, ヒカル:いやだよ~ アカリ:何で,人がせっかくたこ焼きを奢ってあげようって言ってんのに。 ヒカル:いいって。 アカリ:今度の日曜日、叶瀬中の門の前で二时ぐらいに。 ヒカル:行かねぇって。 アカリ:ヒカル~ ヒカル:さて、帰ってラーメンでも食うか, アカリ:もう~二时に叶瀬中の門の前だからね。 佐為:行っておあげなさいよ。 14 ヒカル:いやだよ。女と二人でそんなとこ行ったら、みんなの笑いもんだぜ。 佐為:ふ、あの子、ヒカルのことを好きだったりして。 ヒカル:ああ,何言ってんだ、てめぇ~ ヒカル:あの野郎~来ないじゃないか~ 佐為:これはお祭りですか,寺子屋のお祭り, ヒカル:うん、まあ、そんなようなもんだけど。そんなことよりさ、オレは金持ってきてないんだよ。 女の子:ほら、たこ焼き買ってきたよ。 ヒカル:うまそう。オレも食いたいな~ 佐為:ヒカル、あそこ~ ヒカル:あ, 佐為:ほら、碁をやってますよ。行きましょうよ。ね、ね、ね~ ヒカル:ちょっと覗くだけだぞ。 筒井:では、中級の問題です。三手まで示してください。 男:うん…、まず黒がツケだろ。で、白がこう。 筒井:では、こっちに打ったら。 男:ああ、そうかそうか。いやいや、なかなか難しいもんだ。 佐為:ヒカル、この本は, ヒカル:塔矢名人選——诘碁集, 筒井:诘碁の正解者に景品であげるんだよ。よかったら、やってみる, 佐為:ヒカル、ほしい、ほしい~ ヒカル:わかった、わかった~ 筒井:どうぞ。 ヒカル:どうも。 筒井:何年生, ヒカル:小学生、六年。 筒井:じゃ、简単なのからいってみようか。はい。 ヒカル:これなら、オレにもできるかも。佐為は黙ってて。 佐為:はい。 …… 筒井:うん、うん~ 客たち:おお、偉い、偉い~合ってる、合ってる~ 筒井:はい、景品。 ヒカル:え,ポケットティシュー,もっと難しいのをやってよ~ 筒井:もっと難しいの,大丈夫, ヒカル:佐為、頼むよ~ 佐為:はい。 筒井:じゃ、有段者の問題だ~これはボクでも手こずるかな。三手まで示して。…あ, 客たち:ほう。 筒井:合ってる。 客たち:速い~即答したぞ。 筒井:はい、オレンジジュース。 ヒカル:诘碁集がもらえる一番難しいのをやってよ~ 筒井:一番難しいって。じゃ、こんなのを解けたら、塔矢アキラレベルだよ。 ヒカル:塔矢アキラ,オレ知ってる~そんなにすごいの、あいつ, 筒井:もう、プロ试験にも受かるじゃないかな。大人相手に指导碁みたいなこともやってるらしいよ。その塔矢ア キラなら、この问题も解けるかもしれない。さ、どうぞ~第一手が鍵だよ。 15 ヒカル:塔矢アキラなら、よーし~ 佐為:自分でやってみます, 加賀:一手目は、ここだろう, ヒカル:ああ~ 筒井:何をするんだ, 加賀:へん、囲碁なんて辛気臭い。なにが塔矢アキラだ,あんなヤツ、俺に負けた最低野郎だ~へん、将棋のほうが百倍面白いぜ。ふふふふ。 ヒカル:塔矢が負けた,プロ級なのに負けるのか, 加賀:俺が強いんだよ。バカ~ 筒井:彼、加賀っていうんだ。前に、塔矢アキラのいた囲碁教室に通ってたんだ。 佐為:些か難しい诘碁をあっさり解いた。この男、何者, 加賀:筒井よ~囲碁部を作るってのはどうなったんだよ,メンバー集め、必死だったよな,条件次第で、出てやってもいいんだぜ。 ヒカル:あ,囲碁部, 筒井:うちの学校には、囲碁部がないんだよ。三人揃えて団体戦に参加できれば、学校が部として認めてくれるんだ。 加賀:俺の腕は知ってるだろ,お前の一千倍も強いぜ。 筒井:碁盤にガムを押し付けるようなヤツに、助けてもらう気はないね。 加賀:へん、よく言うぜ~この間、大会に出てくれって、頭下げに来たのは誰だよ, 筒井:景品だ~これ持って、さっさとあっち行けよ~ 加賀:塔矢名人选诘碁集,ぐ…、俺は、囲碁と塔矢アキラが大嫌いなんだ~ ヒカル:何だよ,塔矢アキラが嫌いって、わけを言えよ~ 加賀:「わけを言え」だと,俺に指図するってのか,おい、小僧~あんまり調子に乗るじゃねぇぜ~へん、いい度胸だ。よく見てろ~…どっちだ,当てたら、何だって話してやるぜ。その代わり、外したら侘びを入れるまでぼこぼこにしてやる。 筒井:つまらない事を言うな、加賀~キミ、もう帰るんだ。 加賀:へん。覚悟もなしに、人をなめた台詞を吐きやがって。 佐為:ヒカル、止めたほうがいいです。あの者には勝負強さを感じる。勝負なら囲碁になさい。そうすれば、私が勝って見せます。 ヒカル:お前が勝つ保証なんかないじゃないか。こいつが勝負強いだって。じゃオレは、オレだって。 佐為:ヒカル, ヒカル:こっちだ~ 佐為:ヒカル~ 加賀:お前の度胸は認めてやるよ~ ヒカル:あ、石がない, 筒井:加賀、お前~ 加賀:はははは~こんな手に引掛かるとは~からかい甲斐のあるヤツだぜ~おい、囲碁なんて辛気臭いもんを辞めて、将棋に来いよ~俺が一から教えてやるからよ~ ヒカル:ふざけるな~お前に習うくらいなら、一生将棋なんか覚えるもんか~ 男:なに~ 筒井:止めろ、二人とも~ ヒカル:塔矢に勝ったって。どうせ今みたいにインチキにしたんだろう,じゃなきゃ、塔矢が本気じゃなかったんだ~お前なんかどうせ囲碁から逃げて将棋に行ったんだろう, 加賀:筒井~そいつを放せ~そこまで言うのなら、小僧、俺の実力を見せてやる~俺が負けたら、土下座でも何でもしてやる~その代わり、お前が負けたら、冬のプールにでも飛び込みやがれ~ ヒカル:言ったな~佐為~ 佐為:十七の四——右上隅、小目。 16 加賀:なんだ、てめぇ~その打ち方は。 ヒカル:打ち方なんてどうだっていいだろう~ 佐為:十五の四。 加賀:生意気な口は勝ってからにしろ~ みんな:ああ… 加賀:こんなヤツに、俺の気持ちがわかってたまるか、こんなヤツに~ (加賀の父:鉄男~おい、鉄男~なぜ一度もあの子に勝てないんだ,塔矢アキラだよ~おかげでお前はいつもナンバーツーだ~二つも年上のくせに、情けなくないのか, 加賀:そりゃ、勝ちたいよ~けど、塔矢は…。 加賀の父:今日こそ勝て~勝てないうちは家には入れん~ 加賀:しょうがないよ~強いヤツは強いんだから。確かにお前は一人レベルの违う碁を打つ、紛れもなくナンバーワンだぜ。でもな、いつか、俺様がお前を追い抜いて、ナンバーワンになってやる。覚悟しとけよ~よし、始めようぜ~ アキラ:ボク、負けようか, 加賀:何だと,負けようか,ふざけやがって~) 加賀:ふざけやがって~俺は、ヤツをライバルだと思っていたのに、あいつは俺のことなんか相手にしてなかった。俺に勝とうか負けようかどうでもよかったんだ。終局して見れば、コミを入れて一目半で俺の勝ち。やってられるか~あいつがいる限り、ナンバーワンになれないと知ったら、親父もあっさり諦めやがる。どいつもこいつも~…それにしてもこいつ、やるな~ 筒井:へえ、この子、意外とやるな。 加賀:おいおい、冗談じゃねぇ。こいつ…。この俺が振り回されている, 佐為:十一の十五。十四の十六。楽しい。この者、塔矢アキラには及ばないものの、私の一手一手に、面白い手を打ち返してくる。勝つことなぞ、造作もないが、まだまだ游びの一手を試したい。 筒井:この黒、際どそうだけど、でも大丈夫かもしれない。だとすると… 加賀:形勢は互角か,いや、黒がいいか, 佐為:九の十九。 女の子たち:え、そんなの,五組の本橋君なんかも顔を真っ赤にして怒ってるの、「ふざけるな」って。 ヒカル:あ,アカリ,あいつ、今顷, 加賀:さっさと打てよ~ ヒカル:あ、ごめん。 佐為:ヒカル、そこじゃない~ 加賀:へへ。 ヒカル:ま、待った~ 加賀:「待った」だと,ふざけんじゃない。 筒井:あ…、死んじゃった。 佐為:仕方ありません。十二の十五。 加賀:へん、先の一手が命取りだったな~ ヒカル:え、そんなに, 加賀:さ、投了かい,冬のプールが待ってるぜ~ 第五局 覚醒の予感 ヒカル:待ったって言ったじゃないか, 加賀:ふふふふ… 佐為:ヒカル、石は一度置いたら動かせません。それが一手の重みです。 ヒカル:でも… 佐為:落ち着いて、ヒカル~大丈夫~まだ逆転の余地があります。さ、まっすぐ、全力で追い掛けますよ。 ヒカル:うん…。 17 アカリ:ね、今ヒカルの声しなかった, 女の子:え,進藤君,…あ、分かった~私たちの前に、誰か诱ったって言ってたの。あれ、進藤君でしょう。もう~ふふ… アカリ:何よ~ 女の子:いいから、いいから~ね、このたこ焼き、とても美味しいよ。もう一個買って来ようよ~どこで買ったっけ, アカリ:校舎のあっち侧。美味しいね、これ。青海苔ついてるよ。 女の子:可笑しかったね、さっきの。 アカリ:本当。 女の子:でも、あの落ちはないよね。あれ、進藤君じゃない, アカリ:本当に来てたんだ, 女の子:じゃ、私たちは。そうね。 アカリ:そんな。 女の子:進藤君によろしく~ アカリ:もう~ アカリ:ヒカル、来てたの,行かないって言うから、私、さやかたちと来ちゃったの。何してるの,碁,また, 加賀:コミを入れて、白六十八目半、黒六十八目, 佐為:半目、負け。一歩届きませんでしたか。 ヒカル:くそ~佐為、お前、大丈夫って言ったくせに。 佐為:私は精一杯やりましたよ。 ヒカル:バカやろう~お前のせいだ~あ~冬のプール~ アカリ:あ… 筒井:あの大差から、半目差まで追詰めた~ 加賀:し、信じられん、この怒濤の追撃…。かと思うと、筒井でもやらないようなあの中盤のぽか。 筒井:ボクでもは余計だ~ 加賀:筒井~学ラン脱げ~ 筒井:えっ、何で,プールに入るのは彼だな… 加賀:いいから、脱げって~ ヒカル:わ、真冬のプール~ 筒井:ハックション。何するんだよ, 加賀:筒井、囲碁大会の団体戦のメンバーが决まったぜ。 筒井:え, 加賀:俺に、お前に、こいつだ~ ヒカル:は, 筒井:はあ~ ヒカル:そんなの駄目だよ~ 加賀:負けたんだろう,一つくらい言うことを聞け~ ヒカル:いつなの、その大会, 筒井:今度の日曜日、十時から。 ヒカル:場所は, 加賀:海王中。 ヒカル:うっひょー~ここが海王中か。ええと、下駄箱で上履きで履き替えて、本館四階の第二会議室か,迷子になりそう。ま、全国有数の進学校なんて、こんな機会でもなきゃ一生来ることないよな。日曜日も練習してるんだ~ええと、ここか,ちょっと早かったかな。筒井さんたちまだいないや。 先生:いいか。いつも以上の力が出せると思うな~当たった相手は自分より強けりゃ、負けるのは当たり前なんだ 18 から。 先生:じゃ、少し打とこうか,今井は冈田と、竹下は私と。 審判長:今年もやはり、海王がずば抜けてるみたいですが、さて、次はどこがくるでしょうね, 佐為:今日は、どういった大会ですか, ヒカル:中学校の団体戦だってさ。 佐為:ほう。 ヒカル:三人一組で、二勝したほうが勝らしいよ。男子八校に、女子六校か,意外と少ないだな。叶瀬中はっと、 は、あったあった~ 佐為:わくわくしますね。ああ、早く打ちたい~は、もうどきどきです。 ヒカル:佐為~今日、お前寝てていいよ。 佐為:え, ヒカル:オレが打つから。 佐為:ヒカル、で、でも… ヒカル:オレだってさ、少しは覚えてきたし。打ちたいんだよ、自分で。 佐為:でも、昨晩、「あ、明日は大会だな」とか言って、歴史の宿題させましたよね。 ヒカル:别にお前に打たせてやるなんて、一言も言ってないし。 佐為:うう…ヒカル、狡い、狡い~ヒカルなんか、あっという間に負けちゃいますよ。 ヒカル:いいんだよ、負けたって。どうせオレはおまけなんだから。 高田の兄:な、けっこう盛り上がってるだろう。 友達:へえ。 ヒカル:げっ、あの人、高田さんちの兄ちゃんじゃないか,やべぇ~ 佐和良副将:俺たちもちょっと打っておこうぜ。 佐和良三将:ああ。 佐和良副将:しかし、海王の囲碁部はすげぇな~このホールだって、部室として使ってるらしいぜ。 佐和良三将:何だって規模が違うからな。 佐和良副将:部員の数だって五十人ぐらいいるらしいぜ。 ヒカル:この辺にじっとしてよ。 佐和良副将:トーナメントを見たか, 佐和良三将:ああ、海王とは決勝までは当たらない。うまくいけば、准優勝ができるかもしれない。 佐和良副将:ああ。 …… 佐和良三将:あ~っと、わるい、わるい~ 佐和良副将:なにやってんだよ、もう~ 佐和良三将:ええと、こうだっけ, 佐和良副将:そこじゃないだろう。 佐和良三将:何言ってんたよ~こうだよ~ 佐和良副将:いや、それは、そこじゃないって。 ヒカル:オレ、やろうか, 佐和良三将:おい、何するんだ, 佐為:ヒカル, ヒカル:こうきて、それからこう。で、こうなって。うん…。 佐和良:あ… ヒカル:ええと、この後は、あ、こうだ~それから…。で、先のところが…。こうなって、ええと…。で、ここま で。 佐和良三将:それがどうした,そんなこと分かってるんだよ。一手目から並べるなんて、ちょっと打てる者なら誰 でもできる。あっち行ってろ~ ヒカル:ご、ごめん。 19 佐和良三将:ち、石がずれてりゃ形勢逆転だったのに。さ、続きやろうぜ。どっちから,うん, 佐和良副将:…お前、これ本当にできるか, 佐和良三将:…くそ、どこの中学だ、あいつ。 筒井:え,知ってる人がいる, ヒカル:だから、あんまり目立たないでね。 筒井:あちゃ~ 加賀:ばれたら、その時で~ 佐為:確かに、ちょっと打てる者なら、一手目から並べ返すのは容易いこと。しかし、ヒカルが石を持ったのはついこの間。石に触れたことは数えるほど。今、分かったような気がする、私がなぜヒカルに引き寄せられたのか。 審判:時間だ~それでは、一回戦を始めます。ええ、女子一回戦、海王中対岩名中は,席、阿由中対川萩中は,席。男子の一回戦は、海王中対浜地中が,席、,席が田井中対岩名中、,席は阿由中対佐和良中。そして、叶瀬中対川萩中は,席。それぞれ、席に着きましたか, ヒカル:おっと、小さくなってなきゃ。うん, 川萩三将:な、何するんだ, ヒカル:え, 川萩三将:まだ始まってないのに。 筒井:ああ、駄目だって~対局時計は押すと動き始めるから。 ヒカル:対局時計, 筒井:持ち時間一人で四十五分。一手打つごとにこれを押すんだよ。分かった, ヒカル:へえ。 加賀:おい、おい~騒がずに目立たずにじゃなかったのか, ヒカル:へへ。佐為~何で黙ってたんだよ,時計のことぐらい教えてくれてもいいだろう, 佐為:そんな物、秀策の時代にはありませんよ。だいたい、今日はオレが打つなんて偉そうなことを言っておいて、私に頼るなんておかしいじゃないんですか, ヒカル:あ~このやろう~もういい、お前なんか一切出てくるな~ 佐為:ふん、しりませんからね、ヒカル~ 川萩大将:もしかして、将棋部の人,何で将棋部の人が来てるの,メンバーが足りなかったの,たった三人がいないんだ。 加賀:いいから、早く握れよ~ 川萩大将:握る,ふりごまのほうがいいんじゃない~…, 加賀:碁でよかったな。将棋なら、お前の王将は五分で死んでいるが、碁なら十分はかかる。五分だけ寿命が延びたな~ 川萩大将:くそ~ボクの棋力も知らないで、よくそんなことが言えるね~ 加賀:強いヤツか弱いヤツかすぐに分かる。鼻からギャンギャン噛み付いてくるのは弱い~ 審判:はい、そこ、早く握って~ 川萩大将:二、四、六、八、九。 加賀:俺が白だな。 筒井:白,じゃ、ボクが黒。で、進藤君は白。 进藤:白, 審判:では、始めてください~ みんな:お願いします。 …… 加賀:うん,筒井~何してる, 筒井:え, 加賀:バカか、お前は,本見て打ってるんだ, 筒井:别にルール違反じゃ。 20 加賀:そんなもん拡げてるから弱いだよ、お前は~相手が変化してくれば、定石の本なんか、役立てずなのは分かってんだろうが… 筒井:それは百も承知だけど、これ開いてないと、不安で。 審判:そこ、静かに~ ヒカル:頼む~目立たないで~ 加賀:へ…知るか、もう~ 川萩大将:バカ~へへへ。 川萩三将:キミ、時計を押し忘れてるよ。 ヒカル:あ,ああ。 川萩三将:僕って亲切でしょう。 川萩中:やれやれ~ひどい部だな~対局時計も知らないヤツと、定石の本拡げてるバカと、人数合せの将棋部。一回戦は楽勝だな~ 佐為:いいな~私も打ちたい。打ちたいです。ヒカル、ヒカルってば。 ヒカル:うん… 加賀:聞えねぇよ~ 川萩大将:ま、負けました。 加賀:よーし、十分。 先生:気を散らすな~ 川萩中:先生, 先生:大丈夫~二勝したほうが勝なんだ。お前たち二人は勝てる。森山には気の毒だったが、相手が強すぎた。 加賀:さてっと、こいつの実力を見せてもらうか。何じゃこりゃ,めちゃくちゃへたくそじゃないか, 佐為:そうなんです。 加賀:いくらなんでもお粗末すぎる。あの怒濤の追撃はまぐれだったのか, 佐為:あれは、私、私。 加賀:お前な~やる気あるのか, ヒカル:うん,やる気満々。 加賀:お前の実力はこんなもんじゃないだろう,それとも遊んでるのか, ヒカル:遊んでるよ~ 加賀:なに, ヒカル:だって…ね、ほら~碁盤には九つの星があるだろう。ここは宇宙なんだ~そこにさ、石を一つ一つ置いていくんだ。星を一つ一つ増やすようにさ。どんどん宇宙を作っていくんだ~まるで神様みたいだろう。オレは神様になるんだ、この碁盤の上で。 川萩三将:ね、まだ打つの, ヒカル:え,オレ、もっと打ちたいけど、駄目かな, 川萩三将:だって、もう勝ち負けはっきりしてるじゃん~僕、疲れるだけだよ~ 佐為:先程、ヒカルが一手目から並べたのは、まぐれだったんでしょうか。ヒカルに塔矢アキラほどの碁打ちの才能片鳞を見たと思ったのに。 加賀:これで一勝一敗。頼みは筒井だ~ ヒカル:うん。 21 アカリ,ヒカル、来てたの,行かないって言うから、私、さやかたちと来ちゃったの。何してるの,碁,また, 加賀,コミを入れて、白六十八目半、黒六十八目, 佐為,半目、負け。一歩届きませんでしたか。 ヒカル,くそ,佐為、お前、大丈夫って言ったくせに。 佐為,私は精一杯やりましたよ。 ヒカル,バカやろう,お前のせいだ,あ,冬のプール, アカリ,あ… 筒井,あの大差から、半目差まで追詰めた, 加賀,し、信じられん、この怒濤の追撃…。かと思うと、筒井でもやらないようなあの中盤のぽか。 筒井,ボクでもは余計だ, 加賀,筒井,学ラン脱げ, 筒井,えっ、何で,プールに入るのは彼だな… 加賀,いいから、脱げって, ヒカル,わ、真冬のプール, 筒井,ハックション。何するんだよ, 加賀,筒井、囲碁大会の団体戦のメンバーが决まったぜ。 筒井,え, 加賀,俺に、お前に、こいつだ, ヒカル,は, 筒井,はあ, ヒカル,そんなの駄目だよ, 加賀,負けたんだろう,一つくらい言うことを聞け, ヒカル,いつなの、その大会, 筒井,今度の日曜日、十時から。 ヒカル,場所は, 加賀,海王中。 ヒカル,うっひょー,ここが海王中か。ええと、下駄箱で上履きで履き替えて、本館四階の第二会議室か,迷子になりそう。ま、全国有数の進学校なんて、こんな機会でもなきゃ一生来ることないよな。日曜日も練習してるんだ,ええと、ここか,ちょっと早かったかな。筒井さんたちまだいないや。 先生,いいか。いつも以上の力が出せると思うな,当たった相手は自分より強けりゃ、負けるのは当たり前なんだから。 先生,じゃ、少し打とこうか,今井は冈田と、竹下は私と。 審判長,今年もやはり、海王がずば抜けてるみたいですが、さて、次はどこがくるでしょうね, 佐為,今日は、どういった大会ですか, ヒカル,中学校の団体戦だってさ。 22 佐為,ほう。 ヒカル,三人一組で、二勝したほうが勝らしいよ。男子八校に、女子六校か,意外と少ないだな。叶 瀬中はっと、は、あったあった, 佐為,わくわくしますね。ああ、早く打ちたい,は、もうどきどきです。 ヒカル,佐為,今日、お前寝てていいよ。 佐為,え, ヒカル,オレが打つから。 佐為,ヒカル、で、でも… ヒカル,オレだってさ、少しは覚えてきたし。打ちたいんだよ、自分で。 佐為,でも、昨晩、「あ、明日は大会だな」とか言って、歴史の宿題させましたよね。 ヒカル,别にお前に打たせてやるなんて、一言も言ってないし。 佐為,うう…ヒカル、狡い、狡い,ヒカルなんか、あっという間に負けちゃいますよ。 ヒカル,いいんだよ、負けたって。どうせオレはおまけなんだから。 高田の兄,な、けっこう盛り上がってるだろう。 友達,へえ。 ヒカル,げっ、あの人、高田さんちの兄ちゃんじゃないか,やべぇ, 佐和良副将,俺たちもちょっと打っておこうぜ。 佐和良三将,ああ。 佐和良副将,しかし、海王の囲碁部はすげぇな,このホールだって、部室として使ってるらしいぜ。 佐和良三将,何だって規模が違うからな。 佐和良副将,部員の数だって五十人ぐらいいるらしいぜ。 ヒカル,この辺にじっとしてよ。 佐和良副将,トーナメント表を見たか, 佐和良三将,ああ、海王とは決勝までは当たらない。うまくいけば、准優勝ができるかもしれない。 佐和良副将,ああ。 …… 佐和良三将,あ,っと、わるい、わるい, 佐和良副将,なにやってんだよ、もう, 佐和良三将,ええと、こうだっけ, 佐和良副将,そこじゃないだろう。 佐和良三将,何言ってんたよ,こうだよ, 佐和良副将,いや、それは、そこじゃないって。 ヒカル,オレ、やろうか, 佐和良三将,おい、何するんだ, 佐為,ヒカル, ヒカル,こうきて、それからこう。で、こうなって。うん…。 佐和良,あ… 23 ヒカル,ええと、この後は、あ、こうだ,それから…。で、先のところが…。こうなって、ええと…。で、ここまで。 佐和良三将,それがどうした,そんなこと分かってるんだよ。一手目から並べるなんて、ちょっと打てる者なら誰でもできる。あっち行ってろ, ヒカル,ご、ごめん。 佐和良三将,ち、石がずれてりゃ形勢逆転だったのに。さ、続きやろうぜ。どっちから,うん, 佐和良副将,…お前、これ本当にできるか, 佐和良三将,…くそ、どこの中学だ、あいつ。 筒井,え,知ってる人がいる, ヒカル,だから、あんまり目立たないでね。 筒井,あちゃ, 加賀,ばれたら、その時で, 佐為,確かに、ちょっと打てる者なら、一手目から並べ返すのは容易いこと。しかし、ヒカルが石を持ったのはついこの間。石に触れたことは数えるほど。今、分かったような気がする、私がなぜヒカルに引き寄せられたのか。 審判,時間だ,それでは、一回戦を始めます。ええ、女子一回戦、海王中対岩名中は,席、阿由中対川萩中は,席。男子の一回戦は、海王中対浜地中が,席、,席が田井中対岩名中、,席は阿由中対佐和良中。そして、叶瀬中対川萩中は,席。それぞれ、席に着きましたか, ヒカル,おっと、小さくなってなきゃ。うん, 川萩三将,な、何するんだ, ヒカル,え, 川萩三将,まだ始まってないのに。 筒井,ああ、駄目だって,対局時計は押すと動き始めるから。 ヒカル,対局時計, 筒井,持ち時間一人で四十五分。一手打つごとにこれを押すんだよ。分かった, ヒカル,へえ。 加賀,おい、おい,騒がずに目立たずにじゃなかったのか, ヒカル,へへ。佐為,何で黙ってたんだよ,時計のことぐらい教えてくれてもいいだろう, 佐為,そんな物、秀策の時代にはありませんよ。だいたい、今日はオレが打つなんて偉そうなことを言っておいて、私に頼るなんておかしいじゃないんですか, ヒカル,あ,このやろう,もういい、お前なんか一切出てくるな, 佐為,ふん、しりませんからね、ヒカル, 川萩大将,もしかして、将棋部の人,何で将棋部の人が来てるの,メンバーが足りなかったの,たった三人がいないんだ。 加賀,いいから、早く握れよ, 川萩大将,握る,ふりごまのほうがいいんじゃない,…, 24 加賀,碁でよかったな。将棋なら、お前の王将は五分で死んでいるが、碁なら十分はかかる。五分だ け寿命が延びたな, 川萩大将,くそ,ボクの棋力も知らないで、よくそんなことが言えるね, 加賀,強いヤツか弱いヤツかすぐに分かる。鼻からギャンギャン噛み付いてくるのは弱い, 審判,はい、そこ、早く握って, 川萩大将,二、四、六、八、九。 加賀,俺が白だな。 筒井,白,じゃ、ボクが黒。で、進藤君は白。 进藤,白, 審判,では、始めてください, みんな,お願いします。 …… 加賀,うん,筒井,何してる, 筒井,え, 加賀,バカか、お前は,本見て打ってるんだ, 筒井,别にルール違反じゃ。 加賀,そんなもん拡げてるから弱いだよ、お前は,相手が変化してくれば、定石の本なんか、役立て ずなのは分かってんだろうが… 筒井,それは百も承知だけど、これ開いてないと、不安で。 審判,そこ、静かに, ヒカル,頼む,目立たないで, 加賀,へ…知るか、もう, 川萩大将,バカ,へへへ。 川萩三将,キミ、時計を押し忘れてるよ。 ヒカル,あ,ああ。 川萩三将,僕って亲切でしょう。 川萩中,やれやれ,ひどい部だな,対局時計も知らないヤツと、定石の本拡げてるバカと、人数合せ の将棋部。一回戦は楽勝だな, 佐為,いいな,私も打ちたい。打ちたいです。ヒカル、ヒカルってば。 ヒカル,うん… 加賀,聞えねぇよ, 川萩大将,ま、負けました。 加賀,よーし、十分。 先生,気を散らすな, 川萩中,先生, 先生,大丈夫,二勝したほうが勝なんだ。お前たち二人は勝てる。森山には気の毒だったが、相手が 強すぎた。 25 加賀,さてっと、こいつの実力を見せてもらうか。何じゃこりゃ,めちゃくちゃへたくそじゃないか, 佐為,そうなんです。 加賀,いくらなんでもお粗末すぎる。あの怒濤の追撃はまぐれだったのか, 佐為,あれは、私、私。 加賀,お前な,やる気あるのか, ヒカル,うん,やる気満々。 加賀,お前の実力はこんなもんじゃないだろう,それとも遊んでるのか, ヒカル,遊んでるよ, 加賀,なに, ヒカル,だって…ね、ほら,碁盤には九つの星があるだろう。ここは宇宙なんだ,そこにさ、石を一つ一つ置いていくんだ。星を一つ一つ増やすようにさ。どんどん宇宙を作っていくんだ,まるで神様みたいだろう。オレは神様になるんだ、この碁盤の上で。 川萩三将,ね、まだ打つの, ヒカル,え,オレ、もっと打ちたいけど、駄目かな, 川萩三将,だって、もう勝ち負けはっきりしてるじゃん,僕、疲れるだけだよ, 佐為,先程、ヒカルが一手目から並べたのは、まぐれだったんでしょうか。ヒカルに塔矢アキラほどの碁打ちの才能片鳞を見たと思ったのに。 加賀,これで一勝一敗。頼みは筒井だ, ヒカル,うん。 第六局 美しい一局 校長先生,今日はここで中学の囲碁大会をやってるんですよ。後で覗いて行ってくださいよ。 アキラ,あ、はい, 校長先生,いやね、キミはうちの中学を受験すると聞いてね。実は、頼みがあるんです。 アキラ,はい。 校長先生,もしキミが入学した時には、一つ囲碁部に入ってもらえませんか, アキラ,でもボクは… 校長先生,いや、分かっています。将来棋士の道に進もうとするキミには、不足な场かも知れません。しかし誰もが憧れるほどの力を持った者の存在は、周りに活力を与えます。 アキラ,校長先生。ボクは、校長先生がおっしゃられるほど強くありません。 校長先生,はははは。いや、そんな谦逊は、すぐにでもプロで通用する人の言葉とは思えませんね。 アキラ,いいえ、本当にボクは。 佐為,勝ちましたよ。 ヒカル,本当, 筒井,白、コミを入れて、六十目半。黒、六十一目。 川萩副将,俺の負け,逆転されてた, 26 川萩大将,中盤まで勝ってたのに。 川萩先生,寄せで二十目差が引っ繰り返った, 加賀,本当お前、寄せだけは間違えないな, 筒井,はは、目算と寄せはね。 加賀,序盤の間抜けさと合わせてちゃらか。 筒井,ほら、大将、結果報告、結果報告, 加賀,叶瀬中、二勝一敗で勝ちっす。 審判,叶瀬中二回戦進出っと。 事務局員,お,叶瀬中が。初出場で一回戦突破か, ヒカル,でも二人とも勝ったんだから、すごいや, 加賀,お前は中押し負けだもんな, 審判,ええ、それでは、二回戦始めてください。 佐和良大将,負けました。 佐和良先生,なぜ右上隅に入っていかないんだ、池下,三三に打てば、まだ可能性が。 加賀,无理だぜ,入ってきても殺すから。仮に入ってきても届かないよ,先生、あんた目算ぐらいしろよ。そいつの投了は正解だぜ。 佐和良先生,ぐ… 岸本,三対ゼロで、海王中の勝ちです。 事務局員,お,もう决めたのか,早いな,今年も决勝まですんなり来たな。 加賀,駄目だな,今度のヤツは先より強い,五目ほど足りずに負けるな, 佐和良副将,もっと強いヤツらかとビビったけど。たいした事ないみたいだな。 佐和良三将,こいつ、大会前に俺たちの対局崩して一手目から並べたヤツだろう。 佐和良副将,そうそう、どうやら向こうで強いのは大将だけみたいだな。 佐和良三将,こいつなんて、てんで話にならないぜ。 加賀,どれどれ。うん…、石の筋は面白いんだが、あまりにも未熟というか、稚拙というか。 佐為,やい、言われた、言われた,本当、私もヒカルの素質を測りかねます。どきっとする瞬間があると思うと、がくっとくる一手を打つし。 加賀,筒井, 佐和良副将,これで一勝一敗だね, 加賀,この大会、優勝できなきゃ、叶瀬中の囲碁部は認めてもらえないんだ。 ヒカル,ええ, 加賀,お前には負担をかけまいと、筒井が内緒にしてたんだよ。 ヒカル,だって、参加するだけでいいって。 加賀,それだけじゃない。将棋部の連中は俺が囲碁部のために一肌脱ぐってのは気に入らなくて、優勝できなかったら、ただじゃおかねぇって言ってんだよ。 ヒカル,そんな,筒井さんは囲碁部作りに熱心なだけだ。 加賀,だっからお前、真剣に打て,お前の本当の実力を見せてやれ, 27 佐和良三将,ちょっと横の人、うるさいよ。 加賀,へん、早く打たないと、時間切れの負けになるぜ。 ヒカル,佐為、打て,オレじゃ、駄目だ,オレじゃ勝てないよ、佐為, 佐為,私に出てくるなって言ったくせに。 ヒカル,くっ… 佐為,あ,ヒカル、ごめんなさい、ごめんなさい,悔やしいんですね、ヒカル、自分の力で勝てないことが,大丈夫、二人で力を合わせれば、逆転できます、绝対,涙を拭いて、打ち間違いをしないで。行きますよ,八の三——ツケ, 筒井,ごめん、トイレ行ってた。 加賀,あいつ、勝ったぜ, 筒井,え,本当,本当に勝ったの, 加賀,やっぱりあいつは只者じゃないぜ。決勝戦が楽しいんだ。ひょっとして、優勝できるかもな, 筒井,信じられない,ここまで来られるなんて。 加賀,筒井、その本を捨てろ, 筒井,え, 加賀,お前に本は要らん,捨てろ,お前はそこからだ, 筒井,あ…あ, 加賀,そしてあいつだ。一回戦のような下手くそな打ち方をするのか,それとも、先みたいな打ち方ができるのか, 審判,男子の部、決勝戦を始めます。海王中と叶瀬中の生徒は準備してください。 加賀,筒井、行くぞ, 審判,それでは、始めてください, みんな,お願いします, 校長先生,今日は悪かったですね、塔矢君。 アキラ,いいえ、父が校长先生によろしくと言っておりました。 校長先生,キミのお父さんがここの生徒だった時、私が担任でした。あの頃はまだ木造校舎でね、こんなにきれいじゃなかった。お化けが出るって有名な宿直室があってね。时々碁を打ってもらったな。ははは… ,アキラ,えっ、お父さんが進藤ヒカルと打った, 緒方,先生から聞いていないのかい,偶然、私が外の通りで掴まえてね。 アキラ,それで、どうなったんですか, 緒方,数手打っただけで、彼が飛び出して行ってしまってね。 客,じゃ、またね, 市河,ありがとうございました, 緒方,あれだけでは、先生も何も言いようがない。アキラ君を怖気付かせるほどの子か,私もうかうかしていられないな,はは,, 校長先生,塔矢君、塔矢君, 28 アキラ,あ、はい, 校長先生,ちょっと覗いて行きませんか, アキラ,え, 校長先生,もう決勝戦のようですね。あの人がうちの囲碁部の指導をしてくださっている尹先生です。 アキラ,…進藤,彼が、なぜこんな所に, 佐為,五の十——ハネ。九の三——ヒラキ。十七の十四——ヒラキ。十七の四——ツケ。ヒカル、いいですか,ただ人形のように打つのではなく、一手一手に石の流れを感じなさい, ヒカル,石の流れ, 佐為,十八の五——ハネ。私はこれから、ヒカルに見せるための一局を打ちましょう。この一局の石の流れをそのままに見詰めなさい。ヒカルにはもうできるはず。それが始めの一歩です。十七の三——ノビ。十六の五——アテ。ヒカル、あなたは目覚めた, 加賀,ありません。 岸本,ありがとうございました。 加賀,海王の囲碁部…噂には聞いていたが、塔矢アキラ擬きがごろごろいるわけか。これじゃ筒井はどうやったって、歯が立たないだろう。あのガキは,…塔矢,何を真剣に…, 筒井,駄目だ,ここまで粘ったけど、投了のし時かもしれないな。え,は, 海王副将,わあ,そこを切る手はなかったはずだ。ダメ詰まりで、手が生じたんだ, 筒井,勝てる,これでボクが八目ほど勝つ,寄せで逆転はさせない。 海王副将,負けました。 筒井,あ…はは。加賀、ボク…。进藤君, 佐為,これで終局です、ヒカル。 加賀,勝った, 佐為,この者も、よくここまで就いてきました。そなたの力があって、初めてこの棋譜は出来上がったのです。誇りなさい。 尹先生,よく打ちましたね, 海王三将,尹先生…,はい, ヒカル,塔矢, アキラ,美しい一局だった, ヒカル,あ… アキラ,悔やしいよ。対局者が、なぜボクじゃないだろう,進藤君、キミを越えなきゃ神の一手に届かないことがよく分かった。だから、ボクはもうキミから逃げたりしない, 審判長,では、海王中-叶瀬中の決勝戦は、二勝一败で叶瀬中の勝ちですね。 生徒,まさか、海王が負けるなんてな。 審判長,あ、マジックを貸してください。 高田の兄,あの子、进藤さんちの…ヒカル君じゃないか,キミ、確か、小学校六年生じゃないか, 加賀,っ…はは、ばれちゃった, 審判長,どういうことかね,キミは叶瀬中の生徒じゃないのかね, 29 ヒカル,あ、ええと… 筒井,すみません,ボクが無理に頼んだんです。 審判長,優勝、私立海王中学校殿。 ヒカル,じゃ、囲碁部は, 筒井,来年頑張るさ, ヒカル,加賀は, 加賀,俺はとっとと将棋部に戻りたいね,あのな。 ヒカル,うん, 加賀,優勝しなかったらどうのっていうあれ、みんな嘘だから。 ヒカル,えっええ, 佐為,ヒカル、最后の一局、少しは何か感じた, ヒカル,うん,佐為、お前、もしかしてすごいヤツ,塔矢のあの真剣な眼差しもまっすぐに佐為を見 つめている。あいつは、全力で佐為を追い掛けるだろう。塔矢なら、追い着くかもしれない。そして、 オレはまだ、その遥か後方にいる。でも、そこからオレは、一歩を踏み出す, 第七局 お前とは打たない ヒカル,春が来た。オレは叶瀬中に入学した。 女の子A,ね、部活決めた, 女の子B,ううん、まだ。 女の子A,廊下の掲示板にいろいろ貼ってあってよ。後で見に行こうか, 女の子,ね、どこにするの, 男の子,う…ん、そうだな。 バスケ部員A,ここにしようぜ, バスケ部員B,やっぱ目立つのは玄関前の掲示板だよな, バスケ部員A,ああ。 バスケ部員B,何だこれ,囲碁部, バスケ部員A,そんなの、うちにあったっけ, バスケ部員B,やたら場所取りやがって。剥がせ、剥がせ、そんなもん, ヒカル,なにするんだ,このヤロー, バスケ部員AB,うん,何だ, ヒカル,よくも囲碁部のポスターを,この, バスケ部員AB,汚い,おい、やめろ,それって便所のモップだろう, アカリ,ヒカル, 筒井,进藤君,进藤君、どうしたの, ヒカル,こいつらがオレたちのポスターを。 バスケ部員A,囲碁部なんてどうせ一人も来やしないんだ, バスケ部員B,大体まだ部として認められてないんだろう,掲示板のスペース取るなよ, 30 ヒカル,ぐ… 加賀,力のある者が権利も大きい,うちのバスケ部は強いから、ま、当然だな。 ヒカル,加賀, 加賀,囲碁部も大変だな,それに比べて、将棋部はいいぞ、进藤,ま、囲碁部が嫌になったら、いつでも将棋部に入れてやるぜ, バスケ部員AB,というわけで、囲碁部も地道に頑張ってくれたまえ,ははは。 ヒカル,あ,頭くる, 筒井,まあまあ、ポスターくらいで。 アカリ,また作ればいいじゃない, ヒカル,でも、筒井さん、こんな所に貼っても誰も見ないよ。 筒井,まあ、いいさ。でも、いい知らせもあるんだよ。 ヒカル,え, 筒井,理科の玉子先生が、使っていない碁盤と碁石をくれたんだ。放課後空いてれば、理科室も使っていいって。 ヒカル,あ,わあ、それじゃ、もうちゃんとした囲碁部じゃん, 筒井,とにかく、部員は集まめないと。今度こそ、ちゃんと学校に認めてもらわなきゃ, ヒカル,そうか,じゃ、オレ、何すればいい、筒井さん,ポスター貼り,ビラ配り,それども、誰か部員を捕まえて来ればいいの, アカリ,ああ、楽しそう。私も行く, ヒカル,何でお前がついて来るんだよ, アカリ,だって面白そうなんだもん,ふふ。 ヒカル,加賀は,あいつ、もうやらないの, 筒井,うん。もう将棋一本、こっちには来ないってさ。 ヒカル,そうか。 アキラ,ありがとう、市河さん。 市河,アキラ君の頼みなら、いつでも聞いちゃうわよ。でも、叶瀬中に何の用なの,すぐ終わるなら待ってるけど。 アキラ,いいよ、帰りはバスで帰るから。 市河,そう。じゃ。 男の子,あれ,海王の制服じゃん, 女の子,何でうちなんかに, アキラ,あの。一年の进藤ヒカルという子を探しているのですが、囲碁部に入ったと聞きました。囲碁部の部室がどこにあるか、ご存じないですか, 女の子A,囲碁部,囲碁部なんて聞いたことないよね。 女の子B,私、掲示板で見たような気がする。 女の子A,え,本当に, 31 女の子B,あったと思うけど。 アキラ,あっ、どうも, 野球部員A,囲碁部,将棋部ならあるけど。知ってるか、お前, 野球部員B,いいえ。 アキラ,そうですか。 男の子,知ってる, 女の子,知らない。 アキラ,あの、すみません。 玉子先生,はい,あら、海王中の生徒さん、何のご用かしら, アキラ,囲碁部を探しているのですが、なかなか見つかりません。本当にあるのでしょうか, 玉子先生,囲碁部,ああ,あいつらのことね。今理科室で打ってるはずよ。うちの父が使ってた足の取れた碁盤と、少し欠けた碁石を使ってね。 アキラ,え,理科室, 玉子先生,ここをぐるっと回ったら、理科室の窓が見えるから、外から覗けるわよ。もし入るなら、右に入口が。 筒井,あの大会、失格になったけど、審判長のあの一言がうれしかったね。 ヒカル,うん。 審判長,来年度の叶瀬中の参加を楽しみにしてるよ。 アカリ,ね、それってヒカルが中学生のふりして出たあいつ,ヒカルってそんなに強いの, ヒカル,うるさいな, 筒井,う…ん、されがね、ボクにもよく分からないんだ。ピンチになると、信じられないほどの力を出すんだけど、こうして打ってると、まだボクにまけるもんな。 アカリ,なんだ、やっぱりたいした事ないんだ, 筒井,ほら、また負けた,ふふ。 ヒカル,く…。アカリ、お前、帰れ,そうやってよこから口を出すから、オレ、あいつも負たの。 アカリ,なによそれ,負けたのを人のせいにする気, ヒカル,お前のせいだろう, アキラ,进藤, ヒカル,塔矢,どうしてこんなところに, アキラ,进藤、キミほどの人が、なぜ学校の囲碁部なんかに,もう碁会所には来ないのか,ボクはたいていあそこにいる。誰と打っても、キミのことばかり考えている。キミならボクの一手にどう応えるだろうかって。キミに耻じない打ち手になるために、あれからボクはさらに精進している。キミを待っている。それを言いに来たんだ。 ヒカル,オレ、お前とは打たないぜ。 アキラ,え,待って、どういうことだ, ヒカル,オレ、筒井さんと囲碁部で頑張るんだ。ね、筒井さん, 筒井,うん…。 32 ヒカル,それで、また大会に出るんだもんね。 アキラ,ボクとは打たない,进藤,进藤, 佐为,ヒカル…, ヒカル,待たせるさ。オレが追い付くまで。 アキラ,なぜだ,なぜボクと打たない,キミがボクを恐れるはずがない。恐れたのはむしろボクのほ うだ。进藤ヒカル,キミがそのつもりなら、ボクも。 部員A,聞いたか, 部員B,聞いた。塔矢アキラがうちの部に入るらしいな。 部員C,本当か,プロ级の実力なんだろう,何で学校の囲碁部なんかに, 部員B,たまらないな, 部員D,代表枠、确実に一つ取られるぜ。 ,団体戦は,一年の塔矢が大将, 部員A 部員B,まさか, 部員D,部长の岸本さんはどうなる, 部員B,三年全員黙っちゃいないだろう, 部員C,あ、校長が塔矢に言ったらしいよ。キミが入ってくれれば、囲碁部のみんなもいい刺激にな るでしょうとか。 部員B,っけ、冗谈じゃねぇぜ, 先輩部員H,長考するな,下手くそなヤツは考えても無駄だ, 後輩部員I,はい, 先輩部員J,山田,詰め碁は瞬時に答えを出せ,十秒以上時間を掛けるな, 後輩部員K,はい、すみません, 女性部員M,なんか、今日嫌な感じ。みんなぴりぴりしてるわ。 女性部員N,しっ、静かに, 後輩部員X,例のヤツ、まだ来ないのかな, 後輩部員Y,やっぱり囲碁部をなめてるんじゃないの, 先輩部員Z,そこ、うるさい, 後輩部員XY,す、すみません, 先輩部員L,止めとけ、中井,三年の俺たちがぴりぴりしてるみたいで、みっともないぞ, 先輩部員Z,分かってる, 尹先生,塔矢, アキラ,遅れてすみません。クラスの用事が。 尹先生,あ、いい。担任の先生から聞いている。これで全員揃ったみたいだな,みんな、ちょっと手 を止めてくれ。ここで今年の新入部員を紹介しておこう。新入生は前に来てくれ。 ヒカル,どう,これでいい,曲がってない, アカリ,うん、大丈夫, ヒカル,お前に聞いてないぞ。 33 アカリ,あら、私だって、色涂るのを手伝ったのよ。前よりは人目を引くようになったよね、筒井さ ん, 筒井,うん, アカリ,ほら。 筒井,じゃ、理科室に戻って、打とうか、进藤君, ヒカル,うん, アカリ,私も, 尹先生,今年の新入生は十七名だ。六月の大会に向けて、一绪に頑張っていこう,みんな、よろしく 頼む, 新入部員,よろしくお願いします。 尹先生,では、席に戻って対局を続けて。 新入部員,はい, 尹先生,一年生同士を対局させて、実力を見ているところだが、キミの相手は。 先輩部員R,先生、ボク打ちましょうか, 尹先生,美和か,そうだな。あ、いや、私が打とう。塔矢、こっちへ。 先輩部員R,やれやれ, 先輩部員T,どうした, 先輩部員R,先生が俺を気遣ったんだろう。 先輩部員T,え, 先輩部員R,やっぱまずいだろう,三年が一年に简単に負けたらさ。 先輩部員T,っ… 尹先生,白を持たせてもらうよ。 アキラ,はい,お願いします。 尹先生,塔矢名人の息子だそうだね。 アキラ,はい, 尹先生,それは楽しみだ。腕の程を見せてもらおうか。 佐为,わ、ヒカル,石の打ち方がうまくなりましたね, 筒井,う…ん、未だに部員が掴まらずか。六月の大会までに集まるかな, ヒカル,今度オレ、とにかく頭のいいヤツに当たって見るよ。 筒井,頭の善し悪しは関係ないよ。 アカリ,でも、やっぱり囲碁ってバカじゃできないって感じだけど。 ヒカル,そうそう。 筒井,だったら进藤君が何で打てるのさ, アカリ,そうか。 ヒカル,納得するとこじゃないだろう,ったく, 34 アカリ,でもほら、海王中って、進学校で、囲碁部も強いじゃない, 筒井,プロでも、学校の成績が悪かった人もいるんだよ。それも、1と2ぱかりとか。 アカリ,へえ,そうなんだ,じゃ、ヒカルもそのうちプロになれるかもね, ヒカル,お前な, アカリ,でも、それ聞いたら、私にもできそうな気がしてきた。 ヒカル,だめ、だめ,お前、無理, 佐為,ヒカル,教えてあげなさいよ。 ヒカル,でも。 アカリ,ヒカルができるんだもん、私だって。ね、筒井さん, 筒井,うん,藤崎さん、囲碁部入りなよ,初心者でも全然かまわないよ, アカリ,とにかくちょっとだけでも教えて、ヒカル, ヒカル,しょうがないな,いいか,お前は白だ。 アカリ,うん。 アカリ,黒にもしここに打たれたら、この白石は取られちまうんだ,じゃ、もとに戻すぞ。お前の番だ。白石を取られないためには、どうしたらいい, アカリ,こうやって逃げる。 ヒカル,なめてんのか、てめぇ,お前、無理,絶対無理, アカリ,なによ,ヒカルに言われたくないわよ, 筒井,まあまあ、进藤君, 佐為,へへ。 尹先生,私は、韓国で教師をしながら、子供たちに囲碁を教えていたんだよ。縁があって日本に来ることになったが、決まった時も碁を教えようと思った。来日した当初は正直がっかりしたな。日本の子供たちの囲碁のレベルはたいした事はない。 アキラ,韓国は囲碁が盛んですからね。 尹先生,ああ。向こうでは日本の学習塾のように囲碁塾があって、みんな盛况だ。しかし去年、ここに赴任して、考えを改めた。ここの子供たちは韓国と比べてもほとんど遜色がない。しかし、上には上がいるものだ。 アキラ,あ,いいえ。 尹先生,叶瀬中の进藤ヒカル。 アキラ,あっ, 尹先生,今年の冬の大会で叶瀬中のメンバーとして出て来た子だ。その時のうちのメンバーはもうみな卒業していないが、私だけは覚えている。 アキラ,ボクもその場にいました。进藤ヒカル, 尹先生,しかし、キミならあの子に勝てるかもしれない。 アキラ,そのつもりです。 尹先生,終わりにしよう。キミの実力は分かった。ここはレベルに合わせたリーグ戦が中心だが、棋 35 譜並べや、詰碁をする者もいる。火、木は私の講義、金曜日はみんなで検討し合う「次の一手」。参加するしないはキミの自由だ。リーグ戦に参加するならAクラスだが、それとて、キミの自由にしていい。 女性部員,あの、先生。 尹先生,うん, 女性部員,塔矢君に指导碁を打ってもらいたいんですけど。 尹先生,お前たち,塔矢はな, アキラ,あ、ボクはかまいませんよ。 女性部員,きゃ, 日高先辈,ちょっと待ってよ,三年生を差し置いて、それはないんじゃない, 女性部員,先辈, アキラ,先辈とはまた次の機会に打ちましょう。今日はこちらが先でしたので。 女性部員,やった, 佐為,桜は千年も前と少しも変わらず、穏やかですね。 ヒカル,待ってろよ、塔矢, 第八局 雨の中の策略 ヒカル,あ、あった。これだな。 佐為,そう。ヒカル、それです, 店員,いらっしゃいませ。 ヒカル,これに、これ。 店員,1630円です。 ヒカル,前にお前、これほしがってたもんな。あの時は、加賀に破られちゃってさ。 佐為,今なら、ヒカルでも読めますよ、きっと。ついでにアカリちゃんにも入門書とか買ってあげたら, ヒカル,アカリに入門书,無駄だよ、無駄, 佐為,どうして, ヒカル,あいつオセロと碁の区别も付かねぇんだらか。 佐為,オセロ,何です、それ, ヒカル,そういうゲームがあるの。いけない、大分暗くなっちまった。早く帰らないと叱られるぞ。何時かな,ええと、どっかに時计は…あった。やばい、もうこんな時間か,あ,塔矢名人十段戦制し、四冠に。塔矢の親父、また一つタイトル取ったってさ。 佐為,あの者、さらに高みへ、より高みへ。 ヒカル,塔矢のヤツ、どうしてるかな, 36 部員A,あいつは一人で棋譜並べか, 部員B,俺たちとじゃ練習にならないってか, 部員A,なんせ、四冠達成の塔矢名人の息子だもんな。 部員B,ああ、昨日ニュースで見た。四冠か…一つでもタイトル取るのも難しいのに、まとめて四つ 持ってんだもんね。 部員A,雲の上のそのまた上の上だ。 部員B,ああ、その息子だぜ。 部員A,将来の名人って噂はあるんだろう。 部員B,ひー、お前、対局申し込んで来たらどうだ, 部員A,それだけはご勘弁, 尹先生,塔矢君, アキラ,あ, 尹先生,お父さん、おめでとう, アキラ,え, 尹先生,「え」じゃないよ。十段戦勝ったんだろう,四つ目のタイトルだよ。 アキラ,あ、ああ…そうですね。ありがとうございます。 尹先生,おやおや、意外とそっけない息子だな。 アキラ,キミと戦いたい。ただそのために、ボクは海王の囲碁部に入った。この次、キミと対局する 時までに、ボクはどれだけ自分がを鍛え上げればいいのか。進藤ヒカル,ボクが目指す神の一手は、 キミを追うその先にある。 部員C,う…ん、完敗だ。負けました,どうしたんだ,今日は気合入ってるな。 青木,ああ。 部員C,もう一局やるか, 青木,いや。ありがとうございました。 部員C,ありがとうございました。 青木,一局お願いできるかな, アキラ,うん,あ…。 部員D,青木… アキラ,はい、お願いします。 尹先生,うん, 青木,お願いします。 アキラ,お願いします。 部員F,青木さん, 部員G,青木先辈は… 奥村,すいません、オレ一年で、まだ先辈たちの颜を覚えてなくて…。あの人は、誰っすか,強いっ すか, 部員H,三年の青木先辈、囲碁の実力は部長、副部長に次ぐ三番手。 37 奥村,へえ。 部員H,早い話が、塔矢の入ったことで団体戦から外されるかもしれない人。団体戦は三人だから。 奥村,うっ, 部員H,面倒見のいい、優しい人だよ。 部員I,自分からさっさと片を付けに行ったか,青木らしいといえば、らしいな。 部員J,自分で打って負ければ、纳得するか。 部員D,まだ負けれと決まったわけじゃない。 青木,負けました。 奥村,は、早い, 青木,いや、いい勉強になったよ。ありがとうございました。 アキラ,ありがとうございました。 部員H,ちっ、塔矢のヤツめ, 奥村,なんだ、なんだ、この雰囲気は,これが憧れの海王囲碁部,塔矢一人になんて様だ。海王の囲 碁部でもどうにもならない,情けない, 部員K,お前の番だぜ。 奥村,あ、待ってよ。そうか,いいことを思い付いた。塔矢と打って来る。 部員K,あ, 奥村,勝てないが、負けない戦法だ。まあ、見てろって。塔矢、一局打たないか, アキラ,いいよ。 部員L,誰だ, 部員M,一年, 部員N,もしかして強いヤツ, アキラ,ええと、置き石は, 奥村,置き石はいらない。先番で打たせてくれれば。 アキラ,どうぞ。 奥村,じゃ、お願いします。 アキラ,お願いします。 部員O,なんだ、ただのバカか, 部員P,無謀な… 部員Q,バカのバカ。 部員R,あっという間に玉砕だぜ。 部員S,碁を知らないヤツだ。 アキラ,あ…一手目が天元, 奥村,ふん、最初に真ん中の天元さえ抑えてしまえば、こっちのものだ, アキラ,これは,うっ… 奥村,気付いたようだな。だが気付いたって関係ない。天元さえ抑えてしまえば、後はそっくりその まま真似してやれ。お前の力をそっくりそのままお前に返るんだ。 38 部員J,塔矢の手が、止まった, 奥村,へん,あ, アキラ,そういうことなら。 奥村,天元にツケてきた,…惑わされるな。とにかく、天元を中心に対称に打てばいいんだから。あ、あれ, アキラ,キミの番だよ。 奥村,ま、負けました。 奥村,まるで手品を見てるみたいだったな。 伊藤,バカ,真似碁潰しくらい二年の俺だってできるぜ。 小島,まあ、そう苛めるなって。 伊藤,天元につけてダメ詰まりに持っていく手もあれば、シチョウを利用しはめる手もある。どっちみち、やられちゃうんだよ。 奥村,ま、待ってて。待ってくださいよ。 小島,あんまり間抜けなことをするなよな、新入部員,海王囲碁部の耻になるから。 奥村,じゃ、先辈たちが一矢報いてくださいよ。 小島,今度の大会、塔矢が大将なのかな, 伊藤,じゃないの,だってあいつ、未来の名人って噂もあるんだぜ。 奥村,「今のうちにサインもらっとけ」とでも言うんすか, 小島,サインはともかく、俺も塔矢と一局打とくかな。将来自慢になるぞ、あいつがまじで名人になったら。俺や昔名人と打ったことがあるんだぞ…なんて。 奥村,そんなの、志が低すぎっす。 市河,アキラ君, アキラ,市河さん,どうしたの, 市河,へへ。お迎えに参上。 アキラ,わざわざ,いいのに。 市河,何言ってんの,早く乗った、乗った,あ、ほら。濡れちゃうわよ,だって今日、指导碁打ってくれる约束でしょう, アキラ,忘れてませんよ。 市河,ケーキとコーヒー付きだからね, 奥村,ケーキとコーヒー付き,っ…,もう、許さない, 伊藤,まあ、確かに一度くらいあいつを凹ましたいよな。 奥村,先辈, 小島,気持ちは分かるけど。置き碁じゃなく、あいつに勝とうってのはな…。学年でトップ取るほうが简単そうだ, 奥村,そりゃそうっすけど、そこを何とか。 伊藤,普通の状況じゃ無理だろうさ。だけど… 39 奥村,え, 小島,おいおい、何考えてんた, 伊藤,塔矢アキラに勝つ方法さ。 奥村,あるんっすか,あるんっすね、先辈, 筒井,雨、ひどく降ってきたな。 ヒカル,よっと。帰ろう、筒井さん, 筒井,ああ。藤崎さん、今日来なかったね。 ヒカル,いいよ、アカリなんか来なくても。 筒井,进藤君がこの間、怒鳴り付けたのがいけないんだよ。 ヒカル,あいつ、あんな事じゃ、全然凹まないぜ。オレよく知ってんだ、家近いし。 筒井,そんなこと言わずに、誘ってあげなよ, ヒカル,嫌だよ。大体、女が碁を打つなんて生意気じゃん, 佐為,何を言ってるんです、ヒカル, ヒカル,うん, 佐為,平安の都でも、たくさんの女性が碁を打ちましたよ。 平安の女性,皆さん、ほら、佐為の君がお見えよ。 佐為,清少纳言殿や紫式部殿も碁を嗜んだなのですよ。 ヒカル,はあ, 佐為,この間、授業に出たでしょう。 ヒカル,そうだっけ,佐為, 佐為,はい,わあ, ヒカル,へへ、すげぇだろう, 佐為,て、驚いて見せただけです。 ヒカル,なんだ。 佐為,もう、何回も見ましたからね。 ヒカル,ちぇ、初めて見た時は大騒ぎして面白かったのに。 筒井,何か言った, ヒカル,あ…いや、何も。 筒井,じゃ、进藤君、また明日。 ヒカル,うん、また明日, 佐為,古の頃より、碁盤も碁石も変わりませんが、ヒカル、この伞も千年前と変わりませんね。 ヒカル,そうだよ。ちっとも変わらないな、伞って。雨を完全に遮断できるわけじゃないし、足元だ ってぐちゃぐちゃだし。手に持ってるってのも不便だし。ったくな, 佐為,ええ。 ヒカル,人間が月に行く時代に、伞だぜ伞。 佐為,人間が月に,あは、またそんなでたらめを。ヒカル、人間が月になど行けるはずがないでしょ 40 う。 ヒカル,それが行けるんだな。もう月の上を歩いてるんだよ、人間は。 佐為,嘘だ,ね、嘘でしょう,ね,月ですよ、月,あんな所に行った,バカ言っちゃいけませんよ,私だってそのくらい冗談だって分かります。 ヒカル,ふ、ふふ… 佐為,ヒカル、ね、ほんとに行ったのですか、月に,あの夜空に浮いてる、あの月ですよ, ヒカル,そうだよ。あの月だよ。 佐為,月に行けるのに、何で伞は未だに伞なんでしょう, ヒカル,うん,うん, 伊藤,どんな状況でもいいんだよ。塔矢にとにかく置き碁じゃなくて勝てば、すげぇ自慢になるぜ。 小島,そうりゃそうだけど。 奥村,そうっすよね。どんな状況で打ったかなんて、人に言わなきゃいいんすからね。塔矢が四十度の熱出してる時に対局を申し込むとか。 伊藤,学校来てないっつうの。 奥村,じゃ、カラオケルームに連れてて対局するんすよ。周りで大騒ぎして集中力をなくさせる。 伊藤,そんなことぐらいじゃ、勝てないって。もっとあいつを不利にさせなきゃ。 小島,いっそ塔矢の両手両足を缚っちゃって対局させるか。 奥村,はは。 伊藤,っ、いいな、それ。 小島と奥村,え, 伊藤,とにかく、どんな手を使ってでも、塔矢アキラに勝つ。あいつのプライドを粉々にしてやる。へへ… 41
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